とある町のとあるスーパーに、緑の髪の少年と紫の髪の青年が居た。
二人が睨むように見つめている先には………
『これであなたも長身!?当店オリジナル特製栄養満点食!!』
…と書かれた新商品。
「……ギルさん」
「却下」
「まだ何も言ってないっスよ!?」
「これ買っていいかって言おうとしたんだろ。却下」
「なんでっスか……」
「怪しい事この上ねぇからだよ。だから却下…いや、やめとけ」
「で、でも身長っ」
「よく見ろ。『摂取後に何かあっても保証しません』って目茶苦茶小さく書いてあんだろ。100パー危ねぇだろだからやめとけ」
ズバリと切り捨てて歩みを進めるギル。
翡翠は名残惜しそうにその場を離れ、ギルの隣を歩く。
「うぅ…もしかしたら伸びたかもしれないのに……」
「……俺の知り合いがアレ食った事がある」
「え?」
「アイツも身長伸ばす為に食ったらしいが………………味がトラウマになったらしい」
「え」
「あのキャッチフレーズを見るだけで吐き気がするくらいに」
「……ギルさん…俺、地道にカルシウム摂ります…」
「ああそうしろ、むしろそうしてくれ」
言いながらギルは「確か牛乳きれてたな…」と呟きながら買い物を進める。
翡翠もそれに続いて歩みを進めた。
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「今日も暑ぃな……」
「最近急に暑くなったっスよね」
言って、翡翠は眩しいくらいに晴れた空を見上げた。
青い空を白い雲が流れ、陽射しは初夏を思わせるくらいにさんさんと降り注ぐ。
もう夏みたいだな…と思いながら、翡翠はふとギルの手に視線を落とした。
「……ギルさん、やっぱ俺も持…」
「いいって。これくらい」
「でも買物袋全部ギルさんが持ってるじゃないスか……」
ギルの手には合計3つの買物袋。
牛乳や野菜等、それなりに重いものが入っている。
「お前仕事終わったばっかで疲れてんだろ」
「それギルさんも同じっスよ!」
「俺はいいんだよ、全然疲れてねぇし」
「でもなんか申し訳ないっつーか何か手伝いたいっつーか…」
言って、また買物袋を見る翡翠。
ギルは少しの間考えた後、翡翠の頭を撫でた。
「わっ!な、なんスか?」
「気持ちだけ有り難く受け取っとく。だから気にすんな」
「でも…」
「どうしてもっつーなら、代わりに家に帰ったらコーヒーでもいれてくれ。それもちゃんとした手伝いだろ」
言いながら翡翠に微笑むギル。
その微笑みは愛している者だけに見せる、優しい微笑みで。
翡翠はその微笑みに自分の顔が赤くなるのを感じながらも、確かに頷いた。
そんな翡翠を「可愛い奴」と小さく笑いながら、片手に買物袋をまとめて持ち、空いた手を翡翠の手と繋いだ。
「え、ちょ、ギルさっ…」
「今更照れんな。どーせ誰もいねぇんだから少しの間くらいいいだろ。…それとも嫌か?」
「い、嫌じゃないっス!!全然!!!!」
力いっぱい否定する翡翠にまた小さく笑いながらも、ギルは翡翠の手を握り直す。
翡翠も照れながらもギルの手を握り返した。
「……アイギス様……?」
ふと背後から聞こえた、声。
振り返ると、そこには執事服に身を包んだ初老の男が立っていた。
少し強い風が、二人を通りすぎた。
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なんか書きたくなったSS
続きは出来たらUPります…!!
速見様、翡翠くんお借りしました!