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サーカス一座の旅は続く





サーカスへ行った日のこと。




この日は電車の中で待ち合わせ。
窓際を譲ってもらって、並んで座る。

大きな駅をすぎると、とたんに周りには田んぼや畑が多くなる。
それに比例して乗客も徐々に少なくなっていく。
周りに誰もいなくなると、ゆうちゃんの太ももの上で私たちは手をつないだ。
大きな川や畑を見て、ふたりでこしょこしょ話す。

電車の揺れが心地いい。
途中、この電車には私達しかいないんじゃないかと思って立ち上がってみてみると、ところどころ座席越しに頭が見えた。



サーカスのテントが見えると、ふたりとも歓声をあげた。


「サーカスだよ!」
「ね、サーカスだね!」
「屋台もあるよ!」
「あれ、動物の家かなぁ?」


そんな風に喋りながらテントの写真を撮る。


チケットを買って、列に並んだ。
おばあちゃんおじいちゃんや小さな子供が多い。
みんなサーカスを前に興奮気味。
もちろん私達もその例外ではなく、はしゃぎながらいろんなことを話した。



「動物の匂いがするね!
サーカスだもんな!
動物がいるよね!」

「えー、それ、ぼくの臭いじゃないー?」

「違うよー」



はしゃぎすぎて1時間前から並んでいたので、割と早くテントに入ることができた。
二人で真剣に席を選んで座る。
単に渡された木の板の地面とか、長く続く長椅子の簡素なつくりが逆にサーカスらしくて好ましい。



手をつないでサーカスを見た。
暗いテントの中で、ぼんやりと照らされるゆうちゃんの横顔。
「すごいね」とか「あー、危ない危ない!」とか小声で言いながら、きらびやかなリングを見つめる。
時々、顔を見合わせて笑った。

二足歩行する象やピエロ、猛獣使いや空中ブランコ乗り。
そこには昔お話で見たようなサーカスの一座がいて、切なくも楽しかった。



見ている途中で、何かを落としたような感じがした。
テントの中はコロシアムのようになっていて、リングを中心にぐるりと円になった長椅子が並んでいる。
上に行くほど高い位置になっていて、長椅子の前に渡された木の板の隙間にものを落としてしまうと 簡単には取ることはできない。


サーカスが終わり明るくなったあと ごそごそと探しまわる。
携帯がないみたい。
ゆうちゃんも携帯を鳴らしたりして探してくれた。
せっかく楽しくサーカスを見ていたのに迷惑かけちゃってる...
焦ってしまって、どうしたらいいかわからなかった。

「ゴメンね、まぁあると思うんだけど〜」

安心して欲しくて笑ってそう言うと、

「ちゃんと探して!」

と、ピシャリ。

「探してるよ」

って言いながら探す。



「どうかされましたか?」

サーカスのスタッフの方が来てくれて、事情を説明する。
携帯電話の特徴を説明すると、落ちていたので事務所で預かってますよ〜って教えてくれた。

「ゆうちゃん、あったって!ありがとう!」

って言うと、そう...とゆうちゃんは言う。
かなりテンションが下がってるみたいだった。

ゆうちゃんが先に歩いて行く。
事務所はあちらの出口を出てすぐですよ、と教えてもらった出口とは全く別の出口から出て、違う方向に進んでいくゆうちゃんの後ろを急ぎ足で追った。

「ゆうちゃん、あっちだよ!」
「違う方向だよ、あっちだってさ!」
「ゆうちゃん!」

全く振り向かず先へ先へと歩くゆうちゃんに言う。
ゆうちゃんが、くるりと振り向いた。

「知ってるよ」

冷たい声で言うゆうちゃんに悲しくなって、

「そう」

って今度は私が先へ先へと歩いた。

不注意で落し物をした私が悪い。
でもあんなに冷たい声ださなくたって....
それに知ってたなら言ってくれたらいいのに
なんて思いながら足をすすめる。


事務所の方にお礼を言って外に出ると、ゆうちゃんが立っていた。

「ごめんね、ちゃんとあったよ」

少し固くなりながらそう言うと、弱々しくゆうちゃんが頷いた。


そのあとはやっぱりぎくしゃく...
ふたりとも仲良く話そうとするんだけど、難しい。


信号待ちをしているとき、ゆうちゃんが私の顔を覗き込む。

「まきちゃん、怒らないで」
「ごめんなさい...」

そう言うゆうちゃんに、怒ってないよ、って言うと、ゆうちゃんはまた「ごめんなさい....」と繰り返した。


お昼を食べるところを探しに少し歩いた。

「ゆうちゃん、ほら、ガチャポンがあるねぇ」

まだうつむいているゆうちゃんにそう声をかけると、

「僕もさっきまきちゃんにガチャポンを教えてあげようと思ったのに...」

ってゆうちゃんが悲しそうな声で言う。
そういえばさっきゆうちゃんが事務所とは別の方向に歩いていったとき、その前には小さなガチャポンが設置されていた。
それでそっちに歩いて行ってたのか...
全然わからなかった。

なんて言っていいかわからなくて、

「そっかぁ...」

とだけ、言った。


お昼ごはんは二人で半分こして食べた。
窓際の席をゆうちゃんに勧めたけど、「まきちゃんが座ってー」って言ってくれたので私が窓際へ。


お昼の後には姫路城へ行った。
いまは改修工事中なんだけど工事をしているところを見られるらしいので。

ふたりで喋りながら姫路城内を歩く。

「ここ、お菊さんの井戸だって、こわいねー」

「井戸は全部怖いよー;;」

「これ、狭間っていうんだって!
ここから鉄砲を出して敵を狙ってたんだねぇ!」

「こわーい;;」


ゆうちゃんはいろいろ怖がってた。



天守閣の改修工事を見学したあと、千姫が住んでいたという二の丸へ向かった。


そこは長い長い廊下のような作りになっていて、そこに時々部屋があるような感じ。
時代劇に出てくるような木でできた廊下を、きしきし言わせながら歩く。
まだから見えるお庭が、ほんとにきれい。

部屋を見学していた私を置いて、ゆうちゃんが先に行ってしまう。
見学を終えて部屋を出ると、随分先にいた。

追いかけるけど、ゆうちゃんが曲がり角を曲がってしまって すぐに背中が見えなくなる。
一本道を急いで歩いて曲がり角を曲がるけど、ゆうちゃんがいない。

ふと見ると、横にある隙間でしゃがんでいた。

「あ、いた」

そう言うと、ゆうちゃんが笑って出てくる。


その後は、二人で並んで歩いた。


「ゆうちゃん、隠れてたの?」

「そうなの、びっくりしてもらおうと思ってー。でもまきちゃん"あ、いた”って言ってすぐ行っちゃうしさ...なんかさみしかった」


そう言ってうつむいて、ゆうちゃんが


「置いて行かないで」


って聞こえるか聞こえないかくらいの声で、言った。


「置いて行かれたのはむしろ私やけどなー、ゆうちゃん先に行っちゃうしさ」


私がそう言うと、ゆうちゃんが笑う。

次の瞬間、抱きしめられていた。
誰もいない長い長い廊下。
目線の先に、時代劇みたいなお庭が見える。


恥ずかしくなって離れると、ゆうちゃんがえへへって笑った。


二の丸から出るときに、急な石段があった。
石段を降りるとき、ゆうちゃんが手を差し伸べてくれた。
ゆうちゃんの手をとって、不安定な石段を下る。
石段を下って手を離して歩き出すと、ゆうちゃんはどうも拗ねてるみたいな感じ。


「なんかさ、もう用がすんだからいらないっ!って感じだった...。手くらいもっとつないでくれたっていいじゃんか」


そんな風に口を尖らせるゆうちゃんに笑って、そのあとは手をつないで歩いた。




続きはまた次の記事で!

積み重ねてねいついつまでも



今日は時間がないので最近のことを少しずつ!









ゆうちゃんのお家で、ぼんやり立っているゆうちゃんに抱きついてぎゅーってしてみる。
ゆうちゃんも、すごい力で返してくれた。
窓から入る陽の光のお陰で、足元まで温かい。
そっと目を閉じて、ゆうちゃんの匂いを吸い込んだ。



私「うふふ.......え?ちょ、まってまってまって!」


ゆうちゃん、そのまま力入れまくって、私のことエビ反りにしてきたんですよ!



私「待てマジでやめろ!プロレスみたいに!なってるから!」


そう言って止めてもらって身体を離すと、ゆうちゃんが光のなかで いたずらっこみたいに笑ってた。












次はカラオケでの話。


ゆ「ぼくねーぇ、まきちゃんの分も入れてきてあげたのー」


追加のココアをドリンクバーに取りに行ったゆうちゃんがそう言って戻ってきた。
手にはココアと、私の好きなオレンジジュース。
それを机に置くゆうちゃんに、ありがとう、と言ってまた歌いだす。

しばらくして、そのジュースを飲む私。


私「ぶふぉっ.....!」


炭酸の苦手な私のために、わざわざ炭酸のオレンジジュースをいれてきてくれたようで、見事にむせさせられました。


急いでゆうちゃんの方を見ると、笑いをこらえきれない様子でこっちを見て、意地悪な顔で笑ってた。


ゆ「びっくりしてたねー、ぷぷ、まきちゃんかわいー
びっくりした顔、かわいい」


私「くっそ....!
もー、ゆうちゃん......こしょばしてやるーーーー!」


抱きついて思う様こしょばすと、ゆうちゃんが笑ってくれる。
落ち着いたあともほんの少し抱きついてたら、なんだか涙が出そうになった。
私達はいつまでもこうしていられたらいいな。
大人なのに 子供みたいに。










最後に、ゆうちゃんの家での話。
事後、私はベッドでぼんやりして、ゆうちゃんはパソコンに向かっていた。

ゆうちゃんの携帯電話が鳴った。


ゆ「はい、はい、.....そうですね、はい」


ぼんやりとした頭に、恋人の声が心地いい。
電話を切ったゆうちゃんに話しかけてみる。


私「電話だったねー」

ゆ「うん.....」

そう言ってこちらを向いてゆうちゃんが一言。




ゆ「ま、今のアラームなんやけどな」



え...?っていう私にゆうちゃんがニヤリと笑う。



ゆ「もっと騙そうと思ってんけど、どうしたらいいかわからんくて"はい”とかしか言えんかった!」











ゆうちゃん、かなり変。
しかし、かわいい。






明日は予定が合うので、早起きして一緒にサーカスを観にに行く予定。
楽しみだなー。

ステップ バイ ステップ




お久しぶり...?です。
最近はなんだかうだうだ。
合格発表の時期だったりゆうちゃんと会ってたりでバタバタしてました。

コメント、拍手、ミニメのお返事はもう少しお待ちください。
すみません。


さて、このあいだゆうちゃんと会った話。


2/16のこと。


この日はゆうちゃんとスーパーで待ち合わせ。
おうちに着いて、ゆうちゃんは早速お昼ごはんの準備をしてた。

「私も手伝うよ」

そう言って私も台所に立とうとすると、ゆうちゃんに阻止された。


「えー、私やっちゃだめなの?」
「うん、だめだめ!休んでて!」

なんて言われたので、座椅子に座って待つことに。





「あ、ねーねーまきちゃん」

「なぁに?」

ゆうちゃんがこちらに来て、私に背中を向けて少しずつズボンを下ろしていく。
布に包まれた形のいいおしりが徐々に顕になって、気づいた。


「えへへ、僕ね、今日まきちゃんがくれたパンツはいてるの」

恥ずかしそうなゆうちゃんの声。

「ほんとだ!」

って私が慌ててカメラを用意する間にゆうちゃんはズボンを上げてしまっていた。


「ゆうちゃん!写真撮るからもっかい見せて!」


そう言うとゆうちゃんは顔だけこちらに向けて、


「やだよ!見せるだけでも恥ずかしいのにー!」


ってなぜかおしりをぷりぷりしてまた台所に戻っていった。



そんな風にしてたら、ゆうちゃんが布巾で大きなお鍋を持ってこちらにきた。

「場所空けてー」

なんて、笑って。


お鍋を開けると、すごい湯気。

「今日はお鍋だよー」

って、ゆうちゃんはにこにこ。
少し前に私が 「お鍋食べたいなー」って言ってたの、覚えてくれてたみたい。


豚肉と白菜のミルフィーユ鍋っていうらしくて、お鍋の中にはぎっしり豚肉と白菜が層を作っていた。
わかりやすくいうと、ちょっと前にテレビCMで小栗旬が作ってたやつ。

食べてみると、もう、ものすごくおいしい。

出汁が豚肉と白菜によく染みていて、豚肉を噛むと少し癖のある甘みが、じわーーーって口の中に広がっていく。白菜も、クタッとしてるんだけど噛んでみると野菜のしゃっきりとした感じが残っているのがわかる。
ポン酢とあわせても美味しい。
白菜と豚肉の甘みを、ポン酢が引き締めている。
食べていくにつれ、ポン酢と出汁が混ざっていくのもいい。

一口食べて思わず

「おいしいね〜〜〜〜」

って言ってしまった。
自分の目尻が最大限下がっているのがわかる。

珍しくゆうちゃんも満足だったみたいで、

「これはいいな、また作ろっと!」

ってにこにこ。

湯気の向こうに、好きな人の笑顔があって、料理なんか作ってもらって甘えている。
これ以上の幸せなんてないんじゃないかな、って思った。
甘えっぱなしは良くはないんだけど。


ご飯を食べたあとはまたごろごろ....
いつもこんな感じで、落ち着く。



その後、セックスしたがそれはまた今度書こう。



満ち足りた気持ちで 眠った。


起きると、ゆうちゃんが眉間にしわを寄せて眠っていた。
布団をかぶったままで、ゆうちゃんの上に覆いかぶさる。
規則的な寝息、眉間のしわ。
上下する胸に高い体温。

口付けて唇を舐める。
少し開いた唇に舌を差し入れると、ゆうちゃんの舌があたたかく動いた。
そのまま舌を絡めあって遊んだ。
ゆうちゃんがふにゅふにゅ言っている。
寝ぼけているのを見るのは、楽しい。

口を離すと、ゆうちゃんはまた眠ったみたい。



しばらくしてゆうちゃんが起きた気配。
そのまま出ていくゆうちゃんを横目に、また眠る。


ゆうちゃんの匂いがするベッドで眠ったからか、どんな夢にもゆうちゃんが出てきた。
全部なんか微妙な夢で、起きてからゆうちゃんにそのひとつを話した。


「ゆうちゃんがさ、男もいけるってわかって、」

「うん」

「それでわたしは◯◯君(ゆうちゃんの生徒)に嫉妬するんだよ」

そんな風に話すと、ゆうちゃんがおえええーって吐く真似をして、ああ、夢より現実のほうがいいなぁって安心した。




そうこうするうちに、もうバイトに行かなきゃいけない時間。


「ああ、もう行かなきゃ、やだなぁ」

「ふっふっふ、ゆうちゃんはそうだよね。
わたしはもっとあとでもいいんだー。
今日授業始まるの遅いもん」

「あっ、そんな事言うの?
じゃぁ僕ひとりでいくもんね」

「....ほんと?」

「ほんとだよ、まきちゃんはあとから来なよ」


つんつんしながらそんな風にいうから なんとなく悲しくなって、「なんでそんな風にいうのー」って壁にもたれてベッドに座ってうつむいてしまった。
部屋が暗いのも、寂しい気持ちを加速させる。

ぎし、って音がして、ゆうちゃんがベッドに上がってきた。
わたしを優しく抱きしめて、

「うそだよ、一緒に行こうね」

って囁くから、うん、って頷いた。
窓の外では、夜が徐々に始まっていた。
暗い室内で、ゆうちゃんだけが温かい。

なんやかんやしゃべりながら出かける準備。

靴を履いたあと ドアの前に立って、靴を履くゆうちゃんを見ていた。
ゆうちゃんも靴をはいたあと、優しくキスをしてくれた。


こんなことをしてたので、塾にはぎりぎりの時間に着きそう。
おしゃべりをしながら、早歩きをしながら、小走りに走りながら、それでも笑って向かう。



「まきちゃん今日何時まで?」

「九時までだよ」

「じゃあ一緒に帰れないね...
僕十時までだし...かなしい」

「あー、まぁここんとこいつもわたし九時までなんだけどね」

「えっ?そうなん?いつから?」

「年明けてからは殆どそう」

「えっ、じゃあなんで僕がおわるまでいたん?
いつも一緒に帰るよね?」


わざと言ってるの?
そんなの、決まってる。
恥ずかしい理由。



「ゆうちゃんと一緒に帰ろうと思って!
待ってたの!」


恥ずかしすぎて半ばどなるように叫ぶと、
ゆうちゃんは顔を真赤にして、

「わーー!ツンデレきたーーーー!」

って走っていった。
私は笑って それをおいかけた。


甘い甘い雨



大阪のデートレポも途中なんですが、今日は昨日のバレンタインについて。
ちなみにコメントのお返事もさせていただきました。
よろしければ各コメント欄をご覧ください。




あの後案の定寝坊した私は、昼過ぎに大急ぎで家を出た。
ゆうちゃん怒ってるかなぁって焦りながら、靴に雨水が跳ねるのも気にせずに 傘をさして雨の町を足早に歩く。
歩きながら何度か電話して やっとつながった。
彼は、落ち込んではいないだろうか。


「もしもし」

「あ、ゆうちゃん?」

「はーい」

「ごめん、寝坊しちゃってさ、今家をでたの」

「ほんと?来てくれるの?ほんとに?」



うれしそうな 優しいゆうちゃんの声にほっとする。


「うん、いまからいくから」

「いまね、料理してるんだ。
ご飯作って待ってるね」

「うん、待ってて、ごめん」


電話を切って、今度は上がる口角を必死でもとに戻しながら歩いた。





傘をたたみながらゆうちゃんのアパートの部屋のドアを開けると 何かが焼けるいい匂い。
台所に立つゆうちゃんの背中が見える。


「おはよ」
「おはよー」

もう昼過ぎなのにそう声を掛け合って、私は台所に向かった。



「ゆうちゃん、なにつくってるの?」

そう声をかけると料理中のゆうちゃんがこちらを向いて、

「えー、もう見ちゃうの?」

っていたずらっ子みたいな目で私を見た。
できてからのお楽しみ!って言われた私は台所を離れ、テーブルの前に座る。
なんだか手持無沙汰になったわたしは 座椅子に座って、何度も読んだ大好きな本を読み始めた。


ゆうちゃんが料理をする音。
何かがおいしく焼けていく匂い。
見慣れた文字の並び。
見慣れていても 読むたび新しい。
曇っているから部屋は薄暗く、
窓枠に切り取られた外の風景が 妙に明るく見えた。

外では雨が降り続いている。



「ゆうちゃんめっちゃ作ってるなー」

「今日はあんまり品数ないんだけどねぇ」

そんな風に話してたら すぐにごはんを持ってきてくれた。


白ごはんと、
ほっけの焼いたのと、
ポテトサラダと、
から揚げ。


ほっけをごはんの上に乗せると、身がほろほろと崩れていく。
その塩味がごはんの甘みを引き立てる。
ポテトサラダはシャリシャリした生玉ねぎが絶妙な辛みを担っていて、癖になる味。
最後に出てきたから揚げをつまみながら、飽きることなく私たちはしょうもないことを話した。


しばらくごろごろしていると、

「ねえ、まきちゃん、」

ってゆうちゃんが何かを取り出した。


「これ、あげるっ!」


恥ずかしそうに不機嫌そうにそっぽを向いて、ゆうちゃんが大きなふくろを私の目の前に差し出す。
その表情がかわいらしくて愛しくて、

「ありがとう...」

としか言えずに、その袋を受け取った。
中には、たくさんの手作りカップケーキ。
(後で数えたところ、その数なんと13個!ひとつひとつが大きいので かなり多い印象)

わ!カップケーキ!って私が思わず声に出すと、やっとゆうちゃんが笑った。


「まぁ私もあんねんけどな」

って、私もカバンからチョコを取り出す。
取り出したのは 来る途中スーパーで100円で買ったチョコ。
手作りのチョコが無性に恥ずかしくなって買ってしまった。

それでもゆうちゃんは、「ほんと?僕にくれるの?」って、うれしそうに笑ってくれた。
そんな顔を見て、やっぱりあげよう、って思った。

「まぁ、まだあるんやけどな」

ほらっ!って私が本当にあげようと思ったほうのチョコレートを、渡す。


「これね、ほら、手作りで、くまの顔で、後ろ見て?ほら、ゆうすけ、って書いてるやろ?これもチョコで書いてて、これはイチゴの味で、」

どうしても恥ずかしくなってひっきりなしにしゃべってしまう。
しゃべりながらあちこちを見て、最終的にゆうちゃんのほうを見る。


その顔を見て、騒がしくしゃべるのをやめた。
ゆうちゃんの目が、うれしそうにチョコを見ていた。
あげてよかった。


「くまちゃん、かわいいね」
「うん」
「この子、まゆげあるね」
「あ、ばれた?」

ばれてるよーってゆうちゃんは笑って、別の紙袋を私に手渡した。

「はい、これも、プレゼント」

有名なお菓子屋さんの紙袋。
そのなかには、華奢なチョコレートが入った小さな箱があった。
町のお菓子屋さんに女の子があふれるこの時期、ゆうちゃんはどんな顔でこのチョコレートを買ったんだろう。そう一瞬思ったけど、ゆうちゃんのことだから、普通にニコニコしながら買ったんだろうな。


「私もまだあるんだよ!」

そういってプレゼント包装された包みを渡す。

「え、いっぱいだね!
あ、これあのお店じゃない!
僕も一緒にお買い物行きたかったな」

なんて言いながらゆうちゃんが包みをあける。
中身をみて 笑った。

「パンツだ!」

すごくすごく喜んでくれた。
あったかそうだねー、これ、いいねって。



「なんでこんなにたくさんくれるの?」

そう私に尋ねるゆうちゃんの顔に顔を近づけて、

「ゆうちゃんは知らないと思うけど、
今日ってバレンタインなんだよー
ね、知らなかったでしょ?」

って冗談を言うと、
えー、ぼくしらんかったーってゆうちゃんも調子を合わせて、ふたりでまた笑った。



そのまま抱き合って、した。
その話は書かないけど、幸せなセックスでした。



終わったあとはくっついて眠る。

先に起きた私は ゆうちゃんの寝顔を見ていた。
時々眉をしかめて痙攣する。
抱きしめて体をさするとましになるような気がして、それが起こるたびにそうすることにした。
いつもうなされている。
どんな夢を見ているんだろう。

起きたゆうちゃんがそのままベッドを出て行った。
ぼんやりと服を着ている。

「ゆうちゃん今何時ー?」

「んん、もう4時かー」

この日は出かける約束だったから、そろそろ出る準備をしなきゃいけない時間。

「ゆうちゃん、それとって」

ってゆうちゃんのそばの床にだらしなく脱ぎ散らかしたパンツとタイツを指すと、ゆうちゃんがそれをとって、やだ、渡さないーってふざけて笑った。

渡してもらったパンツをはく。


「ゆうちゃん、タイツはかしてよ。
はかせてくれなきゃおでかけしない!」


ってふざけて言うと、ゆうちゃんが時々足をこしょばしながら、それでも優しく優しくタイツをはかせてくれた。

もう、まきちゃんはわがままやなぁ、なんて、わたしの大好きな笑顔を浮かべながら。

愛しい貴方を砂糖漬け




ハッピーバレンタイン!

昨日は、ゆうちゃんへのプレゼントを買いに行きました。


プレゼントは パンツ !
下着のパンツですよー。



笑ってくれて かつ実用的で相手が申し訳なく思わないくらいのお値段のものは…って考えたら、これかなぁって。


ゆうちゃん、変な柄のパンツいっぱい持ってるしね!


だからお店に行ったときは いかに変なパンツを買うか考えてた。


変すぎても履いてくれなくて邪魔になるだろうし…ギリギリのラインのものは…って探して、花柄のボクサーを手に取って、これにしようってなかば決心してた。


でもそんなとき、横にあった地味な紺のパンツが目に入ったんです。
それは薄いんだけど毛糸で編まれてできていて、周りのより ずっと暖かそう。


いつも「お腹いたいよ」「お腹冷えちゃった…」なんて青い顔して苦しんでるゆうちゃんが頭に浮かんで、思わずその地味なパンツにしちゃいました。




あーあ、地味なのにしちゃった!
でも、まぁ、いいか。
お腹、あったまればいいな。





ちなみにチョコも用意しましたよ〜。
今日の1時〜3時に作りました。


ゆうちゃんは大のチョコ好き…
そしてかわいいもの好き!

ならばかわいいものをつくるしかない!

ってことで、かわいいチョコのキットを買ったんですが、だからかわいいチョコができるはずだったんですが…。




出来上がりはこんなの!





なんかグロいっていうか怖い…。
ゆうちゃん、何これ!って怒らなきゃいいけどなぁ。
本当に不器用で、いやになります。





ひとつひとつラッピングしたらちょっとはましかな…?
いや、そんなこともないか。



という訳で今年のチョコはこんな感じ!



ちなみにまだベッドの中ですが、幸助君(父。去年手作りのバレンタインチョコを食い荒らした)にも食べられてないはず!

明け方にくまをひとつあげた上、「これもあげる!」ってデコレーション用のチョコペンもあげましたから。

幸助君、喜んでちゅーちゅーしてた。
(^ω^ )
 


ではでは、今日会ってきます!
これから二度寝して起きたら連絡してみよーっと…(二度寝フラグ)


 
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