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▼アヤ

名前
?(アヤ)
性別

性格
/


真面目で頑固。冗談が通じない。


「いいか、この部隊にいる以上は俺の指示に従え!」
「この格好か? 別段恥ずかしくもなんともないぞ。動きやすくてなかなかいいものだが?」
「俺に刃向かうとはいい度胸をしている。良いだろう、その無謀な度胸ごと、俺の鋼の翼で切り裂いてやろう!」

この道が煉獄だとしても.5※絡み話


子供達が全員逃げ出す寸前、敵の攻撃がこちらに向かって来た。
赤い炎がこっちに向かって飛んでくる。

「危ないっ!」

俺は子供をかばう為に背中を向けた。
だが、俺と炎の間に彼が入った。
彼はナイフで炎を切り裂き、火の粉へと変える。

「あ……」
「邪魔だっつってんだろ。トロいんだよ」

彼は背を向けたまま言う。
子供達は全員逃げ終わったが彼はまだ俺の後ろにいた。

「ありがとうございます。助けていただいて」
「助けてねぇよ」

彼は俺を見て冷たく言い放つ。
口は悪いがいい人なのだろう、おそらくは。

「ふふっ、そうですか……」

俺も部屋を出ようと剣を収めようとしたが、彼に水流が迫っていた。
俺は咄嗟に剣を握りしめ、彼より前に出る。
そして水流を切り裂いた。

「これで貸し借りは無しですね」

俺は剣を収める。

「フン……」

彼はなんだか不満そうに見えたが、気にしないことにする。

「では……あっ! あの、名前お聞きしても?」
「ハァ? 必要ねぇだろ」
「必要かどうかは俺が判断しますから」
「何言いやが」
「名前は?」

彼はしばらく黙り込み、背を向ける。

「煉獄だ」
「煉獄さん、ですか。またいつか……お会いしたいです。では、失礼します。ありがとうございました」

俺は彼に一礼をし、部屋を出る。
煉獄さん……今度ちゃんとお礼をしに行かなければ。
あと攻撃した謝罪も。

廃ビルを出てカルミアと合流し、連絡していたクリソコーラとも合流した。
子供達も俺達も無事に帰ることができた。

ーー俺が煉獄さんと再会するのは、また先の話……。

ーーーーーーーーーー

「アイツ父親なのかよ。あのガキの兄かと思ったじゃねぇか。クッソ綺麗な顔しやがって…詐欺じゃねぇか、詐欺。
助けるとか俺らしくねぇしよ……チクショ……」



その道が煉獄だとしても.4※絡み話


彼の脚には蔦が絡みつき、動きを奪っている。

「これは……」
「宿木の種。最初の攻撃をされた時に蒔いておきました。徐々に体力を奪う技ですから、効くまで時間がかかるんです」

かかるにしても、かかり過ぎですけどね……。
どんだけ強いんですか、この方は。

「とにかく、ここは通らせてもらいます」

俺が彼の横を通ろうとしたその時、いつの間にか俺の体は浮き、背中から地面に叩きつけられていた。
受身もとれず、呼吸ができなくなっている俺の首にはナイフを当てられ、彼には跨られていた。

「あんくらいで動けなくなるとでも? 舐めんじゃねぇよ」

彼は見下したように俺を見る。
油断した。彼のほうが俺より強かった。

「それに言ったよな? 次は外さねぇって」

ぷつりと、ナイフが皮膚を切り裂く音と共に首を液体が伝う。
もうこれはダメだ。せめてカルミアだけでも……。

「カルミア!!」

部屋の中が見える位置に倒されたため、中で縛られているカルミアが見えた。
猿轡をされていて、声は発せないようだが、俺の声に気付いて、もぞもぞと体を動かしていた。

「あぁん? カルミアって誰だよ」
「俺の家族だ! カルミア!今助ける!」
「助けるって……お前、もしかして被害者側かよ」

彼は大きく溜息をつき、俺から離れた。

「被害者側って、貴方は軍人……?」
「なんで知ってんだよ。てか知ってんなら見りゃわかンだろ」

俺は宿木を解き、体を起こす。
見りゃわかると言われても……。

「服装が軍人らしくないというか……」
「あぁ?!」
「いや、よく見たら確かに軍人さんだな、と……って、カルミア!」

俺はカルミアのほうを見る。
カルミアはまだ無事のようだ。
ホッと胸を撫で下ろす。

「サッサと行けよ。ついでに他の人質も連れて行け。邪魔なンだよ」


彼はそう言って、俺を部屋のほうへ促す。
俺は急いでカルミアに駆け寄り、猿轡外し、縄を切る。

「お父様! 良かったお父様がご無事でっ!」

カルミアは俺に涙目で抱き付いて来た。

「いや、カルミア、無事で良かったのはカルミアのほうでだね……まぁいい。今は子供達と一緒に逃げるのが先だ。
ここは子供には危険すぎる」
「そうそう、サッサと行けよ」

彼は子供達を睨む。

「貴方!そんな言い方は」
「カルミア。今は彼の言う通りに。子供を連れて先に行くんだ。俺は一番最後に行くから」
「でもお父様……」
「いいから。早く行くんだ。わかったね」
「はい……お父様」

カルミアは子供達を部屋の外へと促す。
そして姿が見えなくなった。

その道が煉獄だとしても.3※絡み話


顔のすぐ近くで、何かがギラリと怪しく光った。
咄嗟に地面を蹴って後ろに飛ぶ。

「チッ。避けられたか」

暗闇にいたのはオリーブのような緑の髪、鋭い漆黒の瞳、隆々と鍛えられた身体にナイフを持った青年。
殺気立った目で俺を見据えながら、手の中でナイフを弄ぶ。
彼の後ろの部屋から小さい子供の声が聞こえた。おそらく攫われた人質達だろう。なら、カルミアもそこにいる可能性が高い。

「まだいたのかよ。人数ばっか多いンだな」

面倒臭そうに青年は言う。
ナイフを構えているわけではないのに、迂闊に手を出したらこちらがやられてしまいそうだ。

「そこ、避けてもらえますか」

剣を抜きながら問いかける。
胸元を開け放った服装からはからは軍人には見えないが……人攫いにしても『らしくない』気がする。
纏っている雰囲気が、『らしくない』のだ。

「ジロジロ見てんじゃねぇよ」
「人を観察してしまうのは立場上の癖で」
「立場上? 上のヤツか? ずいぶんと若ぇんだな」
「見た目で判断はしないほうがいいと思います、よっ!」

戦いは得意ではない。だから戦いはあまりしたくない。
俺は青年の隣を抜けるために駆け出した。
入口は目の前の一つだけのようで、その前にはナイフを持った青年。
彼さえ抜ければ部屋に入れる!

「おっと、通さねぇよ!」

彼のナイフが的確に俺の首筋を狙う。
身をよじり、彼の攻撃を間一髪で避ける。
だが彼を抜くことはできず、彼の攻撃を避けたために俺は床に倒れた。

「二回も仕留め損なうなんてな」

彼は冷静に俺を睨む。
俺は立ち上がりながら入口を見る。
中からは爆音やら金属音やらが鳴り響く。
倒れた時に左腕を強く打ったようで、ズキズキと痛む。

「サッサと諦めて死ねよ。二回も避けたことはスゲぇが、次は外さねぇか、ら……?」

彼が踏み出すと、そのままガクリと膝をついた。

「ようやく、ですか」

俺は自分の服の埃を払った。

その道が煉獄だとしても.2※絡み話


日が落ちる前、俺は地下都市のある廃ビルの前に来ていた。
友人のクリソコーラから情報を得たからだ。

「あぁ?!人攫いで手練れか大人数のグループはいないか、だと?! 俺は今忙し……はぁああ?! カルミアが攫われ……もしかして……。
ーーおい、今から言うことは機密事項だ。今誘拐事件が多発してる。その犯人は別の場所から来た奴らだ。んで、そいつら追ってある場所の軍が来てる。そいつらが今地下都市まで追い詰めたらしいから、もしカルミアが巻き込まれてんならその線が怪し…って切んなよ!」

ある軍って話だから地下都市に入って、普段見かけない者達について聞き込みをしたら、居場所がわかると思った。
地下都市は人の出入りが激しいとは言えない場所だから。

「こうも早く突き止められるとは思わなかったけども……」

廃ビルを見上げながら呟く。
ここにカルミアがいるかもしれない。
バレないように探してみるか。
俺が一歩踏み出したその時、廃ビルの中から物騒な音が聞こえた。

ーー戦っている?!

軍とやらが先に突入したのだろうか?
仲間割れか?
どちらにしろカルミアが巻き添えにあってしまったら……。
間に合わなかったら……。
運良く逃げ出せても犯人と間違えられたら……。

「くそっ!」

俺は嫌な考えを振り払い、走り出した。
真っ直ぐ音のするほうへと向かい、走り続ける。
音がどんどん近付く。
いくつもの階段や部屋を抜け、自分の剣に手をかける。

ーーあそこか!

目的の部屋を見つけ、速度をあげて飛び込んだ。
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