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もう忘れた…全部消えたし…

なんかせぶちの新曲がアニソンで笑っちゃったな そんな朝だった気がする

なんか寝坊した気がする 夢は校舎を走ったり、奈々がベタベタしてきて嬉しかった夢とか
前倒し前倒しで仕事 お昼はサンドイッチとかみかん ピルのせいか気圧のせいか満月のせいか頭痛がする ナムカラは今日も優しかった

満月だった スーパー・ブルー・ブラッドムーン… 皆既月蝕らしい 赤かった でも退勤したら即胃痛が始まってあんま楽しむ余裕なかったな おはぎのことおしるって言っちゃうし、私は有休をとったのにげいは仕事 むしゃくしゃして森誘う お昼食べに行くんだ
ななおちゃんとも散歩する 胃が痛い すぐ横になった 就寝


彼女の唇は大体いつも乾いていて薄い色をしているけれど、柔らかく温かそうな感じだなと思う。そのせいというわけでもないがつい今日もその小さくすぼませた口元を見ていた。陽は薄くしか差しておらず、薄暗いわりには妙に暑い秋の中ほどで、頭がぼんやりとする。


もう乗り換えがいらないところまで帰ってきた。思い出したようにしか喋らない彼女の隣にじっと立っている僕の口も当然のようにじっとしているはずなのに、すごく乾いてしまうのは変な気候のせいだろうか。相槌のたびにかすれそうな喉をそれとなく気遣って唾を飲みこみ、小さく息を吐いた。遠くに視線をやる。まあまあの混み具合だろう、白いワイシャツの袖をまくる会社員達はまだまだ暑そうだけど、彼女はもうとっくに分厚めのトレーナーやらを着出すようになっていた。


今日は帰ったらすぐに寝ますと言うので、はいそうして下さい、と返す、と、彼女の長い睫毛がゆっくり震え、乾いたままの唇がクッと引き伸ばされていく。もう僕はちらりと見えた並びのいい白い歯、は言うまでもなく、くすんでかすみがかったのその唇から目が離せない。彼女のリップクリームが彼女の胸のポケットに入っているのは知っていたけれど、彼女が少しうつむいてはい、そうします、と言ったので、たまらなくなって、そして何事もどうでもよくなった。



初めから自転車は下宿先に置いてきた。少し肌寒い夜更けも、恐らく急いでゆく必要はないし、火照った頬を冷ましながら、彼女が小さく鼻歌を歌うのを黙って聞いてやらなくちゃならない。チカチカと眩しいネオンのせいで互いの顔も満足に見えないだろうに、手もつなげない僕が彼女を認められるのは、ずって歩く足音にうっかり紛れてしまう彼女の好きな歌であって、しょっちゅう僕は夢遊病みたいに記憶がないまま、あっという間のくせに長い長い夜道をなんとなくやり過ごす、というよりはやり遂げてしまうので、まさかいつの間にか僕や彼女がいなくなってしまうだなんて女々しく面倒なことはお互いに考えなくていい間柄であるとわかってはいるけれど、それでもせめて、二人でいるという特別な帰路を、最初からなかったみたいにするのは嫌だなと思う。帰るまでが遠足、だなんて言い得て妙で、今の僕達は遠足がしたいのだな。どこか浮ついて、帰り道が寂しい遠足、ピクニック…。


(加筆13.5.12)

久々に創作ss〜〜〜
おさむと女の子
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彼女の唇は乾いていて、いつも薄い色をしているけれど、なんとなく柔らかく温かそうだから、今日もついその薄く開いた口元を見ている僕だ。今日は陽も薄くしか差しておらず、薄暗いわりには妙に暑い秋の中ほどで、頭がぼうっとする。
思い出したようにしか喋らない彼女の隣にじっと立っている僕の口も当然のようにじっとしているはずなのに、すごく乾いてしまうのは変な気候のせいだろうか。相槌のたびにかすれそうな喉を気遣うのも、ちっぽけなプライドだなぁ。
今日は帰ったら、すぐに寝ます、と、ぼそりとした呟きが聞こえる。そうして下さい、と返すと、ふ、ふ、と、口を引き伸ばして笑うので、もう僕は彼女の白い歯、は言うまでもなく、そのくすんで、かすみがかった紅色の唇から目が離せない。彼女のリップスティックは、彼女の薄い胸のポケットに入っているのを彼は知っていたけれど、彼女が少しうつむいてそうします、と言ったので、たまらなく愛おしくなってどうでもよくなった。

初めから自転車は下宿先に置いてきた。少し肌寒い夜更けも、恐らく急いでゆく必要はないし、火照った頬を、桃のような頬を冷ましながら、彼女が小さく鼻歌を歌うのを、黙って聞いてやらなくちゃならない。チカチカと眩しいネオンのせいで互いの顔も満足に見えないだろうに、手もつなげない僕が彼女を認められるのは、ずって歩く足音にうっかり紛れてしまう彼女の好きな歌であって、しょっちゅう僕は夢遊病みたいに記憶がないまま、あっという間のくせに長い長い夜道をなんとなくやり過ごす、というよりはやり遂げてしまうので、まさかいつの間にか僕や彼女がいなくなってしまう、だなんて女々しく面倒なことはお互いに考えなくていい間柄であるとわかってはいるけれど、それでもせめて、二人でいるという特別な帰路を、最初からなかったみたいにするのは嫌だなと思う。帰るまでが遠足だなんて、言い得て妙だ。今の僕達は遠足がしたいのだな。どこか浮ついて、帰り道が寂しい遠足、ピクニック…。

おさむとケリーの話3
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