最近 少し早く寝る様にしてから
良く
夢をみるようになった
バイクに乗って あの娘との待ち合わせ場所に向かう
君が免許を取ったと聞いた時 僕は嬉しかった
そしてあの娘が僕にメールをくれた
「ついにバイク買ったよ」
「そうか よし天気も安定してるし バイクで出かけようよ
あの街道沿いのスタバに来て」
僕はメールを返すと バイクを走らせた
待ち合わせのスタバに近づくと
対向車線をこちらに向かってくるバイクが目に入った
BUCOのヘルメットにバブルシールド
細身のライダースにデニムを履いた あの娘だった
「Hal〜」
スタバの駐車場にバイクを滑り込ませながら 僕はその娘に声を掛けた
ちょっと振り返った君の表情は シールドに遮られて判らない
しかしその姿は どう見ても Capだった
だって 乗っているバイクまで同じなのだから
「Hal よく来たね
なんかむちゃくちゃ似合ってるよ
うん カッコいい」
「ホント? 嬉しい
なんかね こういうザ・バイクって感じに一目惚れして 乗るって決めたんだ
免許はそこそこ苦労したけど そこはほら
目標があるしね」
メットを脱ぎながらHalは話す
「頑張ったね さっきちょっと走ってるの見たけど 安心感がある
旨いなって感じだったよ」
そう応えた僕の目に飛び込んだ君の顔は
Eriだった
流石にここまで来ると
あれ?夢か?
なんて少し理解する
バイクに乗る姿で印象的な女性は Capだし
最近どうしてるのかなぁ と思うのはHalで
笑顔が印象的で 今も人の顔を思い出そうとした時に 真っ先に出て来るのがEriだ
あぁこれは夢だ
そう理解してからも 僕は普段話せない相手との一時を楽しんだ
そして その娘は
こんな僕に とても優しかった
友人の倉庫から引っ張り出し やっと自分の倉庫に移ったバイク
8年も放置していたわりに 案外綺麗な状態だった
しかし
このままでは また自分の倉庫で動かない日々を過ごす事になるのは 何となく感じていた
このままでは いけない
今年はついに 走行会に行ったし
本格的に趣味としてのバイクに没頭しよう
そうとなれば 早い方が良い
忙しさにかまけ 手付かずにはしない
気候も良くなり ガレージ作業もしやすい今が スタートだ
倉庫からガレージにバイクを移すと バッテリーの値段とタイヤ関係 キャブの部品などなど
リストを作った
出来る限り自分で整備して 整備記録と車検は業者に出す
手順が決まり 仕事の後の時間を使って 作業を始めた矢先に
事件が起きた
フロントブレーキのレバーが やけにヌルヌルとしている
倉庫からガレージに移した時は何とも無かったのに…
よく観察すると ブレーキオイルの予備タンクが空になっている
ブレーキのマスターピストンが逝ったな
部品手に入るんだろうか?
テンションが下がる
こっちをバラし あっちを調整…
クソっ
なんで ミリとインチが混在してんだ
集中力が削がれる
この調子だと
車検取れるのが 年を越しそうだ
このバイクの車検は どうしても年内 いや6月には取りたい
と言うのも
来年は他の所有車両が 全部車検となる
これ以上車検が同一年にかたまるのは 避けなければならない
仕方ない
全ての作業を
業者に委ねる事にした
見積もりは…
まぁ 予想通りの金額で収まった
そりゃ 自分でやるよりは高いが
その他諸々 事情を考えれば安い物だ
仕事が早々に片付き
時間を持て余した
そうだ 定番の散歩コースをもう少し延長したルートを作ってみよう
そう考えて 仕事帰りに高速に乗った
圏央道 青梅インター
ここを起点に 岩蔵街道へ
そのまま進むと 小曾木街道にぶつかる
ここを右折 飯能方面へ
途中 飯能方面は右折になる
これを右折して 県道70号を左折しても良いのだが
これはバイクでの散歩用
道なりに県道193号と名前を変えた道を もう少し進む
すると 特になにも目標物のない所で 右斜めに入る道が現れる
県道221号線 山王峠を越えるルートにつながる道
冬場は凍結や霜 雪の心配もあるのでお勧めできない
前述の飯能方面から 県道70号が良いだろう
山王峠を越えて下って来ると 最後に橋を渡って県道221号に別れを告げる
T字路を左に曲がり 県道70号を4キロちょっと進むと 変則の四辻に出る
真っ直ぐ進めば 山伏峠を越えて秩父方面へ
しかしこれでは 去年までの散歩コースの逆走になり面白くない
この四辻 大きく左にUターンする様な感じに曲がると
その先は成木街道/小沢峠へと続く
まぁ ここは登りこそ面白味はあるが 登頂部は隧道で下りは直線
人家もあるので あまりムキになると危ない
成木街道をこのまま進んで 都道193号に向かう手もあるが
ここは早々に右折路を見つけて 都道193号に向かう
都道193号に出たら右折
峠の名前は知らないが そこそこ楽しい時間を過ごして
JR軍畑駅の所で 国道411号行き当たる
この道 国道411号側から行くと JR青梅線の架橋が何とも美しい
さて もうこれで後は言わずもがな
国道411号を奥多摩方面へ向かえば
大麦代駐車場で一息つく
この先をどうしよう
まぁ 柳沢峠から中央道へ出ても良いのだが これだと散歩と言うより完全にツーリングだ
松姫や鶴は?
いやいや まだ通行止めだった様な気がする
それに 僕のバイクはあれらの峠向きではない
時間も程よくなっていたので このまま王道の奥多摩周遊道路に向かう
都民の森で再度休憩をしたら 後は一気に下るだけ
気づけば アッという間に圏央道あきる野インターに着いていた
平日と言う事で 渋滞にハマる事無く無事に下見が出来た
所要時間は休憩抜きで 約3時間
距離も程よく 約100キロの行程だ
今年の散歩コースはこれで決まり
これをベースに スタートを狭山日高インターにして
R299から山伏 R411からはそのまま塩山に抜けて
R137 河口湖 山中湖を経由 R413道志みちを楽しんで
相模湖 R20/大垂水 高尾山インターでゴールも良いかもしれない
ん?これ日帰り出来るのか?
ちょっとググる
あぁなんだ 250キロ弱か・・・
それプラススタート/ゴールまでの道のりだけだし
BMW買おっかなぁ……
取引先から電話があった
先週 お客様都合でキャンセルになった作業を この土日どちらかにやって欲しいという内容だ
いゃ〜 土曜はバイク乗りたかったんだよ
日曜は親族の集まりで動けないし
それでも
時間は僕の都合に合わせられると言われ
「日曜は完全に埋まってますんで
土曜日 そうですね11時に伺います」
よしよし これなら仕事をチャチャっとやっつけて 2時頃までに帰れば バイクに乗って遊べるな
そんな算段をしながら相手の
「じゃお願いします」
の声を待った
すると 返って来たのは意外な応えだった
「あ〜 えっと
それだと都合が悪いんですよね」
おいおい
この土日なら時間はこっちの都合に合わせられるんじゃないのか?
完全に当ての外れた僕は この時点で
怒り50%
呆れ40%
諦め10%
もっと早い時間 朝一番とかなら大丈夫かなぁ
でも距離があるから 辛いんだよなぁ
だいたい 先週だって10時の予約で 3時間待ちぼうけでキャンセルだろ
まぁ午後一番でなら まぁまだバイク乗れる可能性あるか
「じゃ 午後一番で
13時には到着します」
「それもちょっと…」
はぁ? じゃ何時ならいいんだよ
だいたいテメー 最初に土日なら時間はこっちに合わせるつったよな?
なんて 一度言ってみたい
「あぁ そうですか
じゃお客様のご希望はどんな感じなんですか?」
「5時か 4時位が…」
「じゃ4時で」
撃沈である
話題:いや別にすごい大事な話じゃないけどさでもさ誰かに曖昧な返事で聞いてほしいことってあるんだよ、あるんだもんだから、適当に聞いてほしい話
やい担当
請求額倍付けだからな 覚悟しとけよ