スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

遠い日の果てに


それは 小学4年生の時

同級生のKanさんに特別な気持ちを持っていた



まだ 恋なんて 言葉も意味も知らない


でも 彼女が気になり
自分のものにしたい

と はっきり思っていた



ある時 男子の間で
「誰が好きか」を言い合う 遊びが行われた

その時に居合わせた人が
順番に 好きな娘の名前を言うだけの 他愛ない遊び


順番に発表される中に 彼女の名前が出ない事を祈りながら
順番を待っていた



結局 Kanさんを好きだと言ったのは
僕だけだった




彼女を好きなのは 僕だけ



嬉しかった


みんなに 好きな事を発表した恥ずかしさより
僕だけだった嬉しさが 勝っていた





みんなに 好きな娘をバラしてしまうと
それなりに 楽な事もあった



音楽の授業は 音楽室に移動する

すると 周りの男子が
彼女の隣に座れる様に誘導してくれた


それぞれが融通して
音楽の授業の時 男子はほとんど 好きな娘の隣に座っていた




ある日 音楽の授業で
僕の筆箱を いじっているKanさんに気づいた

「何してんの?」


その問いに彼女は答えず
ただ 照れくさそうに 筆箱から手を離した

あの時の彼女の顔は
今でも はっきり覚えている



そして僕は

「Kanさんも 僕の事が好きなんだ」

と直感的に理解した



放課後

西日でオレンジに染まる教室で


帰り仕度もせずに 少し遊んでいた


掃除当番の子が全員帰ってしまうと

静けさだけが 教室を支配していた



僕は 彼女の席に
座ってみたい衝動に突き動かされ


彼女の席まで行ったが
「誰かに見られたら…」
と 怖くなり


机に触れただけで 椅子に座る事はしなかった




翌日
「僕とKanさんは好き同士」
と噂が流れた


筆箱の一件に気づいた男子が居たのだ




はやしたてられると もう上手くはいかない

急に恥ずかしくなって 意味もなく噂を否定してしまった





あの時

もっと素直になれていたら




その後
高校卒業位まで Kanさんの事は気になっていたが

友達以上には ならなかった

泥の終わり



1年位で結論を出すつもりだったのに


結局

Yosと別れるまでには
数年かかった



同棲を始めると
Yosの解雇の事でバタバタ


せめて次の仕事が決まってから

と待ったが


なかなか仕事が決まらない


決めた仕事も 長続きしない


まるで ろくでなし




ヒモの様な生活でいいや…
と 自堕落な生活をしていた僕が


甲斐甲斐しく Yosの生活を支えていた





ようやく
Yosが仕事を決め 安定する頃に


僕の仕事が忙しくなり

家には 寝に帰るだけになって

別れ話どころでは無かった





いつかは 絶対に別れる



それだけを決めて
ただ 時間だけが

流れていった




「別れたいなら
変に情けを掛けずに スパッと別れなさい

そうでないと お互いに将来の可能性を
無駄に消費するだけだから」

そう言ったのは
その後 僕の妻になる人だった


そして
その言葉が 僕を後押しした





別れ話を切り出した夜
ダメな僕は Yosと寝てしまった


「生で中に出していいよ…」


絶対拒否だった Yosが言った


この言葉で

僕は 一気に醒めた




その日を境に
僕らは なるべく顔を合わさない生活を始め

6週間後 Yosが家を出て行った
続きを読む

ありそうで あるかもしれない



Yosが仕事を解雇されてしまった



もしかして


それは僕と暮らし始めたからじゃないか?




事務職だったYosは
会社の専務の話を 良くしていた


バツイチのYosに 目をかけて
色々仕事のフォローもしてくれる

と嬉しそうに Yosは話していた





ところが

急に解雇



業績悪化でもなく
大きなミスをした訳でもなく



Yosは
「理由は解らない」
と繰り返した


不当解雇で訴えよう

と 僕は言ったが
実行される事は無かった





そして

僕は ひとつの仮説を立てた



Yosは 専務の愛人だったんではないのか?

現実?お噺?


同棲を始める少し前


Yosが
「今夜 用事があるから
娘を預かってくれない?」
と僕の部屋に 娘を連れてきた

数時間で済むと言うので
僕は引き受けた


中1になったばかりの娘

僕は自分の子供達と話している様で楽しかった





なんのきっかけだったのか


「わたしね もう経験してるんだよ
おかんには 内緒ね」
と 娘がカミングアウトした


かなり面食らったが

良く話を聞くと


援助とかでは無く
好きな人とだった事

相手がちゃんと避妊してくれた事
など 話てくれ安心した



が 相手の名前を聞いて びっくりした



Yosから

前からの知り合い

だと聞かされていた名前だった



完全に憶測だけれど
Yosは 娘を売っているんじゃないのか?



だとすると
今回 僕に娘を預ける目的は

そういうつもりなんじゃないか?



僕は怖くなった


と 同時に
なんとか 娘だけでも 救ってあげたいと思った




それからしばらくして

Yosと彼女の娘との
同棲生活が始まった

泥のはじまり


離婚後
僕の生活は

正直 誉められるものでは 無かった



行き当たりばったりの生活


生きるのが
面倒くさかった




Yosとは そんな頃に 出会い系で 知り合い

直ぐに寝た



バツイチで 収入も困らない位にあった Yos


そこそこ付き合い
場合によっては再婚も 悪くないか…


そんな 短絡的な考えで同棲を提案した



家賃や生活費は
一応 半分ずつ お互いが出す事に決め


マンションを借りた



実際に
一緒の生活が始まると

それなりに 快適で
人と一緒に居る 安心感が 心地良かった




しかし2ヶ月目になる頃
Yosが 勤め先を解雇された



理由は解らない
Yosに問いただしてみても
「解らない」
と言うだけだった


一旦 生活費全般を 僕が出し
Yosは 職安に通った

が 仕事はなかなか見つからない


次第に 職安にも通わなくなり
Yosは家に居る事が多くなった



まぁ 人生色々ある


僕は自堕落な生活をしていた時よりも

今の方が 楽しく幸せに


感じていた




とは言え

仕事を探す事すらしないのが
しばらく続き

僕の収入だけでは それ程余裕は無く

次第に ギクシャクした生活になっていった



そして僕は


Yosとの再婚は
絶対に無い と強く決め
それ以来 Yosに対して感情を閉じた









しかし

そんな生活が
その後 数年間続くなんて

その時は 考えもしなかった
前の記事へ 次の記事へ