毛利元就に再熱。
あの人、格好いいわぁ…だけどバサラ3は兄に取られてどんどん進められてます、ちょ、何で私のデータでやってんの…orz
閑話休題。
今回は元就様成り代わり。
だけど二重人格の副人格として元就様存在。
主人格は泣き虫、弱虫な女の子。
男装中。
おKな方はどうぞ〜
これは、何ぞ?
目の前…いや、己自身に降り懸かった自体に智将と名高き"毛利元就"は、思わず固まり思考を走らせた。
安芸の国。
数え年で三つになった少女に光の婆娑羅があるのだと知られた時、毛利家は揺れた。
婆娑羅者がいれば、まさに一騎当千。
毛利はこれで安泰だ、いや、もしかしたら天下を手に入れる可能性だって出てくるやも知れぬ、と過度な重圧が少女の肩にのしかかる。
同時に、こんな声もあがった。
どこぞの家に嫁がせるわけにはいかぬ、と。
オメオメと手放してなるものか、と少女に男子であるように強制した。少女の存在は抹消され松寿丸と新たに幼名と少年の存在を与えられた。
だが、子供はそんな大人の思惑など分かるはずもなくただ戸惑い、悲嘆に泣きつづける。
「やだぁっ、わたし、ぶげいなんてならうの、やだよぅ」
「我が儘を言うな、松寿丸!」
「わ、わたしのなは、そんななじゃ…」
「黙れ!そなたは将来、毛利家を発展させる男子!泣き言をほざくでないわ!」
「わたし、おのごじゃ、ないもん…っ」
「馬鹿なことを申すな!」
「ふ、ふぇぇ…っ」
どうして急にこんなことになったのだろう、と子供は涙を流す。
唐突に己の名を変えられ、男子の格好をされ、武芸を習わせられ、失敗すれば余所の男子はもっと出来るのだと罵りられ。
今まで習いも見もしなかったことを、余所の同い年の男子と同等に分かり動くなどと到底不可能であることだと言うのに。
「いたいのやだよぅ…こわいよぅ」
どうして誰も否、と言ってくれないのだろう。
自分は女子なのだから、何もかも可笑しいではないか。
武芸なんて習う必要なんてないのに。今まで罵られたことなんてないのに。
何より、痛いのは怖いし嫌いだ。
「ふぇぇええんっ」
いつも武芸を終えたら、痛みを訴える身体に鞭を打ち自室の隅へと膝を抱え込みに走る。
嫌だ、嫌だ嫌だ、と泣きつづける子供の耳に不思議な声が届いた。
『これは、何ぞ?』
「うぅっ…、…?」
部屋には誰もいないはずなのに、男の声が聞こえて子供は顔を上げてキョロキョロと首を巡らす。
誰も、いない。
「だぁれ?」
『貴様こそ誰だ』
姿なき者に有無も言わせぬ冷たい声で返され、子供は肩を跳ねらせ瞳に涙を溜める。
「え、えっと、わたし…あ、わ、われ、は、松寿丸」
『……松寿丸、だと?』
「う、うん」
『いや、だが、しかし……』
「……?」
戸惑う声に首を傾げる。
どうしたのだろうか。泣いていたことも忘れて子供は目をパチクリとさせて姿なき者の、次の言葉を待った。
『貴様は、女子であろう?』
「…!うん!」
久方ぶりに己が女子である、と肯定的な言葉で返され子供は嬉しそうに頷いた。
認めてもらうことが、こんなに嬉しいなんて思わなかった、とニコニコと笑う。
『ふむ……考えを整理するゆえ、少々待て』
「うん!」
そこで毛利元就の思考へと戻る。
元就は既に元服しており、安芸の国を治める武将であった。幾度も戦にも出て、全国に智将の名で知れ渡っていた。安芸を、毛利を存続させんがために策略を巡らせ戦に出ていたそんな折に、気付いたら覚えのある屋敷におり、泣いている少女がいたのだ。
しかも、その少女の名は己と同じ幼名を持っている。
しかも、先程見た家臣には見覚えがあるが、些か若返っているようだった。
過去。
それも、己の知らぬ過去。
夢を見ているのだろうか、と智将と名高い元就は頭を抱えたくなった。
そんな悩みを抱えているとも知らずに、少女はぼんやりと元就の次の言葉を大人しく待っていた。
姿なき声。
幽霊なのだろうか、否、怖いとは思わない。
むしろ心地好く安心する声なのだから、幽霊のはずがない。
きっと、妖精さんなんだ。
だから姿は見えないんだ、と納得すると同時に嬉しさと希少の存在に崇拝の気持ちでニコニコと子供は笑顔を浮かべた。
私が貴方、我が貴様。
────────
オクラの妖精。
笑うところですw