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血塗られたヴァレンタイン

とか題名を書いたけども中身は普通です。
しかもバレンタインとかお前どんだけ時期遅れー……


や、ヴァレンタイン夢は考えてたんですげど結局書けなくて……メールにて途中まで書いたんですが、削除してしまったとかさw
何のお約束だよ、自分ww



って訳で、『晴れ渡る空』設定にて子供ネタの没ネタですわ。










「わぉ、凄い量だね」


目の前にある応接室の机……いや、机があるはずの場所を羽恭が目を見張った。
机が埋まって見えない位に詰まれている綺麗にラッピングされた箱の山。

今日は二人の誕生日ではなく、巷でオトメやらが騒ぐイベントの日…バレンタインだ。

それだけじゃなく応接室全体に甘ったるいチョコの匂いが充満していて紗恭は眉を寄せた。


「何で私まで…」


「女帝様だからね」


これが羽恭の分ならまだ良かったが、半分は自分のモノなのだから紗恭には意味が分からなかった。
即答で羽恭から返された女帝、とは女の身でありながら並盛の秩序として光臨した紗恭に付けられたものだ……これも女性に優しい姐さん肌の気質も起因なのだが、本人に自覚はない。


「私、甘いモノは苦手なのよね…」


「そう言いながらも、渡しに来た女子を蔑ろにしないからだよ」


確かに、断らないのは自分なのだが紗恭はムッ、と口を尖らせた。


「……だって、母様が女子には優しくしろって言うじゃない。羽恭だってそうでしょ」


「否定はしないけど……何入ってるか分からないから食べるなよ?」


「甘いモノは嫌いだって言ってるじゃない」


「はいはい」


何の呪いか爪やら唾液やら入れる人もいるらしいし、毒物がないとも限らない。
普通の好意で渡してくれた人には申し訳ないが、気持ちは受け取ったという事で勘弁してもらいたいものだ。
取り敢えず、下っ端に処理を任せようかと考えている羽恭を紗恭は横目で睨み付けた。


「───…それで?」


「は?」


「今年の成果よ。噂だと並盛中でも上位のマドンナに渡されたそうじゃない?」


「…あ─……そんな奴も、いたかな」


「……ふーん」


頭の後ろを掻いて言う羽恭に紗恭は気に入らなさそうに見た。

気に入らない。顔だけ良いからと言って何なのだ。
敬愛する母には(敵じゃない)女子には優しくと言われてはいるが、自分はそもそも父の様に群れるのは嫌いだ。
気配に敏感で人が多いと苛々するのだ。あんなに群れてどうしたいんだ。
群れる事でしか自分の意見を…それも他人に合わせた意見しか言えない人を紗恭は心底嫌悪していた。

だが、羽恭はそんな感情はない。

どちらかと言うと母似の性格なのか根は温厚でもあるし、それなりに人付き合いはする要領の良さがある。
自分とは違う。
それが苛々して堪らない。
だが、その違いも同じ所も一番知っているのは自分だと言うのに羽恭に告白する女子が一番苛々させられる(だいたい、羽恭の方が甘いのは苦手なのだ)
お前に羽恭の何が分かると言うんだ、と舌打ちしたい気分だ。


「……不愉快だわ」


「何が」


「全てがよ。さっさとソレ全部処理してちょうだい。甘い匂いが充満して気分が悪いわ」


「はいはい…じゃあ、今の内に渡しなよ」


「は?」


窓を開けて冷たい風が入るのも気にせずに換気する紗恭に向かって羽恭が手を差し出した。


「俺、毎年二つしか受け取らないから」


「………羽恭」


二つ。
毎年、家族全員に渡す母の丁度良い口どけの甘くて美味しいチョコと、


「紗恭も、毎年三つしか造らないだろうな?」


自分の甘ったるくない苦味のあるチョコ。


「…当たり前よ。弱い男に興味はないわ」


ぽんっ、と手渡したチョコに羽恭は嬉しそうに笑った。


「ありがと─」


「お返しに期待してるわ」


「はいよ」


今は、恋愛よりも家族愛で充分だ。





「はい、二人共。ハッピーバレンタイン」


「「ありがとう、母様!!」」


母に貰った瞬間が二人して一番の笑顔だったのはおあいこだ。





「……って言うか、早く食べてあげようよ、恭弥」


「っ……勿体無い気がするんだよ!」


「食べない方が勿体無いから」


娘に貰った手作りチョコを大切にする父の姿は毎年の事だった。






──────
最後は本気で手抜きな没ネタ。
と言うか、オリジナルキャラしか出てないと言うねw


しかも何か近親愛ぽい…(!)
や、あるお方と話してたら近親愛も良いよね!みたいになってですね!
でも甘く書けなくて没。
ごめんなさい。
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