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豪華客船

旅をしよう


行き先は…アメリカ??


船の中には世界中の高級な店が立ち並び、入るのが億劫な程にキラキラと輝いている


変な奴に会う…名前は分からない


さっきまで別の人と楽しそうに話していたのに、何故か私の方に来た


乗船の時、一度目が合ったのは覚えてたけど、なんで私を選んだのだろう


そこには言語という概念がなくって、奴が私を選んだ瞬間から私達は恋人だった


ほろ酔いだった私は、出発の時刻も忘れて船内をデートした


奴は私と一緒に船に乗って行こうとしていた


でも私は帰るべき場所がある


そう言うと奴は少しだけ怒った様な顔をして、さっきの私を選んだ様に別の人と恋人になった


そして私は、同じ様に船の魔法にかけられた友人の手を引いて、碇を上げて岸から浮いた船から、黒い水に飛び込んだ


泳げない私は必死にもがき、友人と共に海に浮かぶバスに戻った


するとどうだろう、私と同じ様に踏ん切りの付かない人達が、バスを目指して泳いで来る


私はもう濡れたく無かったのだけれども、友人に言われ渋々浮輪を付けて皆を助けに行った


滴り落ちる水滴でバスが沈むんじゃ無いかと思うほど、皆ずぶ濡れだった


勿論帰って来ない人も居たのだろうけど、そんな事を一々調べないし、知った所でどうする事も出来ないのだ


数年後、奴は結婚していて一児の親でもあった


子どもの歳を尋ねると、『分からない』と言われた


旦那と二人で誕生日を決める所だったらしい


因みに、間違えなく自分が産んだと言っていた


そんなものなのかと素直に納得してしまった

起きて

夢の中で氷が回る


ぶつかり合い砕け散るその刹那、注がれる液体


冷たいグラスに注がれるカクテルは、まるでマグロの様にその世界と混じり合う


薄暗い夕方、目が覚めて気が付くと壁とベッドの隙間に腕が挟まっていた


鬱血した右手の感覚を取り戻しながら、左手のシコリを噛み潰す

痛い


複雑な痛み


タオルケットに蔓延る豚を弄りながら、妄想無しで自慰をする


指の感触を確かめながら、朽ち果てる


日の出の空は何処か寂しげで


街の明かりをぼやかしながら闇を包んでいく


地面と擦り合う蝉を安全なところから眺める


『生きづらいなー』と言った、私は『生きづらいなー』と思った


靴下を脱いだ時、内側にあろう筋繊維を思わせる細い筋が何処か懐かしい


いつか知るであろうその時に向けての準備


総てそのために動いてる

今さっき

目が覚めると、そこは眠りに堕ちた場所とは違う何処かで


薄暗い部屋の中、状況を把握しようと、輪郭の合わせられない瞳を必死に動かす


記憶が抜けている訳では無く、ここは明らかに、私の知っている部屋では無い


音…光…空気…臭い…味


総ての調律が少しだけ狂っている


恐る恐る、蛍光灯から垂れる紐にてを伸ばす


明るくなった室内は、なおもズレ続けていた


異様な空間の原因が部屋に有るのか、私の感覚的な問題なのかは定かでは無いが、前者である可能性に備えて一応は身構えてみる


まぁそうしたところで、何かが起きるであろう不安と期待は、結果として意味を成さない事を私は知っている


所詮それは後者の作りだすいつもの妄想で、直ぐにいつも通りの自分になるはずだった


しかし目覚めから半刻が過ぎた今でも、その場所としての空間的違和感は依然として私を支配していた


意識ははっきりとしている、だからこそ募る焦りが感覚的要因として違和感に拍車をかける


ひとまず色々な物を手にとって、その感触を確かめてみる


どれもがまともで正しい価値を持っていた


勿論それは『私が今ここで正常である』という要素が前提である事は言うまでも無いが、それを知る客観的意見を伝えてくれる物はそこには無かった


部屋に鏡はあったが、自分の映るその有りのままであろう自分を22年目にして先入観を持たずに見るなどと言うことは到底無理な問題である


それに、こんな時に鏡を見るなどという愚かな行為は私の意気地では出来無かった


仕方が無いので、部屋を暗くしてもう一度寝る事にする


また元の世界に戻れる事を祈りながら
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