旅をしよう
行き先は…アメリカ??
船の中には世界中の高級な店が立ち並び、入るのが億劫な程にキラキラと輝いている
変な奴に会う…名前は分からない
さっきまで別の人と楽しそうに話していたのに、何故か私の方に来た
乗船の時、一度目が合ったのは覚えてたけど、なんで私を選んだのだろう
そこには言語という概念がなくって、奴が私を選んだ瞬間から私達は恋人だった
ほろ酔いだった私は、出発の時刻も忘れて船内をデートした
奴は私と一緒に船に乗って行こうとしていた
でも私は帰るべき場所がある
そう言うと奴は少しだけ怒った様な顔をして、さっきの私を選んだ様に別の人と恋人になった
そして私は、同じ様に船の魔法にかけられた友人の手を引いて、碇を上げて岸から浮いた船から、黒い水に飛び込んだ
泳げない私は必死にもがき、友人と共に海に浮かぶバスに戻った
するとどうだろう、私と同じ様に踏ん切りの付かない人達が、バスを目指して泳いで来る
私はもう濡れたく無かったのだけれども、友人に言われ渋々浮輪を付けて皆を助けに行った
滴り落ちる水滴でバスが沈むんじゃ無いかと思うほど、皆ずぶ濡れだった
勿論帰って来ない人も居たのだろうけど、そんな事を一々調べないし、知った所でどうする事も出来ないのだ
数年後、奴は結婚していて一児の親でもあった
子どもの歳を尋ねると、『分からない』と言われた
旦那と二人で誕生日を決める所だったらしい
因みに、間違えなく自分が産んだと言っていた
そんなものなのかと素直に納得してしまった