このダンディな髭の紳士がポアロでしょうか。
多分「そして誰もいなくなった」に次いで有名な作品なんじゃなかろうか。
確か海外ではドラマや映画にもなっていたような気がするし、これのオマージュのような内容もしょっちゅう目にする気がする。
舞台が寝台列車というところがまた素敵ですね。
止まれないじゃないですか、急行だからw
(そういう問題じゃない?w)
というかクローズドサークルものが好きなだけですw
これも一応クローズドサークルですよね?
被害者は過去に悲惨な事件を起こしたアメリカの富豪。彼が12もの傷を受けた刺殺体となって発見されます。
しかし容疑者は皆確かなアリバイがあって……
ということで普通に読んだら犯人おらんやんけ。
誰やねん。あいつか?それとも主人公だと思ってたポアロか?実は探偵が犯人というトンデモトリックか?
とそこまで考えて何故真相(トリック)に思い当たらなかったのか自分でも不思議ですw
※ネタばれ注意
といっても、この犯人(トリック)はとっても有名だから知らない人の方が少なそうです。
このオリエント急行に乗り合わせた人々は国籍も業種もバラバラ。
一見何の関係もないように見えますし、実際トリックのある接点を除けば「親戚の友達の従兄弟」レベルでほとんど関係ないようなものなんじゃないかと思えるような人物もいますがw
そのある接点がとてつもなく大きなものだったんですねー…
実は被害者が過去に起こした事件の関係者が集まって復讐したという、全員が犯人という真相。
犯人だらけですよ、このオリエント急行。ポアロ達を除けば犯人しか乗ってない。
被害者も過去の事件の犯人だし、集まった関係者もその犯人を殺害した犯人だし。
ポアロの「誰々は何処そこの国で育ったから何々だろう」という推理の仕方に何故だか時代を感じました。いやー面白かった。
私、もしや国名シリーズを制覇?
▼収録作品
・ブラジル蝶の謎
・妄想日記
・彼女か彼か
・鍵
・人喰いの滝
・蝶々がはばたく
国名シリーズは外れないという勝手な思い込みからなのでしょうが、全体的に何故かいつものような爽快感をあまり感じられませんでした。
ミステリ部分は綺麗にまとまっているし、火村とアリスの掛け合いも面白いのですが…。
何となく「暗い宿」(同じく火村シリーズ)に似た雰囲気を感じました。
推理のためにある物語というより、推理を通して人間を見るというような。
もっとこう、擬態語っぽく表現すると“ぐわんぐわん”しているのに“シャッ”とするような推理物が好きなので(うーん、余計伝わらない気がする)、要するに今作はあまり好みではありませんでした。
“ぐわんぐわん”のくだり、書かない方がよかったな(笑)
通り魔により植物状態に陥っている幼い娘を持つ刑事が主役の短編連作。
真相には意外性がありますが、事件物(刑事物)というよりは、主役の刑事(名前は忘れました)を中心としたヒューマンドラマみたいですね。
周りの人物の目線から物語が描かれているので、主役の刑事がいかに素晴らしい人物かがよく分かります。
皆さん、最終的には主役の刑事を慕いますから。それほど素晴らしい人物なんですね。
ヒューマンドラマと言っておきながら、それと矛盾する表現かもしれませんが、主役が神様級の人物(とにかく人が良い)なので、私は好きではありません。
その分構図はわかりやすいのですが。
中には後味が悪くなるような話もありましたが、短編でもなかなかボリュームがあるのでまぁ満足はしています。
黄道12星座をテーマにした短編集の1作目。
牡羊座から乙女座までが収録されています。
法月親子が登場する推理小説ですが、これといって頭に残るような話もなく満足感もなく……。
ひとつ余計なツッコミなのですが、各話冒頭にそこそこの長さで星座の神話が解説されている割に、本編とあまり関係がない点が気になる。
いえ、関係ない事はないのですが、ちょっとこじつけ臭いというか。
星座に対して、神秘的で美しいというイメージを私が持っているからなのか、それぞれの話の真相が何となく俗っぽくてあまり楽しめませんでした。
星座をテーマにしたミステリーだから、てっきり「どこかの館に集められた12人の男女が、各々の星座に準えて次々に殺されていく」的な本格推理小説かと思ってたんですよ(笑)
ちょっと具体的にイメージしすぎですけど(笑)
要は、王道の雰囲気があるのかなと。黄道だけに(しょうもな)
そういったことは特になく、星座を抜きにしたら何だか刑事ドラマ感が漂っています。
が、私がそういう方向性を期待しすぎたから満足に楽しめなかっただけで、普通のミステリーとしては面白いと思います。
個人的には双子座の話が一番好き。
▼収録作品
・暗い宿
・ホテル・ラフレシア
・異形の客
・201号室の災厄
宿がテーマの短編集。
犯罪学者の火村先生と作家の有栖川が活躍する火村シリーズですが、この本は推理小説という感じがあまりしませんでした。
変な言い方ですが、国名シリーズが推理に重点を置いているなら、こちらは宿での話に重点を置いていて明確な“解決編”がないように思います(解決はするけれど)。
“宿”と一言でいっても本作に登場する宿は、廃墟と化した嘗ての宿から豪華なリゾートホテルまで様々。
客人も様々で、包帯巻きの男やら人気の海外ロック歌手やら、風邪気味の有栖川やら酔った火村やら……怪しい雰囲気が満天ですね。
宿にまつわる人間のミステリチックな話。