けんちゃんはいきなり、

『僕が悪いんです。
ねーさんは悪くないです…

少し、
距離を置いた方がいいんじゃないかと思いました。』



これは、メールでの話。





距離を置く……

都合のいい言葉だ。



私なら、
会いたくない相手か、

気持ちが離れた時に使う。





『僕が、意図せずねーさんを傷つけてしまうこともあるからです。』



この言い回し…


けんちゃんは論文の書き過ぎで
こんなおかしな表現しかできないんだわ。



それにね、
この時点でじゅうぶん私を傷つけてるわよ。

気がついていないでしょうけど。







『意図せず…ね。

けんちゃんがそう言うなら。』




『はい、
ワガママ言ってすみません。』





距離を置くとか、
そんなまどろっこしいことしなくても、

もう既に終わってるじゃない。




その距離はもう 縮まることはないよ。





『今までどうもありがとう。

就職、けんちゃんならきっと大丈夫よ!


さようなら。』






それから 20分ほど後に
けんちゃんからの返事がきた。





『結局僕は 
ねーさんに何もしてあげられませんでした。

ごめんなさい。

さようなら。』





けんちゃんも
サヨナラを受け入れてくれた。