話題:SS
『では、私はこれで二人の会話をモニタリングさせて貰います』
何時の間にか仁来の手には、どこから取り出したのか5インチぐらいの液晶モニター付きの小型端末機があった。
『…それは?』
『まあ、携帯型【EMMA】といった所です。今は、そちらの【EMMA】とリンクさせてあります』
こうして、ついに最新鋭のウソ発見器【EMMA】を使った取り調べが始められたのだが…
先ず最初に町村の口から出た容疑者へ問いかけは、事件とは何ら関係性の感じられないものだった。
『しかし、あれだな…今日は本当に朝から酷い土砂降りで…お前さんも早く家に帰って熱〜い風呂に入りたいだろ?』
怪訝な表情を浮かべる容疑者に、町村が云う。
『ん、どうした?今日は朝からずっと雨だったよな?』
しつこい町村に容疑者の顔に警戒の色が微かに浮かぶ。
『おかしな事を云いますね…今日は朝からずっと快晴じゃないですか』
その言葉を受けて町村は改めて【EMMA】の液晶画面に目をやった。
[おかしな事を云いますね…今日は朝からずっと快晴じゃないですか]
そこには、たった今、容疑者の語った言葉が一語一句違わない形で表示されていた。仁来の云った通りである。
更に、液晶に表示された文字の色は全て白色であった。これはつまり、そこにウソは含まれていない事を示している。
《続きは追記からどうぞ》♪