話題:暑い(~Q~;)



暑過ぎて集中力も思考力も消臭力もナッシング。ならば、ここは一つ、気力が尽きる前に短くパパっと話を済ませてしまいましょう。夏のアレとかアレについてのお話。


@『言わなくなったアレ』

誰も言わない。日射病って誰も言わない。そんでもって、当たり前のよう熱中症と言う。太古の昔から使っていたかの ように熱中症と言う。前は、それまでの癖でつい日射病と言ってしまう人とか、変化を受け入れず半ば意地で日射病と言い続ける人も居たのに、何時の間にかそんな人たちも見なくなってしまった。その後に生まれた熱射病などもはや影も形もない。

何とか他人の口から日射病という言葉を聞きたくて、余程ご高齢の方なら或いは、と思い、80代の爺様に「小まめに水分摂らないとほらアレになっちゃいますからねぇ、ほら、アレ」と誘導訊問風に問いかけてみたが、「ああ、熱中症ね!」と涼しい顔で答えられてしまった。

誰も言わない。日射病って誰も言わない。もちろん私も、100%言わない。



A『見かけなくなったアレ』


子供の頃は舗装されていない土の道路が結構あったし、空き地や籔、茂みもたくさんあった。道の側溝にドブ川が流れていたりもした。そのせいで虫の類いも多かった。それは勿論、趣の深い情緒ある風景なのだが、時に地獄絵図を生み出す事もある。

真夏。灼熱の路上に広がった無数のミミズの亡骸がそれである。干からびてミイラと化したミミズが道いっぱいに広がり、それが何十メートルも続いている。これを地獄絵図と言わずに何と言えば良いのか。気力と体力が充実している時はミミズとミミズの隙間を軽業師のように飛び歩いて進んだりもする事も可能だ が、気色の悪さは如何ともしがたく、泣く泣く遠回りしてミミズの少ない道を通る羽目になる。

それはこの世の無常や命の儚さを私たち子供に教えてくれているように思えた……事などまるでなく、ただただ不気味なだけであった。

そんな光景ももはや遠い昔。土の地面や水場が無くなったせいだろう。昔ながらの風景が姿を消してしまう事は大概、寂しさや切なさを呼ぶけれども、干からびたミミズで埋め尽くされた灼熱の道路に関しては、ホッとしたの一言に尽きると言えるだろう。



それにしても暑い。もともと暑さには強くて未だかつて夏バテした事は一度もないし、夏に食欲が落ちた事もない。この夏もむしろ食欲が増したぐらいだ。……とは言うものの、さすがにこれ以上暑くなると厳しいかも知れない。そう予感させる今年の夏であった。残暑厳しい折、皆様もどうかご自愛下さいませ。


〜おしまひ〜。