ブラックジャックと、ひとりの中年男が、爆発物のボトルがずらりとならぶ教室に神妙な顔つきで佇んでいる。


『わたしもこんなかたちで学校を辞めたくないのだが、欲望を抑えきれないのだよ』

防犯カメラが赤く光っているが、イミテーションらしい。



爆発物のボトルは、生徒の椅子の後ろについている突起でふたを開け、ライターで火をつける仕組みらしい。


椅子を借りる生徒の机の上には、雑誌。頭上には首をつる縄。

この頭のいかれた校長は、この生徒が自殺のために爆発物をしかけたことなしたいらしい。

ブラックジャックは、『中の薬品の効果は保証しませんからな』と念をおすと、先に教室を出た。

どうやら
爆発することで今までの人格人生と180度変わることができるというもののようだ。


それにしても訳の分からない状況である。
爆発させる意味もわからないし、椅子で起動する意味もわからないし、イミテーションのカメラの意味も、首吊り縄にかわいいオルゴールがぶら下がっているのも訳が分からない。


校長は意を決したようにバルブをあけ、ライターを放った。





どぉ…ぉん…






地響きとともに、室内が煙で充満する。

『なに!?なに!??』



周りの教室から、何事かと生徒たちがわらわらと集まってくる…





がらっ

と、煙のたちこめる教室のドアが開いた。



そこにいたのは、顔面は校長そのものだが、厚塗りのヴィジュアル系メイクがほどこされ、髪もピンクのロン毛になった男だった。


『こうちょうせんせい…』





皆が固まる中、るんるんな様子で、外へ出て行く中年ピンクオカマ男。。。


ずっといってみたかったダウンタウン…若者の集まる駅…

好奇の目で見られるのも、頭のいかれた男にとっては、快感と化し、どんどん気も大きくなってゆく。



男は、駅前でナンパをしているヤンキーたちの前に立ちはだかった。


『ハッハー!君たちも大変だね!僕は〜♪』

突然始まるミュージカル。
ホップステップしながら男の両脇に収まるふたりのメガネブス。

『ナンッパ♪なんか♪しなくって〜も〜♪』

ターン、くるっ、ターン。

『モテモテって最高〜♪きみたち〜哀れ〜♪』

頬を赤らめるメガネブス。どこからきたのかメガネブス。



ヤンキーは、唖然としていたが、

『あ?死ね基地外が』
と、思い切り男の尻を蹴飛ばした。




『ぁぐっ!』

男は駅の改札に頭を打ちつけて、ぱっくり額が割れた。


『うわあああああ血がああああ』

以外と元気にダッシュで無賃で改札を抜ける男の目の前にはなぜか川が流れる


暗く大きな川だ(笑)

そこへ船でブラックジャックが登場。

『いわんこっちゃない。はやくのるんだ』

ブラックジャックは男の手を引き、船に招き入れる。


その船がどこへゆくのか、男はどうなったのか、
そのあとのことは誰も知らない…



ーendー