私は何かから逃れるように旅に出た。
私は両手を羽ばたくと空を飛べる。
見慣れた田畑、用水路、山を越え…海に出た。
気持ちのよい風を受けながら必死ともいえる動きで海面すれすれを羽ばたき続ける。
私の飛ぶ速さが異常なのだろうか…北に向かっているようなのだが、『香港へようこそ!』や『漢字でよめない』などの看板が大陸越しに見える。
この世界はおおよそRPGのマップのような簡易なつくりだ。
しかし、羽ばたきつづけているといささか私も疲れてきた。
ふと神の声が聞こえる。
『下を見よ』と。
見ると海面に何かが浮いている。
…
あざらしの顔のどアップのあれ…
鼻セレブ
のポケットティシューであった。
私は驚きながらも流れるような動きでその中身を二枚出し、左右の手に一枚ずつ持って羽ばたいた。
なんと楽。
すすみの早いことか。
私はそのまま、ひたすら飛び続けた。
しばらく飛び続けると、新緑の大陸につく。
深く覆い茂る森の中には、ウッディーな感じの小屋小屋、
私は大きな一本の木の枝に掴まり、一息をついた。
わらわらと集まってきたのは、リスやタヌキなどの可愛らしい動物たち。
思えば空気が凜としてとても肌寒い。
私は尋ねた。
『ここは…?』
動物たちはくちぐちに答えた。
『ろシアー!』
『ろしあー!!』
『ロシア〜!』
なんと、私はロシア大陸まで来ていたようだ。
動物たちに礼を言い、木の上から降り立ったところで、あまりの疲れに気を失った。
ーendー