奔放な父に妊娠を告げず一人で双子を育てていたが、金銭的に苦しくなり千明を手放した母。やがて大学生になった千明と千浩は出会い、兄妹としてルームシェアを始めるが、互いに恋愛感情を抱いてしまう。

二人の父親がやっているという山登りに、新婚夫婦として会いに行く悪ふざけを考え付き実行した二人は、千浩が口を滑らせた事から自殺してしまう。

双子の兄妹だと周りにも思い込まされていたが、千浩の妹は事故死し、その妹として従兄弟の美雪が千明として生きていた。
そして千浩の父は千浩と同じく弱虫で、千浩が自分を尋ねてきた事を妻に悟られ、妻に弁明しようとし足を滑らせたと推理した千明は、もはや千浩に対する愛などなかった。

兄妹だと信じていたからこそ愛していた。そんな千明は元カレにそれを伝えて、推理する鍵となった自分の記憶通り、公園に、千浩の妹ではなくなった千浩のナイフを埋める。

千明が賢くて推理がどんどん進み、面白かった。

『木洩れ日に泳ぐ魚』
著者 恩田陸
発行元 中央公論新社