今度は真田がいます。なのではっきり蓮華表記。ここまで書けてよかったです。
稲荷神の蓮二の話、第2話です。
前回3話くらいまでと書きましたが、もう1話くらい増えるかもしれない…
人の子に化けた狐と、少年との出会い。
今度は真田がいます!(大事なことなので以下略)
二人ともショタなので年齢操作ものが苦手な方はすみません。
それでは以下よりどうぞ〜
[狐と少年・出会い]
祭囃子の商店街で、誰かの泣き声が聞こえる。
社を飛び出した稲荷の子・蓮二は、あくとに言われた通りにお面を買って顔に被せた。
何やら特撮物らしい白い顔のお面。子供向けの番組はあまり見ないのでよくわからないが、気に入ったのが無かったので適当に選んだ結果だ。
それから別の店でたこ焼きと林檎飴を買い、お面を少しずらして食べながら、あたりをぶらぶらと歩きまわっていたときだった。
「おじいさまぁ…おじいさまはどこいったのだ…うぅ」
今にも泣き出しそうな少年の声が、蓮二の横を抜けていった。
迷子だろうか。この人ごみでは仕方あるまい。
きっとあの少年のおじいさまも探しているだろう。大丈夫だ。
と、放っておくこともできたのだが。
「大丈夫か?」
一人ぼっちは寂しかろう、と同じく一人でいる蓮二は、泣きそうな少年に話しかけることにしたのであった。
「人に関わり過ぎるな」と言われたが、「人助けをしてはいけない」とは言われていない。
「…だ、大丈夫だ!俺は平気だ!このくらい…」
しかめた顔で言われても説得力が無い、と蓮二は思う。
その少年は今の蓮二よりほんの少しだけ背が高かった。黒くて短い髪の毛で、意志の強そうな眉毛を生やしているが、今は弱そうな表情だ。
黒地に金色の糸で縫われた、甚平姿だった。
「おじいさまを探しているのだろう?よければ手伝うが」
「どうして?」
「たまたま声が聞こえて、放っておけなくなったからな。探すなら一人より二人だ。それと…」
少年の足へと顔を向ける。
おじいさまを探しているときに転んだのだろう、膝小僧が血で滲んでいた。
「我慢はいけないな」
「うっ」
ばつが悪そうに顔を背けた。
「まずはその膝の手当てだな。行こうか」
「…かたじけない」
年の割に古風な口調で、少年は蓮二に頭を下げる。
祖父への呼び方といい、口調や態度といい、この少年はどのような家で育ったのだろうか。
「そういえば」
「ん?」
「きみは、何と言う名だ?」
「…れんじ、だ」
「そうか!俺は…さなだげんいちろう、という。よろしく頼む」
さなだげんいちろう。
胸に刻みながら、狐は少年の手を引き、人ごみを抜けていった。
つづく
・・・・
稲荷神の蓮二は真田やあくと兄さんより実年齢はかなり上なのですが、他の稲荷神たちからは子供扱いされてます。
あくとさんを兄のように慕っているのもそういうわけです。
精神的には今回の真田くんと同じくらいですね。10歳くらいです。