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「酔ってない。」A/2

@/2からの続き
※成人向け表現注意※



******


ジリリリリリリリリ

けたたましい電子音に眉をひそめ、起きる、手を伸ばして目覚まし時計を止めようとして、失敗して目覚まし時計がベッドサイドを転げ落ちた。

愛沙「んもおぉおお」

とてつもなくだるい体を動かして、ベッドの下に足を延ばして時計を拾い上げる。
そこで、廊下の方からがちゃ、と音がした。

翔琉「ああ、起きてたんですね。目覚まし止めなきゃって思って来たんですけど」

しわの寄ったシャツにスラックス姿の後輩がそこにいた。

愛沙(翔琉が、なんで???)

起き抜けのぼーっとした頭でふと足元を見やる。

愛沙(あれ)

翔琉「愛沙さん、服着ないと風邪ひいちゃいますよ?」

愛沙(!!!裸!!!?)

それを認識した途端に昨夜の行動が走馬灯のように思い起こされる。
想いが募っていた後輩にアタックしようと酔ったふりをして部屋に連れ込んで、そのまま……。

愛沙(あああああああああ!!)

急激に顔に熱が集まる。

翔琉「愛沙さん?……もしかして、朝から誘ってます?俺は大歓迎ですけど」

後輩の冗談とも本気ともつかない言葉もすぐには理解できないほど、
頭がくらくらする。
布団を手繰り寄せ、うなだれた。

翔琉「我慢します。愛沙さんが嫌なことはしたくないですし」

愛沙「ええと……うん」

なんと言っていいかわからない。

翔琉「ところであの……」

愛沙「な、なに?」

翔琉「すみませんでした!!!」

愛沙「え、ええ??」

土下座の勢いで頭を下げた後輩に目をぱちくりさせてしまう。

翔琉「あの……昨日のこと」

愛沙(あー……そういうことか)

勢いでしちゃっただけで私とそういう関係になるつもりはなかったとかそんなオチというわけだ。
悲しさよりも、無感情と言うか――凪いだ感覚が押し寄せてくる。

愛沙「私こそごめんね、無理や――」

翔琉「いいえ!こういうのは男の方がきっちりするものなんで!!
その……申し訳ありません!!!」

愛沙「そんなに謝ってもらわなくても……」

愛沙(余計傷つくな)

謝られるごとにズキズギと胸を杭で打たれるみたいだ。
痛みを堪えるのになれてしまった大人な自分が表情を取り繕うとするが――

翔琉「好きです!付き合ってください!!!」

愛沙「はい……?」

翔琉「いえ、だからその……男として情けない話なんですが、つい舞い上がってしまって……告白をしたつもりになって先にその……一線を越えてしまったのではないかと思いまして……!」

愛沙「え?」

翔琉「べ、別に責任をとるとかじゃないですよ!?ずっと隙あらば気持ちを伝えようと思ってたんですが……昨日の飲みの途中は先輩思い詰めたみたいな顔しててそんな話してる場合じゃないなって思って、あの、送り届けるってなったときも不埒な真似は断じてしないと思ってたんです!断じて!!意思が弱くて情けない結果になってしまいましたが……」

愛沙(なんだ)

謝って来た理由がわかって、口の端に笑みが零れてくる。
けれど、はた、と気づく。

愛沙(あれ…?)

慣れない誘惑に戸惑い、熱に浮かされながらも、目的は達成できた―――と、思っていた。
想いを伝える、という最大の目的を。
翔琉は『男から先に』と言ってなかったか。それじゃあまるで……
思い至った結論に血の気が引いてくる。

愛沙「あ、あの……!も、もしかして私も、その、想いを伝えて、ない……?」

翔琉「えっ?あ…………………はい」

愛沙(最悪だ)

気持ちも伝えずに酔ったふりして後輩を連れ込み毒牙にかけた、ただの、悪い先輩じゃないか。

愛沙「ご、ごめん。昨日こそはって気を張ってて……!酔った勢いでとも思ったけど全然酔えないし、途中から酔っぱらって告白もどうかなって思ってるうちに頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃって。で、でももうこうなったら押し倒すしかないって思って!?」

翔琉「落ち着いてください」

ポンポン、と柔らかく肩を叩かれる。

翔琉「順番が反対で申し訳ありませんが……」

翔琉は一つ、大きく息を吸う。
そして――

翔琉「好きです。付き合ってください」

愛沙「あ、はい……こちらこそ、よろしくお願いします」

深々。
奇妙に慇懃な空気にどちらともなくぷっと吹き出してしまう。

愛沙(大の大人が、何やってるんだろう)

そう思うものの、全身に広がる温かい感覚と一緒に口元から笑みが零れる。
良かった。
安心と照れでどうしようもない心地になっていると、翔琉が思い出したかのように口を開いた。

翔琉「あ、あの、さっきコンビニで朝食買って来たんで食べましょ」

愛沙「あ、ありがとう」

そして穏やかな空気に流されるまま布団から半分出て、気づく。
――服を、着ていないままだったことに。

愛沙「あ……」

咄嗟に布団で隠す。
気まずいながら翔琉をちらっと見る。
いつも通りの爽やかな翔琉の顔がそこに――あったはずだけれど、
動きを止めた翔琉は真剣な表情で喉を鳴らした。

翔琉「あの、愛沙さん……やっぱりご飯の前に昨夜の続き、しますか」

愛沙「え!?ええ??」

翔琉「愛沙さんがそんな格好で思わせぶりなことするからですよ……っ!」

ベッドに倒され、唇を塞がれる。

愛沙「んんっ〜」

くちゅ、くちゅ、と唇をつまむと顔があっと言う間に上気してくる。

翔琉「愛沙さん……いやらしい」

愛沙「誰がっ……」

熱くなる頬の上、見下ろす後輩の顔はいつもとさほど変わらない。
その涼しい瞳がふっと細められられると、途端に色香を帯びる。

翔琉「あと、明るいところで見るともっと綺麗ですね。愛沙さんのカラダって」

愛沙「!!!」

愛沙(もしかして翔琉って……)

世話焼きで誠実な後輩……と思っていたこの人は、案外とても堪え性がない人なのかもしれない。
意外性に戸惑いながらも、

愛沙(まあ、いっか……)

布団ははぎ取られ、翔琉の手は愛沙を柔らかく撫でていくのであった――


=END=

「酔ってない。」@/2

※成人向け表現注意※
R18








 

愛沙(どうしよう……)

身体全体がドラムになったかのように鼓動が鳴り響いている。
体重の多くをかけてもびくともしない後輩の肩に男を感じてしまって、
決死の覚悟で挑んだ作戦をふいにして逃げたくなる。

後輩の手にはいちごのキーホルダーのついた鍵。

翔琉「もうすぐですからね〜!倒れちゃだめですよ〜」

いつもどおり世話焼きな彼を騙すのは気が引けるけれど、

愛沙(ドキドキしすぎてそれどころじゃない、かも)

鍵が開く音がすると、見慣れた金属製の白い扉が開いた。

*******

翔琉「愛沙さん、愛沙さん!お家つきましたよ〜」

部屋の中に入ると翔琉は電気のスイッチを手探りで探す。
愛沙の重みのかかっていない方の手でスイッチを押そうとすると、
ふいに肩の重みが増した。

翔琉「うわぁ、ああっ――」

よろめいてしまって廊下に倒れる。
幸い、愛沙の肩を守るような形に倒れることができた。

翔琉「愛沙さん、大丈夫ですか?」

翔琉のシャツにしがみついて、胸に倒れこむような姿になったまま、
動かない。

翔琉「愛沙さん?どこか打ちましたか?」

労わるように翔琉が愛沙の腕に触れようとする、
すると、
愛沙の腕がさらにしがみついて、抱き着くような形になった。

翔琉「愛沙さん?ええと……玄関で寝たら風邪ひいちゃいますよ?もうちょっとがんばりましょう?」

愛沙「わ、私は、これでも、がんばってるんだから……」

翔琉「はいはい。さっきも居酒屋で聞きましたし、愛沙さんががんばってるのは後輩である僕にもわかりますから」

ポンポン、と愛沙の肩をたたく。
宥めるように、子供にするように優しく。
そのしぐさがもどかしくて、愛沙は上体を起こすと、倒れたままの翔琉の顔の横に両腕をついた。

愛沙「そういう意味じゃなくて……こういう意味で、がんばってるつもりなんだけど!」

翔琉「こういう……って」

愛沙「だからその……迫ってんのよ!にっっぶいなぁ!!!」

愛沙(言っちゃった)

緊張しすぎて声が裏返ってしまった。その決まらなさが恥ずかしい。
なのに、肝心の相手は

翔琉「……」

深刻な顔でこちらを見ている。
確実に甘い雰囲気ではない。

愛沙(もしかして慣れてなさすぎて変なことしちゃった!?他の人はこんなことしない?)

大きな間違いでも起こしたんじゃないか。
そう思うと背筋が冷たくなってくる。

翔琉「あの……愛沙さん」

愛沙「な、何?」

翔琉「これは、ダメな酔い方です。」

ぴしゃ、と言うと、私の腕をつかんで立たせようとする。
とても冷静に。

愛沙(でも、ここで負けるわけには、いかない……)

何に、というと何にかもよくわからなくなってきた。
何故ならそれどころじゃなく胸がどきどきとうるさいから。
アルコールなんてほとんど飲めなかった。
普段からそんなに弱いほうじゃないから酔って介抱なんてこともされたことがない。
なのにどうして後輩に送ってもらうようなことになってるのか、と言うと――

愛沙(私が仕向けたから、なんだよね……)

今更引き返すことはできないと思うとお腹の奥がきゅっとしまる。
急に思考がクリアになって来たみたいだ。

翔琉「ほーら、行きますよ〜……わぁ!」

起き上がりかけた翔琉にぎゅっとしがみつく。

翔琉「もう、ふらふらしすぎです。お水でも飲みま――」

愛沙「酔ってないよ」

翔琉「え?」

愛沙「今、全然酔ってない」

翔琉「……ええ、と。酔ってる人は酔ってないって言うものですよ。
  はいはい、ほら、お水飲んで今日は早く寝たほうが良いです」

愛沙「いつも一緒に飲んでるから知ってるでしょ?私、お酒弱くないよ」

翔琉「疲れてると回るってこともありますよ」

どれだけ誠実で、頑ななんだろうか。

愛沙(そんなに、嫌なの?)

いつもより少し硬い声と表情がじれったくて、くやしくて、
しがみつく腕の力をふっと緩めて、背を伸ばした。

翔琉「んっ……!」

唇を押し付けるだけのキス。

一方的に押し付けて離れると、息を吐いて翔琉の表情を恐る恐る見ようとするが、
次の瞬間、近づいて来たものによって視界と――唇が塞がれた。

愛沙「ふっ……ん……」

翔琉「ん……」

つかの間のキスの後、唇が離れる。
顔が離れて見えたのは感情の見えない目。

翔琉「誘ってるって受け取らせてもらって、いいんですね?」

愛沙「……」

そう言われると言葉が出ない。

翔琉「いいですか?」
愛沙「う……うん」

翔琉「ふぅ――――酔ってて覚えてませんとかはナシですよ」

言い捨てると再び唇にキスを落とす。
今度は吸い付くように、甘く噛んで。

愛沙「ん……んぁっ」

息をつくと甘い息が漏れる。
気づくとスカートの裾のほうでストッキング越しに触れる大きな手があった。

腿から膝、ふくらはぎと伝い、そのままくるぶしに到達したかと思うと左右のパンプスが脱がされる。

翔琉「愛沙さん、ここじゃ痛いですから」

優しくささやく声が聞こえたかと思うと、
自然と手が膝の後ろに回り、体が浮き上がる。


廊下の先、暗い寝室に運び込まれるとベッドに横たえられる。

愛沙「うんっ……」

今度は首筋に吸い付くようなキスがあって、ゾクリとした感覚が襲う。

翔琉「先に、脱がせちゃいますね」

愛沙「え?」

ぐっと腰を掴まれたかと思うと下半身が浮く。
スカートに手を入れられたかと思うとするするとストッキングを脱がされた。

愛沙「あ、ありがと……う?」

翔琉「びりびりーっていうのもそれはそれで良いんですけどね」

なんだか気恥ずかしくて視線をそらす。
けれど、唇へのキスでそれは叶わなかった。

愛沙「ん……もぅっ」

離れたかと思うとまた塞がれ、名残惜しそうに頬に滑りながら離れる。
腹に温かい感触があると思うと、ブラウスのボタンを片手で器用に外されていく。

翔琉「シャツ……皺になっちゃ困りますよね」

愛沙「えっ」

翔琉「先に外しちゃいますね」

何を……と聞くよりも先に手際よく脱がされていくと、当たり前のように同じ理由でスカートもはぎ取られてしまった。
下着だけになったところで翔琉を見上げるとしわくちゃのシャツ。
いつも昼間に見ている性格を映したようなパリっとアイロンがけされたシャツとはまるで違う。
そのシャツを雑に脱ぎ去ると愛沙に覆いかぶさる。
大きな手のひらは愛沙の肌をかすめていく。

翔琉「愛沙さん……」

愛沙「あ……」

胸を柔らかく持ち上げたり先をもてあそぶようなしぐさをされながらもキスの雨はやまない。

愛沙「ふぁ……んっ」

身をよじっている間にふいに下着が緩み、膨らみが露わになる。

その先端のところに唇の柔らかい感触が訪れる。

愛沙「ひゃっ……」

片胸を手のひらでもてあそびつつ、
乳房の先や鎖骨、二の腕と、キスはどこにでも降る。

愛沙「んんんぅ、もう……」

じれったい感触に腿の裏が落ち着かない。
その様子に気づいた翔琉が動いた。

翔琉「愛沙さん……」

愛沙「あっ」

ひょい、と片足を持ち上げられてしまう。
秘めたところを隠す布の面積が心もとなく、上がってしまっている体温の中、顔がさらに熱くなるのを感じた。
あろうことか翔琉の手は一番敏感な場所を覆う布の縁をすべり、布の下へと潜り込む。

翔琉「愛沙さん、濡れてる」

にや、と笑う顔を見て、そっぽを向いた。

翔琉「恥ずかしがらないで……でも恥ずかしがってる愛沙さんかわいすぎる」

愛沙(どうしてそういうことを言葉にするの!)

恨めしい気持ちがわくものの、すぐにその気持ちもどこかへ追いやられる。

愛沙「んぅっ!やっ……!」

ぬるりとした感触のあと中に侵入してくるものがあった。
指が、中心を捕えようとやわらかく中を探っている。

愛沙「んっ、あっ、あっ、だめ……っ」

翔琉「ここじゃない?」

愛沙「ちが……わなくないけどっ!ああんっ!」

甘い声に恥ずかしがる余裕もないほど、快感が押し寄せる。
ゆらり、ゆらり、緩慢な感覚とともに。

愛沙「ふぁっ、ああん!ああんっ」

翔琉「愛沙さんっ!」

どうしようもない中心の感覚とともに、キスが口内を探る感触で淫靡な心地が体中を支配する。

翔琉「あいっ……さ、さんっ……!」

愛沙「あぁっ、ああっ、ああんっ……!」

ふいに訪れた奥の痙攣で、脱力する。

翔琉「愛沙さん、大丈夫?」

愛沙「う、うん……ごめん、慣れてなくて……私ばっかり……」

翔琉「それは全然。むしろ可愛い愛沙さんが見られて嬉しい」

にこ、と笑うのにどきりと胸が弾む。

愛沙(何か、できたらいいんだけど……)

自分から、と思うと羞恥で全身が熱くなる。

愛沙(今更、だけど、今までこういう関係じゃなかったんだし……)

どうするべきか、となんとなく翔琉を見る。

翔琉「もう……そんな潤んだ目で見ないで」

愛沙「え?」

腰に添えた手にぐっと力を入れられたかと思うと向かい合うような形に体勢が変わる。

愛沙「……っ!」

内腿に触れる感触にハッと息を飲んだ。
硬くなった男の物が触れていて、その感触を認識した途端に感情とともに蜜が湧き出るようにあふれ出ていることに気づく。

翔琉「いい……?」

愛沙「っ……」

気遣うような視線に伏目がちにうなずくと、男の先が入り口に触れる。

愛沙「んっ……はぁ……っ」

その些細な接触の感触だけで思わず腰が浮くのを背に回された腕で留められる。

じれったくて、苦しくて、心地よくて、飲み込もうとする体が蜜をどんどんとあふれさせ、腰がしなる。

翔琉の広い背中に手を回すと、お互いの距離が縮んだ。

翔琉「くっ……」

愛沙「んんっ!ああん!!」

滑らかに滑り込んだものを咥え込んだ中心が奥を探すように蠢く。
腰がゆらゆらと揺れて、

愛沙「あああんっ!」

恥ずかしげもない声が響く。

翔琉「くっ……愛沙……さん……っ」

うっとりとした声が先ほどまでよりもより甘美に鼓膜に響く。
しばらく中を満たす感覚があった後、引き抜かれる気配を感じてせつなく思っていると、

愛沙「あああああっ……!」

空虚さが襲う間際で一気に差し込まれ快感の波が押し寄せた。

翔琉「愛沙さん……っ!愛沙……!」

愛沙「ああっ、ああっ、あああっ!!!」


幾度かの波の後大波が押し寄せ、その波に飲み込まれていった―――。

 




→A/2へ続く

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