永遠の愛を、今誓う
第五章(はじめ)
「俺には、土方さんしかいないんです……」
ゆっくりとベッドに倒れながら、彼の背中に手を回した。キスをした時、彼からはいつもと違う……何か、鼻につく甘ったるい香水のような匂いがして……。
俺は、それが堪らなく嫌だった。
「土方さんのために……俺は、あなたのためだけに、生きているのに……」
そう呟くと、彼が不思議そうに俺の顔を覗き込む。
誰か、他の女にも同じようなことをしているのではないか……。
度想像を始めると、考えはいつまでも悪い方へと走っていく。
死ぬほど吐き気がした。
「もっと……もっと俺を、愛してください」
土方さんに限って、他の人間に興味を持つことなど絶対にあり得ない。仕事以外では女と口をきいたりもしない。彼が愛するのは、俺だけ。
本当はそんなこと、分かりきっていた。
だって……俺の土方さんなのだから。
「めちゃくちゃに……もっと壊れるほどに――……俺を、愛して……!」
けれど、この不安をどうにか掻き消して欲しくて。不安を忘れられるほど、あなたに愛して欲しくて……。
――……それを口実に俺は、土方さんにさらなる愛を求めた。
不滅の愛。永久に朽ちることのない、ふたりの愛を……。
……そう。いつまでも隣で、寄り添っていられるように。ふたりが離れることのないように。俺たちが、ずっと一緒にいられるように。
永遠の愛を、誓うために――……。
「土方さん。俺を……殺してください」
――――愛しています、土方さん。
だから、共に逝きましょう。ふたりだけの世界へ。
俺たちの愛を今、永遠に――……。
―――第五章(完)―――