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【ヘタリア、種、マ王、夢】種世界でユーリ対ヴェネチアーノなカオスコミカル話(3)

まる描いて地球連合とプラントとの戦争に決着を着けるべく開催される最終決戦用に、国境に突貫工事で建設された広大な会場。
大きな垂れ幕やそこここの幟には『大自慢3本勝負!〜愛と美の女神に愛されたのは、まる描いて地球連合か、プラントか!〜』と大書されている。
決戦用ステージに近い観覧席は、高価なチケットを買わないと確保できないが、大入り満員。
ステージから遠い安価な席も、それでも結構な値段がするが、やはり満席。
ステージや客席の近くには、多数の屋台が出店しており、食べ物や玩具、最終決戦公式グッズ等が売っていて、大賑わい。

満面の笑みの中国「この決戦は、全宇宙中継しているあるよ!」
ロシア「中国、だいぶ儲かってるみたいだねぇ。工事受注、放映権料、出店料、客席代、公式グッズ製造販売……」
中国「はっはっは!もう、笑いが止まらないある!」
オーストリア「儲けの半分は、まる描いて地球連合に入れてくださいよ」
中国「それはなぜか!?」
オーストリア「当たり前でしょう!この決戦は、終戦のための共同軍事行動の一貫です。今までかかった軍事費に充当しますから」
中国「横暴ある!」
ニコニコとロシア「大丈夫だよ、中国。君がお金を出した分、僕が君の家をもらってあげるからね」
中国「それ、意味わからないある!」
気にせずオーストリア「さて、そろそろ始まりますね。ロシア、あなたが司会でしょう?そろそろ配置についてください」


会場周辺。
探しまわっているフレイ「ドイツ先生ー!ドイツ先生、どこなの?この会場に来てるって聞いたのに……」
とぼとぼと歩いているイタリア「ドイツー。ドイツー。どこ行っちゃったんだよぉ。ここに来れば会えるって聞いたのにぃ。俺、フランス兄ちゃんに負けちゃって、出場できないんだよー」
ぶつかるフレイとイタリア。
フレイ「キャッ!何よ、あんた!ちゃんと前見て歩きなさいよね!」
イタリア「いたたた。あ、ごめんね。……うわぁお!可愛い女の子だぁー!」
フレイ「は?」
イタリア「ねえねえ、君、可愛いね!名前なんて言うの?」
フレイ「なんで見知らぬ他人に教えなきゃいけな……って、イタリア総裁!?なんで敵の親玉が、こんなところをふらふらしてるのよ!」
イタリア「あ、俺のこと知ってるの?嬉しいな、チャオ☆」
イタリアの胸ぐらをつかむフレイ「嬉しいな……じゃないわよ。ここで会ったが百年目ーっ!よくも私のドイツ先生を誘惑してくれたわねー!」
イタリア「え、君、ドイツのこと知ってるの?」
フレイ「知ってるも何も、ドイツ先生は、私と将来を約束してるのよっ!」
イタリア「へぇ〜。そうなんだ!うん、こんなに可愛い子なら、納得だよ!いいなー、ドイツ」
フレイ「……なんだか話が噛み合ってないような気がするのだけれど」
上機嫌のイタリア「君はドイツのどこが好きなの?」
フレイ「どこって、全部よ、全部」
イタリア「ドイツって、優しいし、頼もしいし、かっこいいし」
フレイ「強いし、紳士だし、控えめだし」
イタリア「真面目にあんな細かい工芸品なんか作っちゃうんだから、面白いよねぇ、ドイツ」
フレイ「でも時々熱くなるところがまた素敵で」
二人のドイツトークは延々続く。


ステージのプラント楽屋にて。
アスラン「な……何故こんなことにorz」
ヴォルフラム「なんだお前。まだ着替えてなかったのか?往生際の悪いやつめ」
ギュンター「アスラン、早くなさい。そろそろ出番ですよ」
アスラン「教官……俺は士官学校生で、軍人を目指しているのですが!」
気の毒そうにグウェンダル「いや、これも務めだ。軍人は上官の命令には絶対服従だ」
笑顔のニコル「寮生から、在学中にこんな大役を仰せつかる者が出るなんて、寮長として僕は鼻が高いですよ」
アスラン「なら、代わってもらえませんか、寮長」
ギュンター「何を言っているのですか!ユーリ陛下直々のご指名ですよ。なんと名誉なこと!ああーっ、悔しい!!できることなら、わたっ、私がその大役を仰せつかりたかったのにーっ!きーっ!!」
ヴォルフラム「ギュンターはトウが立ちすぎで無理だとユーリに言われただろう」
ギュンター「ヴォッ、ヴォルフラム!あとでお説教しますから覚悟しておきなさい!」


ステージ上。
ロシア「お待たせしたね〜。ごめんねー、コルコルコルコル」
ぼそっとオーストリア「ロシアが上機嫌だと、何か不安になりますね」
フランス「そうかぁ?お兄さんは胸の高鳴りが止まらないぜっ!」
オーストリア「そりゃあ、あなたはそうでしょうね」

貴賓席。
ユーリ「あれ?まる描いて地球連合の総裁が、向こうの貴賓室に見当たらないんだけど」
グレタ「ほんとだー。イタちゃん、どうしたんだろうね、お兄ちゃん?」
イギリス「さあ?あいつも気まぐれだからなぁ」
ユーリ「こんな戦争の勝敗を決める最終決戦に出てこないなんて、何かあったのかな?」
イギリス「たぶん、会場内で女の子でもナンパしているか、歌でも歌ってるか、パスタ喰ってるか、シエスタしてるかあたりだと思いますよ、父上」
ユーリ「そうなんだ?それはそうと、イギリス。準備のほうは大丈夫?」
イギリス「任せてください、父上!絶対に勝利をもぎ取ってきますよ」
にっこりとユーリ「そう。期待してるよ」

ステージ上。
ロシア「では、ただいまより、長きに渡ったこの戦争を終結させるべく、まる描いて地球連合対プラントの最終決戦を開始するよ」
盛り上がる会場。
ロシア「全三本勝負で、先に二勝したほうが勝ち。それでは、一番目の対決〜。『美裸体勝負』!これは、連合とプラントから、各1人ずつの代表選手を出し、両陣営から50人ずつ集めた画家に『どちらの裸体をこそ絵に描きたいか』を選んでもらい、より多くの票を得た方が勝ちっていう勝負なんだ。それでは、両代表、入場どうぞ!」
ステージへの入場ゲートの片方からフランス「いやっほーっ!全宇宙のレディ達、見てるかーいっ?お兄さんが、愛と美の女神に愛された、スーパービューティフルボディの持ち主、フランスだよーっ!」
フランスは、腰の前に金色のぶどうの葉っぱを一枚あてがっているだけの姿で堂々とステージに立つ。
フランス「俺の体を見ろーっ!ほぉら、芸術家の諸君!絵心をそそる美しさだろう?♪」
ロシア「あれ?プラント代表は?逃げたのかな?コルコルコル……棄権ということで、まる描いて地球連合の勝ちってことでいい?」
ヴォルフラム「待ったー!うちの代表は今出る!」
ギュンター「ほら、早く!」
グウェンダル「見ろ。連合よりはマシだ。大丈夫だ。我が国のために、全てを捧げてくれ」
ニコル「貴方なら勝てます!頑張ってください!」
ヴォルフラムに背中をどつかれて、青ざめた顔でよろよろとステージに出るアスラン。腰布を一枚巻いただけの姿ではあるが、周りを賑やかにハロが跳ねている。
ハロ「ハロ!ハロハロ!アスラン!コッチ!」

まる描いて地球連合楽屋。
ステージの中継画面を見て騒ぐトリィ「トリィ、トリィ!」
トマトを運びながら中継に目をやったキラ「アスラン!?」
驚愕のあまり、キラは固まってトマトを落としそうになり、ミリアリアが即座にキャッチする。
ミリアリア「ちょっと、キラ!こんな大事な時に、この絶品トマトを落とさないでよね!」
キラを揺さぶるトール「おい、キラ。大丈夫か?」
キラ「アスラン……いったい、何やってorz」
ロマーノ「なんだ、知り合いか?一人で浸ってんじゃねーぞ、コノヤロー」
キラ「知り合いというか、幼馴染なんですが……早く一人前の軍人になって、僕を迎えに来るって行ってたのに(/_;)」
トール「軍人やめてストリッパーになったの?」
キラ「違う!……と思いたいんだけど(T_T)」
画面に向かってロマーノ「うーん、度胸が足りないぜ、コノヤローは。もっと思い切りよくしろ!」
ミリアリア「あん、でも、いいカ・ラ・ダ☆ドキドキしちゃうーっ!」
キラ「あすらん……僕、泣いていいのかな?」

ロシア「なんだか賑やかでひねり潰したくなるような可愛い丸い物も出てきたね〜、うふふ。じゃあ、両者とも中央に並んでね。さぁ、今から5分間ずつ、二人にパフォーマンスをやってもらうよ〜。それを見て、画家の人達は投票してね」
色んなポーズで全身を見せ付けるフランス「ほらっ!色っぽいでしょ?やっぱお兄さんが世界一だよね!プラントは元気ないねー」
ハロ「オマエモナ!」
何度か勇気を振り絞ろうとしてはやっぱりうつむいてしまうアスラン「あ、えと……」
ハロ「アスラン、テヤンデー!ハロ!」
ロシア「さーて、じゃあ、投票してね〜。今から集計するよ。あ、プラント代表、まだステージにいなきゃダメだよ」
ヴォルフラム「アスラン!もっと堂々としろっ!わが国の代表なんだぞ!」
グウェンダル「まぁ、ヴォルフラム、ちょっと落ち着け……」
ロシア「結果発表ー!ええと、まる描いて地球連合は23票、プラントが77票……ちっ。まずはプラントの一勝〜」
フランス「えええええーっ!?なんで、なんでお兄さんの肉体美が通じないの?皆、眼がおかしいんじゃないのー!」
ロシア「えーと、投票用紙にコメントも書けるんだけど、なんか、フランスは若さで負けたみたいだね」
フランス「グサッ!なにそれ、なにそれー!成熟した大人の美がだねぇ!」
ロシア「プラント代表に関しては、『不安定な少年の体がかもし出す美』だの『恥らう姿がとにかくそそる』だの『艶々すべすべの肌を抱きたい』だのと書かれてるね。フランスのことは『おっさん』とか『自意識過剰』とか。」
フランス「ショーック!!!!」
さらに青ざめるアスラン「え、抱き……?」
ロシア「はい、じゃあ、両者とも退場してね。あれ?プラント代表は、まだステージにでしゃばりたいのかな?」
固まっていたアスラン「違っ!」


貴賓席。
宙を仰ぐユーリ「うーん……俺、なんかすっごく悪いことをしてしまった気分」
グレタ「なんでー?グレタは、アスランお兄ちゃんだから勝てたんだと思うよ」
ユーリ「そ、そうかな?」
グレタ「そうだよー」
イギリス「じゃあ、俺、そろそろ出番なんで」
ユーリ「うん、頑張ってね」
イギリス「はい!」

まる描いて地球連合楽屋。
ミリアリア「うーん、いいモノ見せてもらったわー♪」
ぐるぐるしているキラ「アスラン、アスラン、アスラン……」
トール「いやでも、勝ったのはプラントだし」
ミリアリア「そうだけど、やっぱりあれはプラント代表の圧勝よ!」
ロマーノ「ふん!フランスなんかが出しゃばるからだぜ!ヴェネチアーノはどうしたんだよ」
ミリアリア「そういえば総裁、映りませんね」
トール「まあ、とりあえず、次はうちの出番ですし、頑張りましょう」
ロマーノ「全世界を血(のようなトマト)で真っ赤に染めてやるぞ!」
楽屋に駆け込んできたスペイン「遅うなってもぅたー!」
ロマーノ「遅いぞ、スペイン、コノヤロー!」
ミリアリア「私達は今から出るので、第三ラウンド用の着替え、そろそろ始めてくださいね!」
スペイン「まかせとき!ええ衣装用意しとるさかいな!ブルコスの連中をあっと言わせたるでぇ」


ステージ上。
ロシア「じゃあ、気を取り直して〜、2本目の勝負、行くよ〜!『なんでも品評会』!ええと、この勝負は、まる描いて地球連合代表とプラント代表が、どんなモノでもいいので、『これなら絶対負けない!』という素晴らしいモノを出品しあって、両陣営から抽選で選ばれた一般市民50人ずつに、どちらがより優れているか、投票してもらって決めるんだ。では、両代表、ステージ上へ〜」
元気よくステージに上がるロマーノ「まる描いて地球連合の誇る優秀なテロリスト集団『ロッソ・ポモドーロ』の若旦那、ロマーノだ!」
ロシア「え、連合はこんなテロリスト、公認したことないけど」
ロマーノ「何ーっ!?」
ロシア「ま、僕に迷惑がかからないなら、何してくれてもいいけどね〜。中国の抹殺とか、僕はお勧めだな〜」
ロマーノ「なんでそんな俺の利益にならないことをしなきゃならないんだ、コノヤロー!絶対やらないからな、自分でやれ!」
舞台袖で不穏な笑みの中国「ロシア、あとで見ているよろし」
大量のトマトを抱えてロマーノの後ろに立つキラ「もうやだ、この国orz」
大量のトマトを抱えたミリアリア「え、どうして?楽しいじゃない」
大量のトマトを抱えたトール「ちょっとキラに同情するかも、はは……」
ロシア「で、プラント代表は?あ、いたいた、裏切者の負け犬君が(にっこり)」
ふんぞり返ったイギリス「ふんっ。目にもの見せてやるからな。今の俺は、父上と妹からの愛されパワーで無敵だぜ!」
ロシア「イギリスの御託は置いといて〜」
イギリス「なっ、テメェ!」
ロシア「じゃあ、両者、自慢の一品をPRしてね。まずは、まる描いて地球連合だよ」


プラント楽屋にて。
よろよろと床に座り込むアスランの肩をニコルが優しく叩く。
何とも言えない表情でグウェンダル「アスラン……立派だったぞ」
瞳を潤ませながらアスラン「閣下……」
ヴォルフラム「なんだ、情けない。勝ったのに、何故泣く?」
ギュンター「そうですよっ!ああ、私がそのお役目、拝命したかった……陛下ぁーっ!」
中継モニターに目をやってニコル「次の対決が始まってますね。連合側は4人がかりですか」
ちらりとモニターに視線を向けるアスラン「キ……キラッ!?どうしてステージ上に……というか、もしかして、さっきの対決、キラに見られた!?ああああああああああ」
グウェンダル「おい、どうした!しっかりしろ!気を強く持て!」
ヴォルフラム「うるさいぞ、アスラン」
ギュンター「情緒不安定な学生ですね。もっと落ち着きを持たなければ、立派な軍人にはなれませんよ」
グウェンダル「ギュンター……お前が言うのか」
ギュンター「さて、第3ラウンドの準備はどうなっているのでしょうか?」
楽屋の奥から出てきたドイツ「準備はおおむね完了だ。出来も……まあ、良いのだと思う」
ヴォルフラム「勝てるんだろうな?」
ドイツ「正直、俺にはどう判断していいのか、よくわからんのだが……準備を手伝っていた士官学校生達の様子を見ると、おそらくあれでいいのだろう」
ギュンター「まあ、陛下に出ていただくわけにも参りませんし、よろしいのでは?」
ドイツ「そうだろうな、きっと」


ロマーノ「おい、お前ら!」
ミリアリア「了解!」
キラとトールは、真っ赤に熟れたトマトを、審査員に選ばれた一般市民全員に手渡していく。ステージに出る直前まで井戸水で冷やしていたので、食べごろだ。
ミリアリアが高く掲げた真っ赤なトマトを指さしてロマーノ「このトマトを見ろーっ!」
ミリアリア「審査員の方々には、全員にお配りしています」
ロマーノ「昨今、市民の間で、『ブルーコスモス』などという、青色を至上の美と湛えるテロリスト集団が跋扈しているらしいが、この情熱の赤っ!これに勝るモノは無いとは、テメェらは思わないかーっ!?」
ミリアリア「青いトマトなんて食べれたものじゃないですけど、この真っ赤なトマトは絶品のお味ですよっ」
ロマーノ「我々が品種改良に改良を重ねてきた絶品トマト、その名も『ロッソ・ポモドーロ』!俺らの団体名を冠するこのトマト、とりあえず、目で見て美しさに感じ入れ!」
ミリアリア「そうして、次は甘い香りも楽しんでねっ」
ロマーノ「香りも十分に堪能したら、さあ、いざ、食べてみろ!この世のものとも思えない、フルーティで至高のブォーノだっ!」
ミリアリア「さあさあ、プラント代表が何を出してきても、ブルーコスモスが襲撃してきても、絶対に負けない自信のある一品、どうぞ、ご賞味あれ!」
審査員席からは、一口かじった途端のどよめきが上がる。
ロマーノ「フハハハハハハ、見たか、ブルコスめっ!」
ぼそっとキラ「ここでの僕達の対戦相手って、ブルコスじゃなくてプラントだよね?」
ぼそっとトール「まあ、若旦那が楽しそうだから、いいんじゃないの?」

ロシア「さて、次はプラント代表の番だよ〜」
イギリス「おう!さあさあ皆さん、ごらんあれ。この至宝!次々に色の変化する、美しい宝石!これぞ妖精達の間で代々伝えられている『グリフィンの涙』。美しいだろ?あんなどぎつい色の量産型トマトと違って、世界にたったひとつしかない宝石だ!」
イギリスは、何かを両手の上に乗せて、審査員席に向かって差し出して、見せているようだ。
ロシア「宝石?どこ?」
イギリス「はあ?何言ってるんだ?」
ロシア「ちゃんとその出品物を見せてくれなきゃ、想像上の産物なんかを言葉で説明されても、失格だよ」
イギリス「何言ってる!ちゃんとここに持ってるじゃないかよ!お前、根性だけでなく、目も悪いのか?」
ロシア「審査員の皆〜。誰か、イギリスの手の上に、空気以外に何か見える〜?」
誰一人見える審査員はいなかった。
イギリス「あ、やばっ!妖精が見えない連中には、ひょっとしてこの宝石も見えないのか!?」
憐みの視線を送るロシア「ああ、はいはい。いつもの妄想だね。はい、失格」
イギリス「え、ちょっと、待っ」
ロシア「係員さーん、これをつまみ出して〜」
屈強な係員に引きずられていくイギリス「そんなっ!見えない心の汚れたお前たちが悪いんじゃないかーっ!」
ロシア「というわけで、まる描いて地球連合の不戦勝だね」
ロマーノ「何、不戦勝!?ブルコスの連中、あまりの俺たちの赤の神々しさに、尻尾を巻いて逃げ出しやがったな!はっはっはっはっは!」
キラ「はぁ、もうなんでもいいや」


会場外のモニターが設置されている一角の物陰。
イタリア「うわぁ、兄ちゃんが勝ったんだー」
フレイ「何、あれ、あんたのお兄さんなの?」
イタリア「うん、あんまり会えないけどね。俺の大事な兄ちゃんだよ」
フレイ「ドイツ先生とどっちのほうが好きなの?」
イタリア「え?」
フレイ「あんな素敵なお兄さんがいるなら、いちいちドイツ先生を呼びつけないで、お兄さんに頼めばいいじゃない」
イタリア「あははは、無理だよ〜。俺の兄ちゃん、俺と同じで、なーんにもできないもん」
がっくりするフレイ「あんたの一族って……」


ロシア「じゃあ、一勝一敗ってことで、3本目の勝負『美着衣勝負』に移るよ。これは、両陣営からの各代表が、衣装を身につけた上での美しさを競うんだ。今度の審査員は、両陣営から50人ずつ、ファッションリーダーを呼んであるよ。さあ、各代表、ステージに上がってね」
ハイテンションのスペイン「よっしゃー!やったるでぇー!」
スペインは、真っ赤でビラビラのレースだらけのフラメンコ衣装に、そのレースも見えなくなりそうなほどの大量の赤い薔薇をつけている。深紅から薄紅色まで、赤という赤の薔薇を配した、目がチカチカしそうな衣装。
ロシア「うわぁ、血色だね〜。僕の血も騒ぐなぁ。うふふふふ」
スペイン「これが我が『ロッソ・ポモドーロ』の最終形態やっ!」
ロシア「そうなんだ〜。ま、勝ってくれたら、なんでもいいよ〜。で、プラント側の代表は?」
ドイツ「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
ロシア「はぁ?」
ドイツ「その、代表がだな、出る直前になって、突然恥じらい始めてだな……」
ロシア「またぁ?プラントって、度胸のないへなへな人種が多いんだね」
ヴォルフラム「何をーっ!ほら、教官、さっさと出ないから、我々が馬鹿にされているんですよっ!」
アスラン「……お察しします」
ドイツ「さあ、何が起こっても不気味なくらい沈着冷静整然で勤勉努力真面目な性質をだな、ここで発揮して」
ギュンター「拒否するのであれば、今後一生、先生の口に米と味噌と醤油と塩が入らないように妨害しますよ」
日本「そっ、それは困ります!出ます、出ますから、私からお米とお味噌とお醤油とお漬物を取り上げないでください、後生ですーっ!」
ちょっとビビりながらギュンター「え、あ、わかってくださるなら、それで……」
日本「プラント代表、出ます!」
日本は、猫耳メイド服姿だった。頬を赤らめて、恥ずかしそうにうつむき加減ながらも、審査員席のほうにちらりと視線を送る。萌え〜な空気が会場を包む。
ロシア「ちょっ、審査員が何人か、鼻血吹いて倒れたよ!」
舞台袖のオーストリア「恐るべし、日本」
舞台袖のフランス「やばいな。お兄さんもくらくらしてきちゃったよ」
スペイン「ブ……ブラーボや、日本!なんやあの完璧な萌えは!最終兵器かーっ!?」
舞台袖の中国「ふむ。この日本の姿をフィギュアにして海賊版で売れば、また儲かるあるな」
ロシア「審査員、何人生き残ってる?あ、死に際に投票用紙に(鼻)血文字で『日本』てダイイングメッセージが書かれてるのが大量にあるね。これはもう集計の必要はないかな?そだね。ちえーっ。プラント側の勝ちだね。まあいいか、新たな大量殺戮兵器開発のヒントが得られたし〜。じゃあ、2対1で、この戦争はプラントの勝利としまーす」

3本勝負での代理戦争は、司会のロシアの宣言により、プラント勝利で幕を閉じた……かに見えたが。
中国が受注して突貫手抜き工事で建設された広大な会場が、興奮する両陣営の大量の観客に耐え切れず、崩壊を始めた。

オーストリア「ちょっと、中国!このままでは……というか、アナタどんな工事をしたんですかっ!」
中国「それは、建設費をちょろまかすために、欠陥建材を使って、素人大工を使ったあるよ。おかげで儲かったある」
フランス「あのさぁ、君んちの人命軽視もいい加減にしないと……て、人口多すぎて減らしたいんだっけ」
中国「我がまる描いて地球連合でなく、プラントが勝ったというのは腹立つある!きっとプラント側が不正したあるよ!だから滅ぼすある!これ、正義!」
ロシア「うん、僕もその意見には賛成だな〜」
オーストリア「あああああ、もう、避難指示っ!私がなんとかしますっ!」
フランス「が、がんばれ〜、オーストリア〜」


(4)に続く予定
(今年中に(4)を書けたらいいなぁ……(-_-;))




この夢話のTOPへ



(他の二次創作系話はこちら

【ヘタリア、種、マ王、夢】種世界でユーリ対ヴェネチアーノなカオスコミカル話(1)

アスランが士官学校に入学するシーン。
校門をくぐりながら決意するアスラン「父のような立派な軍人になって、キラを迎えに行くんだ!」

士官学校の寮でのアスランの同室者はヴォルフラムで、ちょうどヴォルフラムが癇癪おこしてるところにアスランが、寮長のニコルに案内されてきた。
ニコニコとニコル「彼がルームメートですよ」
アスラン「え、でも、何か怒ってるようですが」
ヴォルフラム「なんだ、お前はっ!」
ニコル「じゃっ、僕はこれで(^∇^)/」
アスラン「あ、ちょっと!…はぁ」

癇癪中のヴォルフラムと2人室内に残されて、居心地の悪いアスラン。しかし、キラ限定だったよーな気がする世話焼き体質が起き上がってきて
アスラン「あの…どうしたの?」
ヴォルフラム「グウェンダル兄上も、コンラート兄上も、2人して僕を1人でこんなところに押し込めて、僕は寂しいんだっ!」
アスラン「あ、そうなの…(随分素直な人だなぁ)」
ヴォルフラム「お前はなんでこんなところに来たんだ!」
アスラン「俺は……遠く離れてしまった友人を守れるようになって迎えに行くために」
ヴォルフラム「そうか。なら、ここにいる間は、僕を守るといい。特別に許可する」
アスラン「え?あの、俺が守りたいのはキラで…」
ヴォルフラム「この僕を守れるとは、名誉なことだろう。そうか、そんなに嬉しいか」
アスラン「いや、だから、その…」
ヴォルフラム「とりあえず僕は今、お茶が飲みたいぞ。いれろ」
諦めてお茶をいれるアスラン。


そして翌日になり、入学式すっとばしていきなり授業シーン。
白兵戦の教官はギュンターで、すぐに脱線して、ユーリ陛下の素晴らしさ、偉大さ、可愛らしさ等について語り、讚美、陶酔しはじめる。
コズミック・イラのザフトというかコーディネーター側の頂点にいるのはユーリ陛下らしい。そして、この国の戦争相手(キラのいるナチュラル側)のトップはイタリア(ヴェネチアーノのほう)。

そして、数学の教官はドイツ。
アスランのクラスメイトのフレイは、ドイツ先生に夢中ラブ状態だった。
数学の授業中。
放送「ピンポンパンポーン♪ドイツ先生、ドイツ先生、まるかいて地球連合総裁から至急のお電話です。今すぐ靴ヒモを結びにきてほしいとのことです」
ドイツ「(がっくり……)またか」
生徒A「あ、迎えの光速宇宙船が校庭に到着したよ!」
生徒B「光速宇宙船って、イタリア総裁が所持してるこれ一台しか、全宇宙にまだないんでしょ?」
生徒A[うん。そんな貴重な船を迎えによこすんだもんなぁ」
ドイツ「それじゃあ、皆、悪いが自習しててくれ。ちょっと行ってくる」
隣の教室から覗きに来たスイス先生「なに!?ドイツ、またわざわざ敵国トップの靴ヒモを結びに行くのか!自分の立場をわきまえるのである!」
ドイツ「そうは言っても、この就職難の時代、就職できるところを探していたらこの学校だったんだから、仕方ないだろう」
スイス「そういう問題ではない!」
フレイ「先生、靴ヒモくらい、私が行くわ!私、先生がイタリアなんかとの逢瀬に行くの、我慢できないもの!」
ドイツ「いや、逢瀬じゃなくて、ただ靴ヒモを……」
フレイ「そんなこと言って、この間は、砂漠にわざわざパスタ用のお水を届けに行ってたじゃないの!イタリアもイタリアだわ!そんなの自分の部下にやらせればいいのに!」
ドイツ「あいつが毎度、俺のところに電話をかけてくるんだから、仕方ないだろう」
やってきた割烹着姿の家庭科の日本先生「ドイツ先生、早く行かないと。イタリアさんがお待ちかねですよ」
ドイツ「ああ、すまんな」
日本に羽交い絞めにされてるフレイ「いやっ、離して!私も行くわ!先生ー!!!」


イギリスがプラントのマ王宮に、バズビーズ・チェアをかついで潜入。
イギリス「ふっ。この椅子でマ王を呪ってやる〜。そして俺は、まる描いて地球連合の幹部連中に、俺の実力を思い知らせてやるんだ!」
イギリスは王宮の広い中庭にこそこそと入った。
庭木の陰に隠れながらイギリス「へえ、この庭には、妖精がたくさんいるんだな。よう、元気か?そうか、ここは住み心地がいいのか。いや、俺はマ王を捜してるんだけどさ。え、もうすぐここに来る?そりゃあ、願ったり叶ったりだな。え?あはははは、そんな、別にこの程度の椅子なんか、重くなんてねえよ」
グレタ「ねえ、誰と話してるの?」
イギリス「うわっ!?」
グレタ「楽しそうだよね。ね、誰と話してるの?」
イギリス「う、うるせー!どうせ妖精なんか、見えないし信じてもいないんだろ!」
グレタ「え、妖精さん!?すごい!お兄ちゃん、妖精さんが見えるの?お話までできちゃうの?すごーい!」
イギリス「あ、いや、その、褒められても……何も出ねえぞ」
グレタ「ね、ね。今、妖精さんはなんて言ってるの?」
イギリス「ん?ああ。そのだな、嬢ちゃんがあのグレタ姫で、……そうか。うん。グレタ姫は優しいいい姫さんだって言ってるな」
グレタ「ほんと!?グレタ、嬉しい!」

そこにグウェンダル、ユーリ、ヨザックが通りかかった。
ユーリ「いつになったらあのイタリア総裁は、攻撃やめてくれるのかなぁ」
グウェンダル「攻撃というより、あれはただの嫌がらせではないのか?本気で戦争する気があるなら、あんな国境近くでちょっと攻撃しては全速力で後退するなどということを繰り返さないだろう。それとも、こちらの疲弊を待っているのか?」
ヨザック「だいたい、開戦の理由がよくわからんですよね〜。いきなりビデオメールで『もう、俺、怒ったんだから!戦争しちゃうんだからね!』って、泣き顔でわめかれてもねえ。坊ちゃん、何やらかしたんです?」
ユーリ「俺、何か総裁に嫌われるようなこと、したかなぁ?」
カッと中庭を振り向いてヨザック「ん?何もんだ!?」
イギリス「ちっ、見付かったか!」
ヨザックは宙を舞い、イギリスの首根っこをひっつかんだ。
イギリス「おいこら、放せ!放せって言ってるだろ!」
グウェンダル「よくやった!……これは!バズビーズ・チェアではないか!座った人間を不幸にするという、イギリスに代々伝わる……ということは、ああ、見覚えがあるな。お前は、まる描いて地球連合幹部のイギリスだな!」
ヨザック「なるほど。坊ちゃんを呪いに来たというわけですか。確かに、頭をつぶすのは手っ取り早い戦法ですがね〜。」
グウェンダル「もしやあの国境での嫌がらせ戦法は、国境に気を向けさせて、王宮の警備を手薄にさせるという目的だったのか!」
イギリス「いや、あれはイタリアが勝手にやってるだけで……じゃなくて。ふんっ。俺は何も喋らないからな!」
ヨザック「なかなか肝が据わってるようですが、閣下、どうします?」
グウェンダル「吐かせろ」
ヨザック「了解」
グレタ「待って!」
ユーリ「グレタ?」
グレタ「やめて!放してあげてよ、ヨザック!許してあげて、グウェン!」
ヨザック「いやしかし、あなたのお父上の命を狙ってきた敵ですよ」
グレタ「ユーリは無事だもん!それに、このお兄ちゃんは妖精さんが見えるんだよ!心の綺麗な人なんだよ!」
ユーリ「妖精が見えるだって!?」
グレタ「ねえ、今妖精さんたちはなんて言ってるの?」
イギリス「ああ、まぁ……」
グレタ「教えて、お願い」
イギリス「ユーリ陛下もグウェンダル閣下もヨザックさんも良い人なのに、この俺を捕らえるなんて、間違ってる、やめて欲しい……って。」
グウェンダル「ふん、盗っ人猛々しいとはこのことだな。よくも自分を擁護するような台詞を」
グレタ「違うよ!グレタわかるもん!このお兄ちゃんは嘘なんて言ってないよ!」
ユーリ「グレタ……」
グレタ「ね、お願い、ユーリ!助けてあげて!」
イギリス「グレタ姫……」
グレタ「ユーリは、ユーリを暗殺しにきたグレタを許して、娘にまでしてくれたじゃない。ね?」
グウェンダル「何もわからない子供だったグレタとは違う」
グレタ「違わないよ!」
ユーリ「うーん、どうしたもんか」
グレタ「そうだ!じゃあ、お兄ちゃんも、ユーリの子供になればいいんだよ!お兄ちゃんも、ユーリが父上になったら、父上にひどいことなんてしないでしょ?」
イギリス「いや、陛下より俺のほうが年上なんじゃ……」
グレタ「そうだ、そうしなよ!グレタ、兄弟が欲しかったの!ね、いいでしょ、ユーリ?グレタ、お兄ちゃんが欲しい」
グウェンダルを上目遣いで見上げながらユーリ「えーと……」
グウェンダル「おい、まさか馬鹿なことを言い出すんじゃないだろうな」
グレタ「お願い、グウェン!ね?今度一緒に編みぐるみしてあげるから」
グウェンダル「うっ……」
ユーリ「そうだよ、グウェンダル!グレタの教育のためにも、兄弟がいたほうがいいんだよ!」
イギリス「ええっ、陛下まで!?」
グウェンダル「しかしだな」
ユーリ「許してくれたら、あの書類の山、ちゃんと今日中に片付けるからさ。可愛い愛娘の頼みなんだよ」
グウェンダル「……勝手にしろ」
ヨザック「坊ちゃんは言い出したら聞きませんからねぇ。諦めましょうよ、閣下」
グウェンダル「うるさい……」
ユーリ「やった!グウェンダルがいいって!」
グレタ「わーい、わーい!グレタにお兄ちゃんができた!」
イギリス「え?え!?」
グレタ「んとね、グレタって呼んでね、お兄ちゃん♪」
イギリス「あ、えと……」
グレタ「お兄ちゃんの名前はなんていうの?」
イギリス「イギリス……」
グレタ「イギリスお兄ちゃん、よろしくね☆」
イギリス「あ、ああ……まあ……」
グレタ「じゃあ、お兄ちゃんのお部屋に案内してあげるね!行こう!」
グレタに手をひっぱられ、イギリスは建物の中に消えていった。
ヨザック「やれやれ。勝手に子供を増やしちゃって、ヴォルフラム閣下が怒りませんかね?」
ユーリ「大丈夫だよ。ヴォルフだって喜んでくれるって」
グウェンダル「では、約束どおり、あの書類を片付けてもらいましょうか、陛下?」
おびえながらユーリ「あ、はい、スミマセン。今行きます」


まる描いて地球連合本部にて。
フランス「ねえ、イタリア。いったいいつまで戦争続けるつもり?お兄さん、ちょっと飽きちゃった」
オーストリア「そうですよ。戦争の費用も馬鹿にならないんです。遠征費にいったいいくらかかってると……」
イタリア「えー、だって、ひどいんだよ。ユーリったら『今度、可愛いパスタを送るね』って言ってたのに、送ってきたのはパンダだよ!俺、どんなパスタなのかわくわくしてたのに、ひどいよね!」
中国「あのパンダは本当に可愛いある。今もうちで元気に笹食ってるあるよ」
ため息をつきながらオーストリア「だいたい、『可愛い』という形容詞がついた時点で、聞き間違いだって気づきそうなものじゃないですか」
イタリア「可愛いパスタだってあるよ!蝶々の形とか、貝の形とか!」
オーストリア「とにかく!無駄遣いは許せませんよ、総裁」
イタリア「ふーんだ。兵士の皆、国費で国境まで旅行できて嬉しい、楽しいって言ってるもん」
中国「ちゃんと武器弾薬持っていってるのに、双方誰も怪我してないあるから、発砲するだけ無駄あるな。でも武器もわたしの店扱ってるから、儲かって嬉しいあるよ」
イタリア「ほら、中国だって賛成してくれてるじゃない〜」
オーストリア「国費で私腹肥やさないでください、中国!」
ロシア「手っ取り早く戦争終わらせるなら、僕が呪っとこうか?」
フランス「いや、お前のはしゃれにならないからやめて。被害者が出るから」
オーストリア「呪いといえば、そういえばイギリスは?」
フランス「さあ?ロシアとの呪い合戦に負けてから意気消沈してたけど……どっかで呪いの修行でもしてるんじゃない?」
ロシア「そんなことしても僕に勝てるわけないのに、馬鹿だよね〜。うっとうしいから、イギリス、呪っとこうかなぁ」
オーストリア「味方を攻撃しないでください」


まるかいて地球連合領地内のある下町で。
キラ「教授、僕たちはいつまでこんなことしなきゃならないんですか……」
ロマーノ「いつまで、だと!?そんなもの、ブルーコスモスの連中をぎゃふんと言わせるまで、に決まってるだろ!」
ミリアリア「あら、キラは楽しくないの?私はだんだん楽しくなってきたわよ」
キラ「僕は、機械工学のゼミに入っただけだったのに、まさかロマーノ教授が、あのブルーコスモスに対抗するテロリスト集団『ロッソ・ポモドーロ』の若旦那だったなんて……。おかげで、毎日毎日トマトの品種改良させられて……」
ミリアリア「おいしいトマトが毎日食べられていいじゃない。私が今交配して育ててるトマト……きっと今度こそ、ブルコスの連中に『おいしい』って言わせられるわよ!」
ロマーノ「その意気だ、ミリアリア!全く、ブルコスの連中ときたら、赤いトマトが許せない、この世の全てを青に染めてやる!だなんて言いやがるんだから、頭おかしいよな。赤いトマトが一番ブォーノ!に決まってるのに。この世を赤いトマトで埋め尽くすぞ!」
ミリアリア「おー!」
ロマーノ「キラ、お前も返事しろ!」
キラ「トマトなんか赤くても青くてもどうでもいいですよ。僕は機械工学の勉強がしたいんです!アスラン……僕、これからどうなるんだろうね(めそめそ)」
トリィ「トリィ!」
トール「若旦那〜。スペイン大旦那からメールが来ましたよ〜。『もうしばらく地中海のビーチで楽しむから、当分組織はよろしくしといてぇな』だそうです」
ロマーノ「何!?スペインの野郎、今度でかい出入りをやるって言ったのに、助けに来いよ、コノヤロー!」
キラ「出入りって、またブルコスや町の人にトマトを押し付けに行くんですか?食費が助かるって喜んでる人もいますけど、栽培農家なんか、こんなにトマトもらっても迷惑だって言ってるじゃないですか」
ロマーノ「当たり前だ!俺達は慈善団体じゃないんだ、テロリストなんだぞ!絶品のトマトを作って、全世界の人間をトマト中毒にして、シンジケートで大もうけするんだ!」
キラ「アスラン……早く助けに来てよ(泣)」


(2)に続く

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(他の二次創作系話はこちら

【ギアス、腐夢】ルルーシュの誕生日

12月5日。その年のその日は快晴であった。
ルルーシュは自室のベッドの上で目を覚ましてはいたが、目を閉じてゆっくりと体を休ませていた。今朝の朝食当番は、ロロとナナリーだ。
そこに、足音を忍ばせながら、彼の最愛の弟妹が入ってきた。実は2人が以前から何か準備をしていることを、特にロロが明らかに挙動不審だったこともあり、ルルーシュは気付いていたが、これまで気付かないフリをしてあげていた。
そうして、今も2人が入ってきたのに寝たふりをしていると、2人はお互い目配せしたかと思うと、おもむろに2人して寝ているルルーシュの上に勢いをつけてとびかかった。
「兄さん、誕生日おめでとう!」
「おめでとうございます、お兄様!」
2人は弾んだ明るい声で兄であるルルーシュに声をかけた。
「!!!!!」
ルルーシュは、高校生2人の勢いのついた重量に耐えられず、息が止まりそうになった。しかし、ルルーシュは持てる演技力を総動員してなんとか起き上がり、背中にだらだらと汗をかきつつもにっこり涼しい顔で微笑んでみせた。
「ああ、ありがとう、ロロ、ナナリー。びっくりしたよ」
驚かし成功!と思った2人は、それはそれは可愛らしく喜んでいた。それだけでルルーシュは、自分の演技のかいがあったと満足感を覚えた。


2人ははしゃぎながら口々に、朝食の用意ができているので食堂に来てほしいとルルーシュに告げ、軽い足取りで先に駆けて行った。
ルルーシュは2人の姿が視界から消えるや否や、手早く着替え、顔を洗って髪を整えてから食堂に向かった。
ルルーシュが食堂の入り口に差し掛かると、2人が両脇からクラッカーを鳴らして出迎えてくれた。テーブルの上には、朝食とは思えないほどのごちそうがところ狭しと並んでいた。
ロロは全身から「褒めて、褒めて♪」オーラを出しながら、ルルーシュのために椅子をひいた。
「兄さん、これ、僕とナナリーで作ったんだよ!」
ナナリーはルルーシュに配膳しながら、上目遣いに兄を見上げた。
「お兄様ほどはおいしく作れませんけれど、愛情だけはたっぷりに、精一杯ご用意しました」
それらはルルーシュの想定内ではあったが、彼は心がほかほかするのを感じた。
「二人とも……」
ルルーシュの口調には、心底からの感動がにじみ出ていた。
ルルーシュは早速食事を口に運んだ。それは何の変哲もない料理ではあったが、一口食べるなり、彼は破顔した。
「おいしいよ、ナナリー!ロロ!」
彼の愛くるしい弟妹は、それを聞いてお互い向かい合って手を取り、嬉しそうに手足を弾ませていた。
彼は真剣に、自分の弟妹はこんなにも可愛くて優しく、料理までプロ級で、世界一だ!と、兄の欲目全開で幸せを噛み締めていた。


そんな食卓にスザクがやって来た。スザクは何の遠慮もなくクラブハウスのランペルージ家に入り込み、一応ノックはしたものの、返事を待たずに食堂に入ってきた。
「やあ、ルルーシュ」
ルルーシュはスザクの姿を視界に入れるなり、立ち上がって戸口まで行き、さらなる笑顔を浮かべた。
「スザク!来てくれて嬉しいよ」
スザクの来訪でより上機嫌になる兄を横目で見ながら、ロロは不機嫌全開でつぶやいた。
「来なくていいのに……」
むくれるロロにスザクは敢えて気づかないふりをしながら、明るくルルーシュに声をかけた。
「元気にしてた?」
「ああ、もちろん」
楽しそうな兄を見たくなくて、ロロは俯きながらぼやいた。
「昨日も一昨日もその前も来てたじゃないか」
ナナリーはロロの嫌そうな顔に苦笑しつつ、スザクにも椅子を勧めた。
「スザクさん。スザクさんもご一緒にいかがですか?」
「ああ、ありがとう、ナナリー。でもその前に、ルルーシュ、誕生日おめでとう」
「覚えててくれたのか!」
「当たり前じゃないか。一度だって忘れたことなんてないよ。はい、プレゼント」
スザクは一抱えくらいある紙包みを軽々とルルーシュに手渡した。ルルーシュも軽く受け取ろうとしたが、それはあっさりと彼の両手をすりぬけて、包みは床にドゴォッ!と激しい音を立てて激突し、床は派手に凹んだ。
「スザク………………?」
ルルーシュは全身に冷たい汗を感じながら、呆然と固まった。ロロは慌ててルルーシュに駆け寄った。
「兄さん、大丈夫!?」
「ルルーシュ、相変わらず体力ないね。さすがにこれくらいは持てるかと思ったんだけど」
スザクは不思議そうに、固まるルルーシュを見つめていた。ロロは必死の形相で兄の無事を確かめている。
ナナリーは、床にめり込んでいる包みを持ち上げてみた。
「結構重い……。中身は何ですか?」
問いかけるナナリーに、スザクはあっさりと答えた。
「漬物石だよ」
「兄さんを殺す気ですか!」
スザクの答えを聞くなり、ロロは血相を変えてスザクを睨みつけた。しかし、ロロの怒りなど意に介さず、スザクは朗らかに続けた。
「このあいだルルーシュが、なかなか美味しいお漬物ができないって嘆いてたから、うちの秘伝の漬物石をプレゼントしようと思って。この漬物石は枢木家に代々伝わってて、少々ぬかどこの出来が悪くてもうまく漬けられるという優れものなんだよ」
「スザク……。そんな大事な物を俺がもらってしまってもいいのか?」
「もちろんだよ。それにどっちにしても……あ、そうだ。ロロに見せたいものがあったんだ」
スザクは急にロロに視線を移し、手に下げていた大きめの紙袋から、一冊の分厚いアルバムを取り出した。
「僕に、ですか?」
いぶかしげに窺うロロの目の前のテーブルに、スザクはそのアルバムを広げて置いた。
「ロロは見たこと無いだろうと思って」
それはルルーシュ、スザク、ナナリーが出会ったあの子供時代の写真であった。まだ盲目で車椅子だった頃のナナリーを中央に、両脇にスザクとルルーシュが並んで、カメラに向かって笑顔を浮かべている写真、スザクが差し出した子ウサギを嬉しそうになでるナナリーと、おっかなびっくり子ウサギに手を伸ばすルルーシュの写真、洗濯物を干すルルーシュと、ルルーシュに洗濯物を渡すナナリーと、そのナナリーの車椅子を押すスザクの写真……。きらきら輝くような3人の写真が、たくさん、ところ狭しと貼られていた。
ロロは最初はゆっくりと、そのうち夢中になってアルバムを繰っていた。
「うわあ!……やっぱり僕の兄さんは、小さいときからこんなに可愛かっこよかったんだぁ!」
ロロの無邪気に兄を褒め称える言葉に、ルルーシュはまんざらでもなさそうに口の端をつりあげた。
「よくこんな写真、あの戦乱の中で残ってたな」
「これだけは何があっても死守してたからね」
アルバムの中の幼い最愛の兄の姿に見入るロロの背中に、スザクは爽やかに声を投げかけた。
「良かったら、それ、あげようか?」
「え!?いいんですか!?」
ロロは驚いて、スザクを振り返った。
「僕にとってとても大事な物だけれど、僕以外の誰かに持っててもらうなら、君がいいな。ロロならすごく大事にしてくれるのがわかるから」
「スザクさん……!」
「それに、ルルーシュやナナリーだけじゃなくて、僕もロロを好きなんだよ。知ってた?」
「え!?」
ロロは驚愕のあまり、彼の兄が愛してやまない大きくつぶらな丸い瞳を、さらに見開いた。
「ルルーシュのことになるといつもすごく一生懸命な君を、僕が嫌うわけないじゃないか」
「!!!」
ロロは、呆然とスザクの屈託ない笑顔を見上げている。そんなロロにスザクはさらりと切り出した。
「僕、来年、君の義兄(あに)になるんだけど、許してくれるかな?」
「僕の義兄さん(にいさん)に……?」
ロロはきょとんと、スザクの言葉を繰り返した。
「ロロ。僕の義弟(おとうと)にもなってくれるかい?」
「義兄さん……僕の………………」
ロロはしばらくぼんやりと、言葉の意味を反芻して考え、やおら、コクンと頷いた。
スザクは、内心小躍りしたくなる気持ちをグッと抑えて、平静を装って微笑みながらロロに言った。
「一緒にルルーシュの事、いっぱい話そうね」
「うん。義兄さん!」
ロロは明るい声で応え、今までは何があってもルルーシュとナナリーにしか向けたことのなかった全開の笑顔を、スザクに初めて向けた。スザクは、真正面から放たれたその極上の愛らしい笑顔を直視し、瞬間に顔を上気させてルルーシュを振り返った。
「うわあ、ルルーシュ!君の弟、むちゃくちゃ可愛いね!!!」
「当たり前だろう」
スザクの反応に、ルルーシュは気を良くして、偉そうに腕組みをしながら頷いた。スザクは興奮して言葉を続けた。
「ロロがもうすぐ義弟かぁ。楽しみだなあ。僕、時々、平行世界の自分の夢を見るんだけど、僕には養女と婚約者がいて、その婚約者が、まだ結婚もしてないのに僕の養女を自分の娘みたいに可愛がってるんだけど、なんかその気持ちがわかるなあ」
「平行世界?……ああ、俺が会長の分身の家で家事やホラーな用事にこき使われてる、あれか」
「???」
なんだかよくわからない話に突入したスザクとルルーシュに、ロロは首をかしげた。


そこに、漬物石を台所に片付けに行っていたナナリーが、お茶を運んできた。
「もう、お兄様もスザクさんも、ロロに言う前に私にも教えて欲しかったです」
「あ、ごめんね、ナナリー。つい、話の流れで……」
申し訳なさそうに手を合わせるスザクに、ナナリーは唇を少し尖らせながらも、表情を和らげ、祝いの言葉を述べた。
「でも、ご婚約おめでとうございます、お兄様、スザクさん」
ナナリーの言葉が終わるか終わらないかに、玄関のほうでボトッと何かが床に落下する音がした。
不審に思った4人が、玄関を覗き込むと、そこにはショックのあまり青ざめたシャーリーと、困った顔のミレイ、冷静なカレン、楽しそうなジノ、凍りついたリヴァルが並んで立っていた。先ほどの落下物は、シャーリーの手にしていた包みで、残りの4人も大小様々な、誕生日プレゼントを抱えていた。
ミレイは一瞬、あちゃあという表情になったが、すぐにパワフルな笑顔に切り替えて、ルルーシュとスザクに駆け寄った。
「うっわー!おめでとう、2人とも!」
2人の肩をバンバンと嬉しそうに叩くミレイを尻目に、カレンは淡々と呟いた。
「あら、案外遅かったわね」
「そうだなー。いつになったらまとまるのかって、結構こっちがやきもきしてたもんな」
ジノも楽しげにカレンに合わせる。しかしリヴァルは、目の前の事態が信じられず、声を震わせながら、やっと絞り出した。
「お……お前ら……。やっぱりそうだったのか!?なんか薄々感じてはいたけどさ、ほら、なんつーか、その、まさかそこに収まるとは……いや、お前らが幸せならそれでいいんだけどさ、男同士って、いやなんでもないんだ……ごにょごにょ」
「そう……スザク君と……。あはははは……。」
シャーリーもリヴァルに続いて、乾いた笑いを発していた。そんなシャーリーを振り返り、ミレイは安否を問うた。
「シャーリー!大丈夫?」
シャーリーは、小刻みに震えながらも、気丈に自らに言い聞かせるように返事を返した。
「……会長。ううん……うん。そうだよ。私はルルが好き!だから、ルルには幸せになってほしいし……それに、スザク君だもん。私、スザク君も好きだし、スザク君なら安心だし……うん、スザク君になら、ルルをあげてもいいよ。スザク君なら私も納得できるもん。」
「シャーリー……」
そんなシャーリーに、ルルーシュは少し感嘆の念を抱いた。スザクはシャーリーの弁を聞き、勢い込んで答えた。
「ありがとう、シャーリー!僕もシャーリーは好きだよ!シャーリーに誓うよ。ルルーシュは僕が絶対に幸せにするから!」
「うん、まかせたからね、スザク君!万が一ルルを不幸にしたら、その時は私がルルをもらうからね!」
「もちろんだよ!僕もシャーリーにならまかせられる!」
ここに協定が結ばれた。シャーリーは決意し、気持ちを強く持って笑顔で2人を祝福した。
「ルル!スザク君!婚約おめでとう!結婚式には呼んでね」
そんなシャーリーに慈愛の眼差しを送りながら、ミレイも明るく便乗した。
「あ、私も私も!」
ルルーシュは、2人の祝福を心から嬉しく思いながらも、やや呆れたようなポーズで首をすくめた。
「はいはい、わかってますよ」


急に大所帯になったランペルージ家では、後から来た5人もルルーシュの誕生日を祝い、たくさんのごちそうを飲み食いして、大いに盛り上がっていた。
そこに、中庭の方角から、ナイトメアが降り立つようなずっしりした音が聞こえた。集まっていた面々は、何事かと窓を開けて中庭を見下ろした。
中庭には、モルドレッドが立っており、皆の目の前で、抱えていた大きなコンテナを地面にそっと下ろした。その後モルドレッドのコックピットが開き、アーニャが顔を出した。
アーニャは窓に並ぶ顔の中にルルーシュを見つけると、いつものように淡々と言った。
「ルルーシュ、誕生日おめでとう。これはジェレミアから」
アーニャはモルドレッドでコンテナの蓋を開け、中身を庭にそっとぶちまけた。大量のオレンジ、オレンジ、オレンジ……。
「ジェレミアが品種改良したオレンジ。芯の強い一本筋の通ったとても優しい味で、誰もが食べるとその味に感動する。でもひ弱だから、栽培は大変。品種名は『ルルーシュ』で登録した。以上、ジェレミアからの伝言。ジェレミアは今、この『ルルーシュ』を品評会に出品に行ってるから、後から来る」
「『ルルーシュ』だと!?やめてくれーーーっ!」
抗議の声を上げるルルーシュに、その場にいた面々のほとんどが大笑いした。
いつの間にか中庭に降りていた弟妹は、早速そのオレンジを剥いて、味見をし、お互い顔を見合わせて破顔した。そして2人は口々にルルーシュに感想を伝えた。
「すごいや、兄さん!皇帝の次はオレンジの名前にまでなっちゃうなんて。ジェレミア、いい仕事してるなあ」
「お兄様、このオレンジ、本当に美味しいですよ。まさにお兄様みたいな素敵な味ですよ!ジェレミアさんがお兄様の名前を冠したかった理由もわかります」
無邪気に兄への敬愛の念を述べる弟妹に、ルルーシュは嬉しくなり、それでも確認の言葉を発した。
「そ……そうか?」
「うん!もし生半可なものに兄さんの名前をつけてたりしたら、なんとしてもジェレミアを殺しにいこうと思ってたけど、これなら兄さんにふさわしいよ!こんなにおいしいオレンジ、食べたことないもの」
「ええ、私も、これ以上おいしいオレンジはもうこの世には作れないと思いますよ。お兄様と同じで、替えがききません」
輝くように答える弟妹に、替えがきかないのはお前達のほうだ!と思いながらルルーシュは、やっと大量のオレンジを直視した。
「そ、そうか。まあ、それなら……」
ルルーシュがこの事態を受け入れた事を横目で確認したミレイは、オレンジをひとつ掴んで頭上に掲げ、高らかに宣言した。
「話がまとまったところで……、これより、ルルーシュの誕生日と、ルルーシュとスザクの婚約を祝して、オレンジパーティー開始―っ!!」


その日は遅くまで、中庭とクラブハウスに、大きな笑い声が絶えなかったという。


<以上>
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【サクラ、SEED、夢】紐育&種入れ替わり話〔3〕


ベイエリアで交戦する星組。それほど強くはないものの、量で攻めてきた大量の敵機に手を焼いている。そこにエイハブから通信が入った。(エイハブにはプラム、杏里、ラチェット、サニーが乗っている)
プラム「タイガー、大変よ!」
交戦しつつ新次郎「どうしたんですか!?」
杏里「敵機の一部がシアターの方角に向かっています!」
星組「ええっ!」
プラム「それも、シアター以外には目もくれず、一直線って感じよ!」
ラチェット「こちらの戦力を分散させようという魂胆のようね」
昴「どうする、大河」
新次郎「イザークさんたちが危ない!」
サニー「それは、王先生が残ってくれてるから大丈夫。ちゃんと二人とも避難させてくれるよ」
ラチェット「幸い、一般市民には意識を向けていないみたいだから、そちらのほうは後回しにしても月組の避難誘導で、乗り切れると思うわ」
ジェミニ「そうですか……けど、またボク達のシアター、壊れちゃうね」
サジータ「直して間もないのにな。でも、仕方ない」
昴「こちらは放っておけば人的被害が出かねないからな」
ダイアナ「残念ですけど、壊れたらまた直せばいいですから、ね。人の命と違って、取り返しはつきますから……」
杏里「寂しいけど、我慢するしかないんですね……」
新次郎「じゃあ、みなさん。頑張って早くこちらの敵を一掃してしまいましょう!そして僕達のシアターを守りに帰るんです!」
星組「イエッサー!」
しばらくして杏里「ええっ!?」
サニー「ほう」
ラチェット「そんな、まさか!」
プラム「タイガー!タイガー!」
新次郎「どうしたんですっ!?」
プラム「あの、ふたりが、あのふたりが……」
サジータ「あの馬鹿コンビに何かあったのか!?」
杏里「実験用にうちに置かせてもらってた光武Fと天武で出撃して……シアターを守ってくれてます!!」
昴「まさか……!」
ダイアナ「でも、あの方達に霊力はないんでしょう!?」
サニー「うちで居候することに決まった時にちょっと検査させてもらったんだけど、微弱ながら霊力はあったよ。しかも、気合いで少しは増幅するタイプの」
ラチェット「では、あのふたりは、なけなしの霊力を振り絞って……」
サニー「だろうね。だから長くはもたないよ、きっと」
ジェミニ「じゃあ、頑張らなくちゃ!ボクたちが早く行かなくちゃ!!」
新次郎「あの方たちの気持ちに応えなくちゃ……」
昴「ますますこんなところでもたついている暇はなくなったな」
新次郎「みなさん、一刻も早く、イザークさんたちを助けにいきましょう!!」
星組「イエッサー!!」


ピクニックからの帰り道。草むらから、風体の悪い十数人の男が飛び出してきた。
男1「ほお、なかなか上品そうな奴らとお子様じゃねーか。なあ、金、もってるんだろ?恵んでくれよ」
男2「そうそう、俺らに愛の手を、ってね!」
無視して歩く3人に、男たちは襲い掛かった。
男3「なめてんじゃねえよ!!」
男たちに囲まれたが、あっさりのしてしまったキラとアスラン。しかし、リカだけが、ノコを追いかけて男の一人に捕まってしまった。
残った男4「へへっ、やってくれたな。だが、このお嬢ちゃんの命が惜しけりゃ、さっさと投降するんだな」
キラ&アスラン「リカっ!」
リカ「いししししー、リカ、つかまっちゃったぞ!」
キラ「リカ!」
アスラン「あの馬鹿、状況がわかってるのか!」
勝ちを確信した、リカを羽交い絞めにしている男の顎に二つの冷たい物体が当たった。
男4「何だ?」
キラ「リカ!?」
リカ「金の銃と銀の銃、どっちで撃たれたい?」
男4「何っ!?」
アスラン「リカ!そんな危ない物を持っていたなんて!」
リカ「とりあえず撃っとく!」
男4「ひいいいいい〜っ!!」
男4は逃げ出しかけたが、そこをアスランに捕まえられてのされてしまう。キラはリカに駆け寄った。
キラ「リカ、大丈夫?」
リカ「リカは大丈夫だぞ!リカはつよいからな!」
アスラン「ほんとに……心配させる……」
リカ「心配したか?アスラン、ごめんな」
アスラン「無事だったから良かったようなものの……」
キラ「リカ、これからはこんな危ないことしちゃダメだよ」
リカ「ごめんなさい……」
リカは二人の首に腕を回してだきつく。アスランとキラもリカの背中に手を回す。
リカ「ありがとうな。リカ、キラもアスランも大好きだぞ!」
キラ「僕もだよ。……アスランも、だよね?」
アスラン「……ああ(照)」
そこに小さい揺れが起きた。
キラ「あれ、地震?」


慣れない光武Fを操るイザークと天武を動かすディアッカ。二人とも必死だが、気力だけで敵機を食い止める。さすがに倒すところまではいかない。もう二人の気力も限界……というところに、敵の主力を片付けた星組が帰ってきた。
新次郎「イザークさん、ディアッカさん、ありがとうございます!!」
サジータ「よくやった!サンキュー!恩に着るよ!」
昴「昴は思った、異世界人にしてはなかなかやる、と」
ダイアナ「お二人とも、お怪我はないですか!?」
ジェミニ「ここからは、ボクらにおまかせ!」
ディアッカ「た……助かった……」
イザーク「遅いぞ、お前ら!!」
サニー「まさか君たちがここまで頑張ってくれちゃうとはねえ。もう、星組にスカウトしちゃおうかなあ」
ラチェット「さあ、みんな、あと少しよ、頑張って!」
星組「イエッサー!」
そして掃討される敵。イザークたちはシアターから残敵の掃討を見守る。
スターから降りてきた星組に、
イザーク「まったく。自分達の舞台を守らんでどうする!お前らの舞台が暢気にやってるのが、お前らの守るべき平和だろうが!」
ディアッカ「まあまあ。結局シアターは無事だったんだしさ。……ん?地震?」


キラとアスラン……特にアスランは、本気で腕の中をまじまじと凝視していた。
イザーク「なっ!なんで貴様が……こんなに寄るな、気色悪い!なんだこの、俺の背中に回した腕は!今すぐはずせ!!」
言われるが早いか、アスランは青ざめて即行で飛びすさって離れた。
アスラン「イザーク!?」
ディアッカもイザークもひきつっている。キラも苦笑しながら、ディアッカの背中に回されていた腕をはずした。
キラ「おかえりなさい(苦笑)」
アスラン「イザーク……戻ってくるならもう少し、時と場所を考えてくれ……」
イザーク「それは俺の台詞だ!!」
しばらくぎゃあぎゃあやっているアスランとイザーク。そのうち、今までのお互いの話になり、
イザーク「で、貴様は、今後のことに結論はでたのか?」
アスラン「ああ。今は焦らずに、俺のできること、俺の望むことをゆっくりと考えていこうと思うんだ」
キラ「うん、アスラン」
イザーク「ふん」
ディアッカ「やれやれ」


サジータ「リカ!?」
リカ「あれ?サジータ?すばる?しんじろーもジェミニもダイアナもいるぞ!リカ、帰ってきたのか?うっひょー!」
リカに駆け寄って抱きしめるサジータ「もう、この子は、心配させて!」
リカ「サジータ、ごめんな。みんなもごめんな」
しばらく近況報告をしあい
リカ「みんなに会えなくて、リカ、寂しかったけど、寂しくなかったぞ!」
そう言った途端、リカの懐から零れ落ちたノコハロが
ノコハロ「ハロ!」
新次郎「うわ、これなに?」
リカ「いいだろー!リカがもらったんだぞ!」
ダイアナ「このボールからは、作った人の愛情を感じます」
リカ「ボールじゃないぞ、ハロだぞ!」
昴「へえ、丁寧な作りだな。しかも凝っているな。どういう仕掛けだ?」
リカ「わかんねー!ははははは(笑)」
ジェミニ「いいなあ、ボクも欲しいなあ」
リカ「やんない!」
ジェミニ「ちえっ」
ラチェット「さあさあ、皆、戦闘終わったばかりで疲れたでしょう?プラムと杏里がお茶を用意してくれてるから、とりあえず着替えてらっしゃい」
星組「はーい」
その日は、シアターの屋上からは、楽しげな話し声が遅くまで響いていた。


<以上>
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【サクラ、SEED、夢】紐育&種入れ替わり話〔2〕


約1週間後。。
サニー「ほう、ほう。なるほどねえ。詳しく話をきかせてもらってやっといろいろわかったよ。君たちの世界ではそんな武器や戦闘機械があるのか。しかしまあ、なんだね。動力源が違っても、似たような進化を遂げるもんだね」
イザーク「ふん。こちらの世界は蒸気が動力だとはな。信じられん。まあ、核をうたれるくらいなら、まだ蒸気のほうがましな気もするがな」
ディアッカ「俺はこの世界も結構気に入ってきたんだけどね」
イザーク「貴様、今あちらではどういう状況なのか忘れたわけではないだろうな!?」
ディアッカ「はいはい、忘れてませんって」
サニー「じゃあ、今日はこのくらいにしようか。続きはまた明日ってことで」
イザーク「ふん、まあいいだろう」
サニー「そうそう、そういえば昨日のうちのシアターのショウはどうだった?チケットあげたんだから、見てくれたよね?」
イザーク「世界平和のために役に立つものではなさそうだが……まあ、平和を維持する目的くらいにはなるんじゃないか」
ディアッカ「相変わらず素直じゃないねえ。サニーサイド、こいつ昨夜は興奮しっぱなしだったんだぜ。これはあのラクス・クラインの歌にも匹敵する素晴らしい舞台だ!ってさ(笑)」
イザーク「貴様は余計なことを言うんじゃない!」
サニー「ははっ、何にせよ、気に入ってもらえたのなら良かったよ」
イザーク「失礼する!」
ディアッカ「おい、待てって、イザーク!」
開場までまだ時間のあるロビーでジェミニが掃除をしている。が、イザークたちの目の前でジェミニはバケツごと滑ってこけた。
ジェミニ「いったーい」
イザーク「何をやってるんだ、まったく!」
手をジェミニに差し出しながらディアッカ「ジェミニ、大丈夫か?」
ジェミニ「あ、ありがとう、ディアッカさん」
イザーク「だいたいお前は掃除の仕方がなっとらん!いいか?モップかけというものはだな、こう、腰をいれて、こうだ!」
ジェミニ「うわー、イザークさん、上手ですね〜」
イザーク「な、何をしている!さっさと着替えてこい!そんなびしょぬれで掃除を続けてたら、風邪をひくぞ!ほら、さっさと行け!
ジェミニ「あ、はい!ありがとうございます!」
ジェミニが去る。
イザーク「ディアッカ、貴様はぼけっとしてないで、さっさと手伝わんか!」
ディアッカ「はいはい(笑)」


夕刻食堂にて。
リカ「今日はなっ、コジローにガンダムとかいうやつを見せてもらったぞ!スターよりずっとおっきいのな!」
キラ「スターって?」
リカ「リカが乗るやつだ!」
キラ「へー、そうなんだ(にこにこ)」
アスラン「キラ……、今のでスターがどういうものかわかったのか?」
キラ「うぅん……どうかな(にこっ)」
アスラン「キラ……(がっくり)」
リカ「アカツキとかいうやつはすっごいのな!金ぴかなのな!こないだ連れてってもらった動物園で見たライオンより金ぴかだったぞ!」
キラ「そうだね(笑)」
リカ「それでな、ちょっとだけな、キラとアスランのガンダムにも乗せてもらったぞ!コジロー、いいやつなのな!」
キラ「楽しかった?」
リカ「おう!スターと中身が全然ちがってびっくりだぞ!あんなわけわかんねーやつ、よくキラとアスランは動かせるな!すごいな!」
キラ「ありがとう。それはそうとリカ、今度はどこ行こうか?」
リカ「んーと、動物園も遊園地もデパートもシネマも行ったしな。ガンダムもシャトルも乗ったしな。じゃあ今度はおつきさまに行きたいぞ!ここじゃ、おつきさまに行けるってコジローが言ってたぞ!ホントか?」
キラ「うん、ほんとだよ。僕たちも昔月に住んでたんだ。」
リカ「うっひょー、すごいな!リカ、楽しみだ!」
キラ「よし、じゃあ早速明日、行こうか?」
リカ「おう!行くぞ、リカ。おつきさまに行くぞ行くぞ、くるくるくるー!」
アスラン「キラ、俺たち毎日リカと遊びほうけていて、これでいいのか?」
キラ「いいんだよ。マリューさんたちが、リカの遊び相手をしててくれって言ってくれてるし」
リカ「なんだ?アスランはおつきさま、嫌か?どっか具合悪いのか?」
アスラン「いや、そんなんじゃないよ(微笑)」
リカ「うーん、だったら、アスラン、リカの子分にしてやる!どうだ、嬉しいか?」
アスラン「ええっ!?いや、別に子分になりたくは……」
リカ「親分はだめだぞ。親分はリカだからな!アスランは子分だ!」
アスラン「あ、いや、その……」
キラ「くすくすっ。いいじゃない、アスラン。子分にしてもらいなよ」
アスラン「キラまで……はぁー」


新次郎「うわっ、すごいですね、イザークさん!伝票があっというまに整理されていく」
イザーク「ふん、ザフトのエリートたるもの、このくらいはできて当然だ!」
ディアッカ「なあ、イザーク。なんで俺たち伝票整理なんてやってるんだ?」
イザーク「馬鹿者!このちびっこい子供一人に、こんな大量の仕事をまかせておけるか!」
新次郎「あの、何度もいうようですけど、僕、19歳なんですけど……」
イザーク「見ろ!あからさまな嘘をついてまでけなげに職務に励もうとするこの子供の心意気、お前は黙ってみすごせるのか!?」
ディアッカ「いや、そいつほんとに19歳なんじゃないの?」
イザーク「お前の目は節穴かっ!これのどこが19歳だ!」
新次郎「えーと、僕、悲しめばいいのか、喜べばいいのか……」
遠くからダイアナの声がする。
ダイアナ「か……固い……」
イザーク「ほら、ディアッカ!もたもたせずに行って来い!」
ディアッカ「あー、はいはい。(ダイアナのとこに来て)あー、何、このねじを締めればいいわけ?」
ダイアナ「すみません。昨日の舞台でこのねじがゆるんでしまったみたいで……」
ディアッカ「オッケー、まかせてよ。どうせやるなら男の手伝いより、綺麗な女性の手伝いするほうがいいや」
ダイアナ「え?」
ディアッカ「あー、こっちの話」


原っぱにてピクニックをする3人。
リカ「うまーい!このステーキは最高だな!アスランが焼いたのか?」
アスラン「あ、まあ」
キラ「アスランは手先が器用だから」
リカ「じゃあ、今度、リカがホットケーキ焼いてやる!」
アスラン「ああ、そうだな。楽しみにしてるよ」
キラ「リカ、僕には?」
リカ「キラにもだ!パパ直伝のすっごくうまーいホットケーキだぞ!」
キラ「うわあ、おいしそうだね!」
リカ「うまうまだぞー!」
お弁当を食べ終わって、はしゃいで走り回るリカ。
少し離れた木陰で休むキラとアスラン。
アスラン「なんか、こういう生活もいいもんだな」
キラ「そうだよね」
アスラン「今までは、いつも戦争のことが頭から離れずに、ただ平和のために戦い続けて、いざ、得た平和をどう享受していいのかわからなくて……。カガリのボディガードをしたりして、どうしても俺のできる、持てる力を生かそうと……いや、俺には戦闘のための力しかないかのように感じていたんだ。」
キラ「うん」
アスラン「だけど、リカとすごしてるこの穏やかな日々……すっかり戦争の中で見失ってたけれど、俺はこんな生活がしたくて戦ってきたんだよな。一見意味がないように見えて、何気ない大切な日常。これを得るために俺は戦ってきたんだ……」
キラ「そうだね」
アスラン「まったく、本末転倒とはこのことだな。戦ってるうちに目的がわからなくなってしまうなんて(苦笑)」
キラ「僕も、一時はそうだったから。ただ、アスランに、今後の身の振り方として、こういう選択肢もあるんだよって教えたくて……。マリューさんに話したら快諾してくれたから」
アスラン「……。それで俺たちはこんなに毎日遊びほうけていられたのか!?」
キラ「怒んないでよ、アスラン。マリューさんだって、AAのみんなだって、アスランのことを思って、許してくれたんだから。それに、リカの世話をしてもらえて助かるってみんな言ってるし!」
アスラン「AAの全員の了承済みだったのか!?はあ……、俺もまだまだだな」
キラ「このお礼は、これからちょっとずつ返していこうよ、ね?」
アスラン「まったく……(苦笑)」
キラ「あれ?リカ、どこまで行ったんだろう。ちょっと探してくるね」
アスラン「ああ。俺もここを片付けたらそっちに行くよ」
キラ「うん」


鳴り響く警報音。なごやかに口げんかしながら舞台セットの修理をしていたサジータとイザークとディアッカがはっと顔を上げる。
イザーク「なんだ、この警報音は!?」
サジータ「あんたたちには関係ない。あたしはいかなくちゃならないから、あと、よろしく!」
イザーク「はあ?」
あっというまに走り去るサジータ。
ディアッカ「さあて、俺たちはどうしようかねえ」
イザーク「ただの劇団ではないとは思っていたが、やはり何かあるな、このシアターには」
ディアッカ「どうする?おいかける?」
イザーク「……やめておこう。ザフトにだって他人に知られるわけにはいかない機密があるんだ。ここの連中だって同じだろう。もし、必要になれば知らせてくるさ」
ディアッカ「じゃあ、おとなしくこのセットの修理を続けますか」


はしゃいでいるうちにキラたちから少し離れたところに来たリカ。シロツメクサだのなんだのの雑草や花で花冠を作ってノコにかぶせたり、草の蔓をノコの足にまきつけたり、ノコで遊ぶリカ。
リカ「ノコ。リカな、最初ここに来たとき、すっごく怖かった。またみんな、パパと同じでどこか行っちゃったのかと思った。」
遊ばれるのにあきらめポーズでノコ「きゅきゅ〜」
リカ「リカの好きな人は、みんなリカの前からいなくなっちゃうのかと思った」
ちょっともがいているノコ「きゅー」
リカ「それで泣いてたらな、ミリアリアが一緒に寝てくれた。マリューが『だいじょうぶ』て言ってくれた」
もがいた拍子にすっころんだノコ「きゅきゅっ」
草花にからまったノコをほどきながらリカ「ムウが頭なでてくれた。キラとアスランは、リカが悲しくならないようにいつも遊んでくれる」
リカにうっかり強くつかまれてノコ「ぎゅょえっっっ!」
ノコをなでながらリカ「あ、ノコ、ごめんな。……それでな、紐育のみんなのとこには帰りたいぞ。でもな、ここのみんなもリカのこと好きだって言ってくれる。リカもみんな大好きだ」
目をまわしつつノコ「きゅる〜」
リカ「もちろん、ノコも大好きだぞ!」
ちょっと意識取り戻したノコ「きゅぅ」
リカ「だからな、リカ、しあわせだなと思うんだ。リカ、みんな大好きだ!だからさびしくないぞ!あ、ノコ!」
ちょろちょろっと近くの木に登るノコ。
木の上のノコを見上げながら笑ってリカ「今度は木登りするか?木登りか?ノコ、気をつけろな〜」


王が舞台に駆け込んでくる。
王「お二方とも、避難してくだされ!敵がこのシアターにも襲撃してきますのじゃ!」
イザーク「何!?敵だと?どういうことだ!」
王「詳しく説明している暇はありませんのですじゃ!」
二人をひっぱる王。
イザーク「ちょっと待て。もし俺たちがここを逃げ出したら、このシアターはどうなるんだ!あいつらはまだ戻ってきてないんだろう!?」
ディアッカ「そうだぜ!さっきの警報、あいつらが何かしにいったんじゃないのか!」
イザーク「あいつらの留守も守れないとあっては、ザフトの名折れだ!」
ディアッカ「事情を教えてもらうまで、俺たちは避難しないぜ」
王「……。それでは、仕方ありませぬ。お二人だけにそっとお教えしましょう。くれぐれも口外なされぬように」
イザーク「当然だ!この俺を誰だと思っている!」
王「……敵の主力は大河殿達が現在交戦中ですじゃ。ですが、少数の敵がこちらにも向かってきていますのじゃ」
イザーク「何か、武器はないのか!?あいつらもまさか素手で戦っているわけじゃないだろう!」
王「もしや、戦われるおつもりですか!?」
イザーク「このまま放っておけるか!あいつらの帰る場所をなくすわけにはいかないだろうが!何か、武器を貸せ!」
王「しかし……」
ディアッカ「なんでもいいよ。何かあるだろ?」
王「あれは、霊力がないと使いこなせず……。むむ?もしやお二人は……こちらへ!」
格納庫へ二人を連れて行く王。光武Fや天武が数機並んでいる。
王「これは、今はもう使われていない機種で、スターの改良のために実験用に置いてあったもの。今、少ない霊力でも自然界のエネルギーで補って起動できるようにする実験の途中ではあるのですが、使えるとすればこれくらいしか……」
イザーク「なんだ、やたら小さいモビルスーツだな」
ディアッカ「まあ、なんでもいいじゃん。やってやろうぜ」
イザーク「貴様に言われるまでもないわ!行くぞ、ディアッカ!」
ディアッカ「おおせのままに、ってね」
乗り込んだ二人。
イザーク「なんだこれは。この筒に腕を入れるのか?この管を接続するのか?」
王「おお、お二人のわずかな霊力でもなんとか動きそうですじゃ!」
ディアッカ「よっと、これか?お、動いた!」
イザーク「よし、なんとか感覚はつかんだ。行くぞディアッカ!!」
ディアッカ「グゥレイトォ!」


キラ「リカー、リカ、どこいったの?」
草むらの影からかぼそいリカの声がする。
リカ「キ……ラ……」
キラ「リカ!?」
草むらの向こうを見ると、すぐ崖になっていて、崖の途中の木の枝にリカがひっかかっている。
キラ「どうしたの、リカ!?」
リカ「ノコが登った木の枝にひっかかっておりれなくなったから、助けようとリカも登ったら、リカが乗ってた枝が折れて落ちて、崖に生えてた木にうまくささったけど、服がひっかかって崖のぼれなくなったー。びえ〜ん」
キラ「今、助けるから!」
キラが手をのばし、リカの首根っこを捕まえてひっぱるが、複雑に服が枝にひっかかっていてなかなか引き上げられない。そうこうしているうちにキラの足場が崩れた。
キラ「うわっ、アスラーン!!」
猛スピードで走ってきたアスラン「キラっ!?」
キラの服の端をアスランがはっしとつかみ、必死で支える。
アスラン「リカもいるのか?いったいどうしてこんな……って、今はそんな場合じゃないな」
キラ「リカの服が枝にひっかかってるんだよ」
アスラン「そうか……なら」
アスランは懐から、左目の周りに星型の模様のある、白いボール……ハロを取り出して崖に投げ入れた。
アスラン「行け、ハロ!」
ノコ模様のハロは崖をうまく跳ねてリカに近づき、ちょうど引っかかっている服の部分を小さなナイフで切った。途端にアスランの腕は軽くなり、キラとリカをすんなりと引き上げることができた。
キラ「ありがとう、アスラン」
リカ「びえーん、ありがとな!ありがとな、キラ、アスラン!」
アスラン「ほら、もうそんなに泣くな……」
キラ「リカが無事でよかった……」
リカ「ひっく、うえっく……。ノコも無事だぞ、よかったぞ……ぐすっ」
ほっとして泣きじゃくるリカの周りを、白い物体が跳び回っている。さすがにリカも何事かと顔をあげると、ノコ模様のハロが目に入った。
リカ「なんだこれ!?」
アスラン「あ……、ハロだよ。ほんとはもっとちゃんと渡したかったんだけど」
リカ「ハロ?でもノコと同じ模様だぞ!」
キラ「アスランはペットロボを作るのが得意なんだ。僕のトリィもアスランに作ってもらったんだよ」
リカ「トリィもか!?すごいな、アスラン!」
アスラン「あ、えと、その。まあ、気に入ってもらえたらいいんだけど……」
リカ「気に入ったぞ!ノコの友達だ!ノコ、良かったな!」
ノコ「きゅきゅー♪」
ノコハロ「ハロハロ〜♪」
リカ「アスラン、ありがとうなのな!」
アスラン「あ……(照)」


〔3〕へ続く
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