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【ギアス、腐夢】ルルーシュの誕生日

12月5日。その年のその日は快晴であった。
ルルーシュは自室のベッドの上で目を覚ましてはいたが、目を閉じてゆっくりと体を休ませていた。今朝の朝食当番は、ロロとナナリーだ。
そこに、足音を忍ばせながら、彼の最愛の弟妹が入ってきた。実は2人が以前から何か準備をしていることを、特にロロが明らかに挙動不審だったこともあり、ルルーシュは気付いていたが、これまで気付かないフリをしてあげていた。
そうして、今も2人が入ってきたのに寝たふりをしていると、2人はお互い目配せしたかと思うと、おもむろに2人して寝ているルルーシュの上に勢いをつけてとびかかった。
「兄さん、誕生日おめでとう!」
「おめでとうございます、お兄様!」
2人は弾んだ明るい声で兄であるルルーシュに声をかけた。
「!!!!!」
ルルーシュは、高校生2人の勢いのついた重量に耐えられず、息が止まりそうになった。しかし、ルルーシュは持てる演技力を総動員してなんとか起き上がり、背中にだらだらと汗をかきつつもにっこり涼しい顔で微笑んでみせた。
「ああ、ありがとう、ロロ、ナナリー。びっくりしたよ」
驚かし成功!と思った2人は、それはそれは可愛らしく喜んでいた。それだけでルルーシュは、自分の演技のかいがあったと満足感を覚えた。


2人ははしゃぎながら口々に、朝食の用意ができているので食堂に来てほしいとルルーシュに告げ、軽い足取りで先に駆けて行った。
ルルーシュは2人の姿が視界から消えるや否や、手早く着替え、顔を洗って髪を整えてから食堂に向かった。
ルルーシュが食堂の入り口に差し掛かると、2人が両脇からクラッカーを鳴らして出迎えてくれた。テーブルの上には、朝食とは思えないほどのごちそうがところ狭しと並んでいた。
ロロは全身から「褒めて、褒めて♪」オーラを出しながら、ルルーシュのために椅子をひいた。
「兄さん、これ、僕とナナリーで作ったんだよ!」
ナナリーはルルーシュに配膳しながら、上目遣いに兄を見上げた。
「お兄様ほどはおいしく作れませんけれど、愛情だけはたっぷりに、精一杯ご用意しました」
それらはルルーシュの想定内ではあったが、彼は心がほかほかするのを感じた。
「二人とも……」
ルルーシュの口調には、心底からの感動がにじみ出ていた。
ルルーシュは早速食事を口に運んだ。それは何の変哲もない料理ではあったが、一口食べるなり、彼は破顔した。
「おいしいよ、ナナリー!ロロ!」
彼の愛くるしい弟妹は、それを聞いてお互い向かい合って手を取り、嬉しそうに手足を弾ませていた。
彼は真剣に、自分の弟妹はこんなにも可愛くて優しく、料理までプロ級で、世界一だ!と、兄の欲目全開で幸せを噛み締めていた。


そんな食卓にスザクがやって来た。スザクは何の遠慮もなくクラブハウスのランペルージ家に入り込み、一応ノックはしたものの、返事を待たずに食堂に入ってきた。
「やあ、ルルーシュ」
ルルーシュはスザクの姿を視界に入れるなり、立ち上がって戸口まで行き、さらなる笑顔を浮かべた。
「スザク!来てくれて嬉しいよ」
スザクの来訪でより上機嫌になる兄を横目で見ながら、ロロは不機嫌全開でつぶやいた。
「来なくていいのに……」
むくれるロロにスザクは敢えて気づかないふりをしながら、明るくルルーシュに声をかけた。
「元気にしてた?」
「ああ、もちろん」
楽しそうな兄を見たくなくて、ロロは俯きながらぼやいた。
「昨日も一昨日もその前も来てたじゃないか」
ナナリーはロロの嫌そうな顔に苦笑しつつ、スザクにも椅子を勧めた。
「スザクさん。スザクさんもご一緒にいかがですか?」
「ああ、ありがとう、ナナリー。でもその前に、ルルーシュ、誕生日おめでとう」
「覚えててくれたのか!」
「当たり前じゃないか。一度だって忘れたことなんてないよ。はい、プレゼント」
スザクは一抱えくらいある紙包みを軽々とルルーシュに手渡した。ルルーシュも軽く受け取ろうとしたが、それはあっさりと彼の両手をすりぬけて、包みは床にドゴォッ!と激しい音を立てて激突し、床は派手に凹んだ。
「スザク………………?」
ルルーシュは全身に冷たい汗を感じながら、呆然と固まった。ロロは慌ててルルーシュに駆け寄った。
「兄さん、大丈夫!?」
「ルルーシュ、相変わらず体力ないね。さすがにこれくらいは持てるかと思ったんだけど」
スザクは不思議そうに、固まるルルーシュを見つめていた。ロロは必死の形相で兄の無事を確かめている。
ナナリーは、床にめり込んでいる包みを持ち上げてみた。
「結構重い……。中身は何ですか?」
問いかけるナナリーに、スザクはあっさりと答えた。
「漬物石だよ」
「兄さんを殺す気ですか!」
スザクの答えを聞くなり、ロロは血相を変えてスザクを睨みつけた。しかし、ロロの怒りなど意に介さず、スザクは朗らかに続けた。
「このあいだルルーシュが、なかなか美味しいお漬物ができないって嘆いてたから、うちの秘伝の漬物石をプレゼントしようと思って。この漬物石は枢木家に代々伝わってて、少々ぬかどこの出来が悪くてもうまく漬けられるという優れものなんだよ」
「スザク……。そんな大事な物を俺がもらってしまってもいいのか?」
「もちろんだよ。それにどっちにしても……あ、そうだ。ロロに見せたいものがあったんだ」
スザクは急にロロに視線を移し、手に下げていた大きめの紙袋から、一冊の分厚いアルバムを取り出した。
「僕に、ですか?」
いぶかしげに窺うロロの目の前のテーブルに、スザクはそのアルバムを広げて置いた。
「ロロは見たこと無いだろうと思って」
それはルルーシュ、スザク、ナナリーが出会ったあの子供時代の写真であった。まだ盲目で車椅子だった頃のナナリーを中央に、両脇にスザクとルルーシュが並んで、カメラに向かって笑顔を浮かべている写真、スザクが差し出した子ウサギを嬉しそうになでるナナリーと、おっかなびっくり子ウサギに手を伸ばすルルーシュの写真、洗濯物を干すルルーシュと、ルルーシュに洗濯物を渡すナナリーと、そのナナリーの車椅子を押すスザクの写真……。きらきら輝くような3人の写真が、たくさん、ところ狭しと貼られていた。
ロロは最初はゆっくりと、そのうち夢中になってアルバムを繰っていた。
「うわあ!……やっぱり僕の兄さんは、小さいときからこんなに可愛かっこよかったんだぁ!」
ロロの無邪気に兄を褒め称える言葉に、ルルーシュはまんざらでもなさそうに口の端をつりあげた。
「よくこんな写真、あの戦乱の中で残ってたな」
「これだけは何があっても死守してたからね」
アルバムの中の幼い最愛の兄の姿に見入るロロの背中に、スザクは爽やかに声を投げかけた。
「良かったら、それ、あげようか?」
「え!?いいんですか!?」
ロロは驚いて、スザクを振り返った。
「僕にとってとても大事な物だけれど、僕以外の誰かに持っててもらうなら、君がいいな。ロロならすごく大事にしてくれるのがわかるから」
「スザクさん……!」
「それに、ルルーシュやナナリーだけじゃなくて、僕もロロを好きなんだよ。知ってた?」
「え!?」
ロロは驚愕のあまり、彼の兄が愛してやまない大きくつぶらな丸い瞳を、さらに見開いた。
「ルルーシュのことになるといつもすごく一生懸命な君を、僕が嫌うわけないじゃないか」
「!!!」
ロロは、呆然とスザクの屈託ない笑顔を見上げている。そんなロロにスザクはさらりと切り出した。
「僕、来年、君の義兄(あに)になるんだけど、許してくれるかな?」
「僕の義兄さん(にいさん)に……?」
ロロはきょとんと、スザクの言葉を繰り返した。
「ロロ。僕の義弟(おとうと)にもなってくれるかい?」
「義兄さん……僕の………………」
ロロはしばらくぼんやりと、言葉の意味を反芻して考え、やおら、コクンと頷いた。
スザクは、内心小躍りしたくなる気持ちをグッと抑えて、平静を装って微笑みながらロロに言った。
「一緒にルルーシュの事、いっぱい話そうね」
「うん。義兄さん!」
ロロは明るい声で応え、今までは何があってもルルーシュとナナリーにしか向けたことのなかった全開の笑顔を、スザクに初めて向けた。スザクは、真正面から放たれたその極上の愛らしい笑顔を直視し、瞬間に顔を上気させてルルーシュを振り返った。
「うわあ、ルルーシュ!君の弟、むちゃくちゃ可愛いね!!!」
「当たり前だろう」
スザクの反応に、ルルーシュは気を良くして、偉そうに腕組みをしながら頷いた。スザクは興奮して言葉を続けた。
「ロロがもうすぐ義弟かぁ。楽しみだなあ。僕、時々、平行世界の自分の夢を見るんだけど、僕には養女と婚約者がいて、その婚約者が、まだ結婚もしてないのに僕の養女を自分の娘みたいに可愛がってるんだけど、なんかその気持ちがわかるなあ」
「平行世界?……ああ、俺が会長の分身の家で家事やホラーな用事にこき使われてる、あれか」
「???」
なんだかよくわからない話に突入したスザクとルルーシュに、ロロは首をかしげた。


そこに、漬物石を台所に片付けに行っていたナナリーが、お茶を運んできた。
「もう、お兄様もスザクさんも、ロロに言う前に私にも教えて欲しかったです」
「あ、ごめんね、ナナリー。つい、話の流れで……」
申し訳なさそうに手を合わせるスザクに、ナナリーは唇を少し尖らせながらも、表情を和らげ、祝いの言葉を述べた。
「でも、ご婚約おめでとうございます、お兄様、スザクさん」
ナナリーの言葉が終わるか終わらないかに、玄関のほうでボトッと何かが床に落下する音がした。
不審に思った4人が、玄関を覗き込むと、そこにはショックのあまり青ざめたシャーリーと、困った顔のミレイ、冷静なカレン、楽しそうなジノ、凍りついたリヴァルが並んで立っていた。先ほどの落下物は、シャーリーの手にしていた包みで、残りの4人も大小様々な、誕生日プレゼントを抱えていた。
ミレイは一瞬、あちゃあという表情になったが、すぐにパワフルな笑顔に切り替えて、ルルーシュとスザクに駆け寄った。
「うっわー!おめでとう、2人とも!」
2人の肩をバンバンと嬉しそうに叩くミレイを尻目に、カレンは淡々と呟いた。
「あら、案外遅かったわね」
「そうだなー。いつになったらまとまるのかって、結構こっちがやきもきしてたもんな」
ジノも楽しげにカレンに合わせる。しかしリヴァルは、目の前の事態が信じられず、声を震わせながら、やっと絞り出した。
「お……お前ら……。やっぱりそうだったのか!?なんか薄々感じてはいたけどさ、ほら、なんつーか、その、まさかそこに収まるとは……いや、お前らが幸せならそれでいいんだけどさ、男同士って、いやなんでもないんだ……ごにょごにょ」
「そう……スザク君と……。あはははは……。」
シャーリーもリヴァルに続いて、乾いた笑いを発していた。そんなシャーリーを振り返り、ミレイは安否を問うた。
「シャーリー!大丈夫?」
シャーリーは、小刻みに震えながらも、気丈に自らに言い聞かせるように返事を返した。
「……会長。ううん……うん。そうだよ。私はルルが好き!だから、ルルには幸せになってほしいし……それに、スザク君だもん。私、スザク君も好きだし、スザク君なら安心だし……うん、スザク君になら、ルルをあげてもいいよ。スザク君なら私も納得できるもん。」
「シャーリー……」
そんなシャーリーに、ルルーシュは少し感嘆の念を抱いた。スザクはシャーリーの弁を聞き、勢い込んで答えた。
「ありがとう、シャーリー!僕もシャーリーは好きだよ!シャーリーに誓うよ。ルルーシュは僕が絶対に幸せにするから!」
「うん、まかせたからね、スザク君!万が一ルルを不幸にしたら、その時は私がルルをもらうからね!」
「もちろんだよ!僕もシャーリーにならまかせられる!」
ここに協定が結ばれた。シャーリーは決意し、気持ちを強く持って笑顔で2人を祝福した。
「ルル!スザク君!婚約おめでとう!結婚式には呼んでね」
そんなシャーリーに慈愛の眼差しを送りながら、ミレイも明るく便乗した。
「あ、私も私も!」
ルルーシュは、2人の祝福を心から嬉しく思いながらも、やや呆れたようなポーズで首をすくめた。
「はいはい、わかってますよ」


急に大所帯になったランペルージ家では、後から来た5人もルルーシュの誕生日を祝い、たくさんのごちそうを飲み食いして、大いに盛り上がっていた。
そこに、中庭の方角から、ナイトメアが降り立つようなずっしりした音が聞こえた。集まっていた面々は、何事かと窓を開けて中庭を見下ろした。
中庭には、モルドレッドが立っており、皆の目の前で、抱えていた大きなコンテナを地面にそっと下ろした。その後モルドレッドのコックピットが開き、アーニャが顔を出した。
アーニャは窓に並ぶ顔の中にルルーシュを見つけると、いつものように淡々と言った。
「ルルーシュ、誕生日おめでとう。これはジェレミアから」
アーニャはモルドレッドでコンテナの蓋を開け、中身を庭にそっとぶちまけた。大量のオレンジ、オレンジ、オレンジ……。
「ジェレミアが品種改良したオレンジ。芯の強い一本筋の通ったとても優しい味で、誰もが食べるとその味に感動する。でもひ弱だから、栽培は大変。品種名は『ルルーシュ』で登録した。以上、ジェレミアからの伝言。ジェレミアは今、この『ルルーシュ』を品評会に出品に行ってるから、後から来る」
「『ルルーシュ』だと!?やめてくれーーーっ!」
抗議の声を上げるルルーシュに、その場にいた面々のほとんどが大笑いした。
いつの間にか中庭に降りていた弟妹は、早速そのオレンジを剥いて、味見をし、お互い顔を見合わせて破顔した。そして2人は口々にルルーシュに感想を伝えた。
「すごいや、兄さん!皇帝の次はオレンジの名前にまでなっちゃうなんて。ジェレミア、いい仕事してるなあ」
「お兄様、このオレンジ、本当に美味しいですよ。まさにお兄様みたいな素敵な味ですよ!ジェレミアさんがお兄様の名前を冠したかった理由もわかります」
無邪気に兄への敬愛の念を述べる弟妹に、ルルーシュは嬉しくなり、それでも確認の言葉を発した。
「そ……そうか?」
「うん!もし生半可なものに兄さんの名前をつけてたりしたら、なんとしてもジェレミアを殺しにいこうと思ってたけど、これなら兄さんにふさわしいよ!こんなにおいしいオレンジ、食べたことないもの」
「ええ、私も、これ以上おいしいオレンジはもうこの世には作れないと思いますよ。お兄様と同じで、替えがききません」
輝くように答える弟妹に、替えがきかないのはお前達のほうだ!と思いながらルルーシュは、やっと大量のオレンジを直視した。
「そ、そうか。まあ、それなら……」
ルルーシュがこの事態を受け入れた事を横目で確認したミレイは、オレンジをひとつ掴んで頭上に掲げ、高らかに宣言した。
「話がまとまったところで……、これより、ルルーシュの誕生日と、ルルーシュとスザクの婚約を祝して、オレンジパーティー開始―っ!!」


その日は遅くまで、中庭とクラブハウスに、大きな笑い声が絶えなかったという。


<以上>
(他の二次創作系話はこちら

【サクラ、SEED、夢】紐育&種入れ替わり話〔3〕


ベイエリアで交戦する星組。それほど強くはないものの、量で攻めてきた大量の敵機に手を焼いている。そこにエイハブから通信が入った。(エイハブにはプラム、杏里、ラチェット、サニーが乗っている)
プラム「タイガー、大変よ!」
交戦しつつ新次郎「どうしたんですか!?」
杏里「敵機の一部がシアターの方角に向かっています!」
星組「ええっ!」
プラム「それも、シアター以外には目もくれず、一直線って感じよ!」
ラチェット「こちらの戦力を分散させようという魂胆のようね」
昴「どうする、大河」
新次郎「イザークさんたちが危ない!」
サニー「それは、王先生が残ってくれてるから大丈夫。ちゃんと二人とも避難させてくれるよ」
ラチェット「幸い、一般市民には意識を向けていないみたいだから、そちらのほうは後回しにしても月組の避難誘導で、乗り切れると思うわ」
ジェミニ「そうですか……けど、またボク達のシアター、壊れちゃうね」
サジータ「直して間もないのにな。でも、仕方ない」
昴「こちらは放っておけば人的被害が出かねないからな」
ダイアナ「残念ですけど、壊れたらまた直せばいいですから、ね。人の命と違って、取り返しはつきますから……」
杏里「寂しいけど、我慢するしかないんですね……」
新次郎「じゃあ、みなさん。頑張って早くこちらの敵を一掃してしまいましょう!そして僕達のシアターを守りに帰るんです!」
星組「イエッサー!」
しばらくして杏里「ええっ!?」
サニー「ほう」
ラチェット「そんな、まさか!」
プラム「タイガー!タイガー!」
新次郎「どうしたんですっ!?」
プラム「あの、ふたりが、あのふたりが……」
サジータ「あの馬鹿コンビに何かあったのか!?」
杏里「実験用にうちに置かせてもらってた光武Fと天武で出撃して……シアターを守ってくれてます!!」
昴「まさか……!」
ダイアナ「でも、あの方達に霊力はないんでしょう!?」
サニー「うちで居候することに決まった時にちょっと検査させてもらったんだけど、微弱ながら霊力はあったよ。しかも、気合いで少しは増幅するタイプの」
ラチェット「では、あのふたりは、なけなしの霊力を振り絞って……」
サニー「だろうね。だから長くはもたないよ、きっと」
ジェミニ「じゃあ、頑張らなくちゃ!ボクたちが早く行かなくちゃ!!」
新次郎「あの方たちの気持ちに応えなくちゃ……」
昴「ますますこんなところでもたついている暇はなくなったな」
新次郎「みなさん、一刻も早く、イザークさんたちを助けにいきましょう!!」
星組「イエッサー!!」


ピクニックからの帰り道。草むらから、風体の悪い十数人の男が飛び出してきた。
男1「ほお、なかなか上品そうな奴らとお子様じゃねーか。なあ、金、もってるんだろ?恵んでくれよ」
男2「そうそう、俺らに愛の手を、ってね!」
無視して歩く3人に、男たちは襲い掛かった。
男3「なめてんじゃねえよ!!」
男たちに囲まれたが、あっさりのしてしまったキラとアスラン。しかし、リカだけが、ノコを追いかけて男の一人に捕まってしまった。
残った男4「へへっ、やってくれたな。だが、このお嬢ちゃんの命が惜しけりゃ、さっさと投降するんだな」
キラ&アスラン「リカっ!」
リカ「いししししー、リカ、つかまっちゃったぞ!」
キラ「リカ!」
アスラン「あの馬鹿、状況がわかってるのか!」
勝ちを確信した、リカを羽交い絞めにしている男の顎に二つの冷たい物体が当たった。
男4「何だ?」
キラ「リカ!?」
リカ「金の銃と銀の銃、どっちで撃たれたい?」
男4「何っ!?」
アスラン「リカ!そんな危ない物を持っていたなんて!」
リカ「とりあえず撃っとく!」
男4「ひいいいいい〜っ!!」
男4は逃げ出しかけたが、そこをアスランに捕まえられてのされてしまう。キラはリカに駆け寄った。
キラ「リカ、大丈夫?」
リカ「リカは大丈夫だぞ!リカはつよいからな!」
アスラン「ほんとに……心配させる……」
リカ「心配したか?アスラン、ごめんな」
アスラン「無事だったから良かったようなものの……」
キラ「リカ、これからはこんな危ないことしちゃダメだよ」
リカ「ごめんなさい……」
リカは二人の首に腕を回してだきつく。アスランとキラもリカの背中に手を回す。
リカ「ありがとうな。リカ、キラもアスランも大好きだぞ!」
キラ「僕もだよ。……アスランも、だよね?」
アスラン「……ああ(照)」
そこに小さい揺れが起きた。
キラ「あれ、地震?」


慣れない光武Fを操るイザークと天武を動かすディアッカ。二人とも必死だが、気力だけで敵機を食い止める。さすがに倒すところまではいかない。もう二人の気力も限界……というところに、敵の主力を片付けた星組が帰ってきた。
新次郎「イザークさん、ディアッカさん、ありがとうございます!!」
サジータ「よくやった!サンキュー!恩に着るよ!」
昴「昴は思った、異世界人にしてはなかなかやる、と」
ダイアナ「お二人とも、お怪我はないですか!?」
ジェミニ「ここからは、ボクらにおまかせ!」
ディアッカ「た……助かった……」
イザーク「遅いぞ、お前ら!!」
サニー「まさか君たちがここまで頑張ってくれちゃうとはねえ。もう、星組にスカウトしちゃおうかなあ」
ラチェット「さあ、みんな、あと少しよ、頑張って!」
星組「イエッサー!」
そして掃討される敵。イザークたちはシアターから残敵の掃討を見守る。
スターから降りてきた星組に、
イザーク「まったく。自分達の舞台を守らんでどうする!お前らの舞台が暢気にやってるのが、お前らの守るべき平和だろうが!」
ディアッカ「まあまあ。結局シアターは無事だったんだしさ。……ん?地震?」


キラとアスラン……特にアスランは、本気で腕の中をまじまじと凝視していた。
イザーク「なっ!なんで貴様が……こんなに寄るな、気色悪い!なんだこの、俺の背中に回した腕は!今すぐはずせ!!」
言われるが早いか、アスランは青ざめて即行で飛びすさって離れた。
アスラン「イザーク!?」
ディアッカもイザークもひきつっている。キラも苦笑しながら、ディアッカの背中に回されていた腕をはずした。
キラ「おかえりなさい(苦笑)」
アスラン「イザーク……戻ってくるならもう少し、時と場所を考えてくれ……」
イザーク「それは俺の台詞だ!!」
しばらくぎゃあぎゃあやっているアスランとイザーク。そのうち、今までのお互いの話になり、
イザーク「で、貴様は、今後のことに結論はでたのか?」
アスラン「ああ。今は焦らずに、俺のできること、俺の望むことをゆっくりと考えていこうと思うんだ」
キラ「うん、アスラン」
イザーク「ふん」
ディアッカ「やれやれ」


サジータ「リカ!?」
リカ「あれ?サジータ?すばる?しんじろーもジェミニもダイアナもいるぞ!リカ、帰ってきたのか?うっひょー!」
リカに駆け寄って抱きしめるサジータ「もう、この子は、心配させて!」
リカ「サジータ、ごめんな。みんなもごめんな」
しばらく近況報告をしあい
リカ「みんなに会えなくて、リカ、寂しかったけど、寂しくなかったぞ!」
そう言った途端、リカの懐から零れ落ちたノコハロが
ノコハロ「ハロ!」
新次郎「うわ、これなに?」
リカ「いいだろー!リカがもらったんだぞ!」
ダイアナ「このボールからは、作った人の愛情を感じます」
リカ「ボールじゃないぞ、ハロだぞ!」
昴「へえ、丁寧な作りだな。しかも凝っているな。どういう仕掛けだ?」
リカ「わかんねー!ははははは(笑)」
ジェミニ「いいなあ、ボクも欲しいなあ」
リカ「やんない!」
ジェミニ「ちえっ」
ラチェット「さあさあ、皆、戦闘終わったばかりで疲れたでしょう?プラムと杏里がお茶を用意してくれてるから、とりあえず着替えてらっしゃい」
星組「はーい」
その日は、シアターの屋上からは、楽しげな話し声が遅くまで響いていた。


<以上>
(他の二次創作系話はこちら

【サクラ、SEED、夢】紐育&種入れ替わり話〔2〕


約1週間後。。
サニー「ほう、ほう。なるほどねえ。詳しく話をきかせてもらってやっといろいろわかったよ。君たちの世界ではそんな武器や戦闘機械があるのか。しかしまあ、なんだね。動力源が違っても、似たような進化を遂げるもんだね」
イザーク「ふん。こちらの世界は蒸気が動力だとはな。信じられん。まあ、核をうたれるくらいなら、まだ蒸気のほうがましな気もするがな」
ディアッカ「俺はこの世界も結構気に入ってきたんだけどね」
イザーク「貴様、今あちらではどういう状況なのか忘れたわけではないだろうな!?」
ディアッカ「はいはい、忘れてませんって」
サニー「じゃあ、今日はこのくらいにしようか。続きはまた明日ってことで」
イザーク「ふん、まあいいだろう」
サニー「そうそう、そういえば昨日のうちのシアターのショウはどうだった?チケットあげたんだから、見てくれたよね?」
イザーク「世界平和のために役に立つものではなさそうだが……まあ、平和を維持する目的くらいにはなるんじゃないか」
ディアッカ「相変わらず素直じゃないねえ。サニーサイド、こいつ昨夜は興奮しっぱなしだったんだぜ。これはあのラクス・クラインの歌にも匹敵する素晴らしい舞台だ!ってさ(笑)」
イザーク「貴様は余計なことを言うんじゃない!」
サニー「ははっ、何にせよ、気に入ってもらえたのなら良かったよ」
イザーク「失礼する!」
ディアッカ「おい、待てって、イザーク!」
開場までまだ時間のあるロビーでジェミニが掃除をしている。が、イザークたちの目の前でジェミニはバケツごと滑ってこけた。
ジェミニ「いったーい」
イザーク「何をやってるんだ、まったく!」
手をジェミニに差し出しながらディアッカ「ジェミニ、大丈夫か?」
ジェミニ「あ、ありがとう、ディアッカさん」
イザーク「だいたいお前は掃除の仕方がなっとらん!いいか?モップかけというものはだな、こう、腰をいれて、こうだ!」
ジェミニ「うわー、イザークさん、上手ですね〜」
イザーク「な、何をしている!さっさと着替えてこい!そんなびしょぬれで掃除を続けてたら、風邪をひくぞ!ほら、さっさと行け!
ジェミニ「あ、はい!ありがとうございます!」
ジェミニが去る。
イザーク「ディアッカ、貴様はぼけっとしてないで、さっさと手伝わんか!」
ディアッカ「はいはい(笑)」


夕刻食堂にて。
リカ「今日はなっ、コジローにガンダムとかいうやつを見せてもらったぞ!スターよりずっとおっきいのな!」
キラ「スターって?」
リカ「リカが乗るやつだ!」
キラ「へー、そうなんだ(にこにこ)」
アスラン「キラ……、今のでスターがどういうものかわかったのか?」
キラ「うぅん……どうかな(にこっ)」
アスラン「キラ……(がっくり)」
リカ「アカツキとかいうやつはすっごいのな!金ぴかなのな!こないだ連れてってもらった動物園で見たライオンより金ぴかだったぞ!」
キラ「そうだね(笑)」
リカ「それでな、ちょっとだけな、キラとアスランのガンダムにも乗せてもらったぞ!コジロー、いいやつなのな!」
キラ「楽しかった?」
リカ「おう!スターと中身が全然ちがってびっくりだぞ!あんなわけわかんねーやつ、よくキラとアスランは動かせるな!すごいな!」
キラ「ありがとう。それはそうとリカ、今度はどこ行こうか?」
リカ「んーと、動物園も遊園地もデパートもシネマも行ったしな。ガンダムもシャトルも乗ったしな。じゃあ今度はおつきさまに行きたいぞ!ここじゃ、おつきさまに行けるってコジローが言ってたぞ!ホントか?」
キラ「うん、ほんとだよ。僕たちも昔月に住んでたんだ。」
リカ「うっひょー、すごいな!リカ、楽しみだ!」
キラ「よし、じゃあ早速明日、行こうか?」
リカ「おう!行くぞ、リカ。おつきさまに行くぞ行くぞ、くるくるくるー!」
アスラン「キラ、俺たち毎日リカと遊びほうけていて、これでいいのか?」
キラ「いいんだよ。マリューさんたちが、リカの遊び相手をしててくれって言ってくれてるし」
リカ「なんだ?アスランはおつきさま、嫌か?どっか具合悪いのか?」
アスラン「いや、そんなんじゃないよ(微笑)」
リカ「うーん、だったら、アスラン、リカの子分にしてやる!どうだ、嬉しいか?」
アスラン「ええっ!?いや、別に子分になりたくは……」
リカ「親分はだめだぞ。親分はリカだからな!アスランは子分だ!」
アスラン「あ、いや、その……」
キラ「くすくすっ。いいじゃない、アスラン。子分にしてもらいなよ」
アスラン「キラまで……はぁー」


新次郎「うわっ、すごいですね、イザークさん!伝票があっというまに整理されていく」
イザーク「ふん、ザフトのエリートたるもの、このくらいはできて当然だ!」
ディアッカ「なあ、イザーク。なんで俺たち伝票整理なんてやってるんだ?」
イザーク「馬鹿者!このちびっこい子供一人に、こんな大量の仕事をまかせておけるか!」
新次郎「あの、何度もいうようですけど、僕、19歳なんですけど……」
イザーク「見ろ!あからさまな嘘をついてまでけなげに職務に励もうとするこの子供の心意気、お前は黙ってみすごせるのか!?」
ディアッカ「いや、そいつほんとに19歳なんじゃないの?」
イザーク「お前の目は節穴かっ!これのどこが19歳だ!」
新次郎「えーと、僕、悲しめばいいのか、喜べばいいのか……」
遠くからダイアナの声がする。
ダイアナ「か……固い……」
イザーク「ほら、ディアッカ!もたもたせずに行って来い!」
ディアッカ「あー、はいはい。(ダイアナのとこに来て)あー、何、このねじを締めればいいわけ?」
ダイアナ「すみません。昨日の舞台でこのねじがゆるんでしまったみたいで……」
ディアッカ「オッケー、まかせてよ。どうせやるなら男の手伝いより、綺麗な女性の手伝いするほうがいいや」
ダイアナ「え?」
ディアッカ「あー、こっちの話」


原っぱにてピクニックをする3人。
リカ「うまーい!このステーキは最高だな!アスランが焼いたのか?」
アスラン「あ、まあ」
キラ「アスランは手先が器用だから」
リカ「じゃあ、今度、リカがホットケーキ焼いてやる!」
アスラン「ああ、そうだな。楽しみにしてるよ」
キラ「リカ、僕には?」
リカ「キラにもだ!パパ直伝のすっごくうまーいホットケーキだぞ!」
キラ「うわあ、おいしそうだね!」
リカ「うまうまだぞー!」
お弁当を食べ終わって、はしゃいで走り回るリカ。
少し離れた木陰で休むキラとアスラン。
アスラン「なんか、こういう生活もいいもんだな」
キラ「そうだよね」
アスラン「今までは、いつも戦争のことが頭から離れずに、ただ平和のために戦い続けて、いざ、得た平和をどう享受していいのかわからなくて……。カガリのボディガードをしたりして、どうしても俺のできる、持てる力を生かそうと……いや、俺には戦闘のための力しかないかのように感じていたんだ。」
キラ「うん」
アスラン「だけど、リカとすごしてるこの穏やかな日々……すっかり戦争の中で見失ってたけれど、俺はこんな生活がしたくて戦ってきたんだよな。一見意味がないように見えて、何気ない大切な日常。これを得るために俺は戦ってきたんだ……」
キラ「そうだね」
アスラン「まったく、本末転倒とはこのことだな。戦ってるうちに目的がわからなくなってしまうなんて(苦笑)」
キラ「僕も、一時はそうだったから。ただ、アスランに、今後の身の振り方として、こういう選択肢もあるんだよって教えたくて……。マリューさんに話したら快諾してくれたから」
アスラン「……。それで俺たちはこんなに毎日遊びほうけていられたのか!?」
キラ「怒んないでよ、アスラン。マリューさんだって、AAのみんなだって、アスランのことを思って、許してくれたんだから。それに、リカの世話をしてもらえて助かるってみんな言ってるし!」
アスラン「AAの全員の了承済みだったのか!?はあ……、俺もまだまだだな」
キラ「このお礼は、これからちょっとずつ返していこうよ、ね?」
アスラン「まったく……(苦笑)」
キラ「あれ?リカ、どこまで行ったんだろう。ちょっと探してくるね」
アスラン「ああ。俺もここを片付けたらそっちに行くよ」
キラ「うん」


鳴り響く警報音。なごやかに口げんかしながら舞台セットの修理をしていたサジータとイザークとディアッカがはっと顔を上げる。
イザーク「なんだ、この警報音は!?」
サジータ「あんたたちには関係ない。あたしはいかなくちゃならないから、あと、よろしく!」
イザーク「はあ?」
あっというまに走り去るサジータ。
ディアッカ「さあて、俺たちはどうしようかねえ」
イザーク「ただの劇団ではないとは思っていたが、やはり何かあるな、このシアターには」
ディアッカ「どうする?おいかける?」
イザーク「……やめておこう。ザフトにだって他人に知られるわけにはいかない機密があるんだ。ここの連中だって同じだろう。もし、必要になれば知らせてくるさ」
ディアッカ「じゃあ、おとなしくこのセットの修理を続けますか」


はしゃいでいるうちにキラたちから少し離れたところに来たリカ。シロツメクサだのなんだのの雑草や花で花冠を作ってノコにかぶせたり、草の蔓をノコの足にまきつけたり、ノコで遊ぶリカ。
リカ「ノコ。リカな、最初ここに来たとき、すっごく怖かった。またみんな、パパと同じでどこか行っちゃったのかと思った。」
遊ばれるのにあきらめポーズでノコ「きゅきゅ〜」
リカ「リカの好きな人は、みんなリカの前からいなくなっちゃうのかと思った」
ちょっともがいているノコ「きゅー」
リカ「それで泣いてたらな、ミリアリアが一緒に寝てくれた。マリューが『だいじょうぶ』て言ってくれた」
もがいた拍子にすっころんだノコ「きゅきゅっ」
草花にからまったノコをほどきながらリカ「ムウが頭なでてくれた。キラとアスランは、リカが悲しくならないようにいつも遊んでくれる」
リカにうっかり強くつかまれてノコ「ぎゅょえっっっ!」
ノコをなでながらリカ「あ、ノコ、ごめんな。……それでな、紐育のみんなのとこには帰りたいぞ。でもな、ここのみんなもリカのこと好きだって言ってくれる。リカもみんな大好きだ」
目をまわしつつノコ「きゅる〜」
リカ「もちろん、ノコも大好きだぞ!」
ちょっと意識取り戻したノコ「きゅぅ」
リカ「だからな、リカ、しあわせだなと思うんだ。リカ、みんな大好きだ!だからさびしくないぞ!あ、ノコ!」
ちょろちょろっと近くの木に登るノコ。
木の上のノコを見上げながら笑ってリカ「今度は木登りするか?木登りか?ノコ、気をつけろな〜」


王が舞台に駆け込んでくる。
王「お二方とも、避難してくだされ!敵がこのシアターにも襲撃してきますのじゃ!」
イザーク「何!?敵だと?どういうことだ!」
王「詳しく説明している暇はありませんのですじゃ!」
二人をひっぱる王。
イザーク「ちょっと待て。もし俺たちがここを逃げ出したら、このシアターはどうなるんだ!あいつらはまだ戻ってきてないんだろう!?」
ディアッカ「そうだぜ!さっきの警報、あいつらが何かしにいったんじゃないのか!」
イザーク「あいつらの留守も守れないとあっては、ザフトの名折れだ!」
ディアッカ「事情を教えてもらうまで、俺たちは避難しないぜ」
王「……。それでは、仕方ありませぬ。お二人だけにそっとお教えしましょう。くれぐれも口外なされぬように」
イザーク「当然だ!この俺を誰だと思っている!」
王「……敵の主力は大河殿達が現在交戦中ですじゃ。ですが、少数の敵がこちらにも向かってきていますのじゃ」
イザーク「何か、武器はないのか!?あいつらもまさか素手で戦っているわけじゃないだろう!」
王「もしや、戦われるおつもりですか!?」
イザーク「このまま放っておけるか!あいつらの帰る場所をなくすわけにはいかないだろうが!何か、武器を貸せ!」
王「しかし……」
ディアッカ「なんでもいいよ。何かあるだろ?」
王「あれは、霊力がないと使いこなせず……。むむ?もしやお二人は……こちらへ!」
格納庫へ二人を連れて行く王。光武Fや天武が数機並んでいる。
王「これは、今はもう使われていない機種で、スターの改良のために実験用に置いてあったもの。今、少ない霊力でも自然界のエネルギーで補って起動できるようにする実験の途中ではあるのですが、使えるとすればこれくらいしか……」
イザーク「なんだ、やたら小さいモビルスーツだな」
ディアッカ「まあ、なんでもいいじゃん。やってやろうぜ」
イザーク「貴様に言われるまでもないわ!行くぞ、ディアッカ!」
ディアッカ「おおせのままに、ってね」
乗り込んだ二人。
イザーク「なんだこれは。この筒に腕を入れるのか?この管を接続するのか?」
王「おお、お二人のわずかな霊力でもなんとか動きそうですじゃ!」
ディアッカ「よっと、これか?お、動いた!」
イザーク「よし、なんとか感覚はつかんだ。行くぞディアッカ!!」
ディアッカ「グゥレイトォ!」


キラ「リカー、リカ、どこいったの?」
草むらの影からかぼそいリカの声がする。
リカ「キ……ラ……」
キラ「リカ!?」
草むらの向こうを見ると、すぐ崖になっていて、崖の途中の木の枝にリカがひっかかっている。
キラ「どうしたの、リカ!?」
リカ「ノコが登った木の枝にひっかかっておりれなくなったから、助けようとリカも登ったら、リカが乗ってた枝が折れて落ちて、崖に生えてた木にうまくささったけど、服がひっかかって崖のぼれなくなったー。びえ〜ん」
キラ「今、助けるから!」
キラが手をのばし、リカの首根っこを捕まえてひっぱるが、複雑に服が枝にひっかかっていてなかなか引き上げられない。そうこうしているうちにキラの足場が崩れた。
キラ「うわっ、アスラーン!!」
猛スピードで走ってきたアスラン「キラっ!?」
キラの服の端をアスランがはっしとつかみ、必死で支える。
アスラン「リカもいるのか?いったいどうしてこんな……って、今はそんな場合じゃないな」
キラ「リカの服が枝にひっかかってるんだよ」
アスラン「そうか……なら」
アスランは懐から、左目の周りに星型の模様のある、白いボール……ハロを取り出して崖に投げ入れた。
アスラン「行け、ハロ!」
ノコ模様のハロは崖をうまく跳ねてリカに近づき、ちょうど引っかかっている服の部分を小さなナイフで切った。途端にアスランの腕は軽くなり、キラとリカをすんなりと引き上げることができた。
キラ「ありがとう、アスラン」
リカ「びえーん、ありがとな!ありがとな、キラ、アスラン!」
アスラン「ほら、もうそんなに泣くな……」
キラ「リカが無事でよかった……」
リカ「ひっく、うえっく……。ノコも無事だぞ、よかったぞ……ぐすっ」
ほっとして泣きじゃくるリカの周りを、白い物体が跳び回っている。さすがにリカも何事かと顔をあげると、ノコ模様のハロが目に入った。
リカ「なんだこれ!?」
アスラン「あ……、ハロだよ。ほんとはもっとちゃんと渡したかったんだけど」
リカ「ハロ?でもノコと同じ模様だぞ!」
キラ「アスランはペットロボを作るのが得意なんだ。僕のトリィもアスランに作ってもらったんだよ」
リカ「トリィもか!?すごいな、アスラン!」
アスラン「あ、えと、その。まあ、気に入ってもらえたらいいんだけど……」
リカ「気に入ったぞ!ノコの友達だ!ノコ、良かったな!」
ノコ「きゅきゅー♪」
ノコハロ「ハロハロ〜♪」
リカ「アスラン、ありがとうなのな!」
アスラン「あ……(照)」


〔3〕へ続く

【サクラ、SEED、夢】紐育&種入れ替わり話〔1〕

サジータ&リカのお勉強タイム。
サジータ「じゃあ、うどの大木」
リカ「おっきいばっかりで役に立たないやつ。ノコは違うぞ。おっきくないけどリカのもしものごはんだからな、役に立つぞ!だから、さんしょうは小粒でもぴりりと辛いってやつだな!」
サジータ「うん、うん。それじゃあ、君子危うきに近寄らず、は?」
リカ「おこったサジータには近寄るな」
サジータ「そうそう。……ん?リ〜カ〜!」
リカ「さんじゅうろっけいにげるにしかずだっ!わーいっ!」
サジータ「使い方はよくできましただけど、こーらーっ!」
はしゃぎながら逃げるリカと、追うサジータ。
楽屋奥の行き止まりでサジータはリカを追い詰める。
サジータ「リカ〜、今日こそ逃がさないよ」
リカ「こちょこちょの刑か?こちょこちょなのかあっ!?しめんそかーっ!」
サジータ「よくできました。じゃあ、リカ、覚悟ぉーっ!」
リカ「うきゃーっ!」
サジータの手がリカに伸びた瞬間、小さな地震を感じてサジータは一瞬天井を見上げた。
サジータ「地震?珍しいな。リカ、大丈夫か?……って、あんた誰だ!?」
サジータの目の前には、見慣れたリカとノコではなく、銀髪色白と金髪色黒の見たことのない二人連れが立っていた。


少し時は遡る。
キラとアスランがAAの自分たちの部屋でくつろいでいる。
キラ「それで、君はこれからどうするつもりなの?」
アスラン「うーん、シンのことも少し心配だけど、さすがにもう俺はザフトに戻るわけにはいかないしな……」
キラ「じゃあ……」
そこにバタンと激しいドアを開ける音がして二人が振り向くや否や
イザーク「アスランーっ!貴様、自分だけ隠居しようなどとは、許さんぞ!」
アスラン「え?いや、俺はまだ何も……」
イザーク「うるさい!今はラクス・クラインをはじめ、評議会もどこも大忙しなんだっ!なのに貴様は」
ディアッカ「ほらほら、イザーク。ちょっと落ち着いて」
イザーク「やかましい!貴様までこのうつけ者の肩を持つ気か?」
ディアッカ「いや、違うけどさ。とにかく落ち着けって。評議会のお偉方に腹を立ててるのはわかるけどさ」
アスラン「なんだ、またお偉方と一戦やりあったのか」
イザーク「それもこれも!……ん、何か揺れているぞ?」
キラ「ほんとだ。どうしたんだろう。」
4人が艦橋の方角に首をかしげ、キラとアスランが首を戻した時、そこにはイザークとディアッカの代わりに、フェレットを肩に乗せた、栗色の髪をおさげにした、小さな女の子がいた。
アスラン「ええっ!?イザークは!?」


ディアッカ「あれえ〜。なんかアスラン達の代わりに、ナイスバディなお姉さんが目の前にいる……」
イザーク「誰だ、だと!?貴様こそ誰だっ!名を名乗れ!」
サジータ「ああーん?誰に向かって口をきいてるのかわかってるのかな、白い坊や?お名前を教えていただけませんか、だろ?」
イザーク「なんだと!この俺を侮辱する気……」
ディアッカ「まあまあ、イザーク、落ち着いて、ほらほら。お姉さん、俺はディアッカ・エルスマン、こっちの元気のいいのがイザーク・ジュール。で、これはどうなってるのかな?見たところ、お姉さんが俺たちの前に現れた、というよりも、俺たちが見知らぬ場所にいる、って感じだけど」
サジータ「そうだよ。あんたたち、リカをどこにやったんだ!?」
ディアッカ「リカ?誰のこと?悪いけど、わからないな」
イザーク「お前!お前も名を名乗れ!」
サジータ「ちっちゃい、子猫みたいな可愛い女の子のことだよ!」
騒ぎを聞きつけてやってきた昴「サジータ、その説明じゃ、わかるものもわからない」
サジータ「昴っ!」
昴「まずは落ち着くんだ、サジータ。(イザーク達に向き直って)失礼した。僕は九条昴、こっちはサジータ・ワインバーグ。お互い少し落ち着いて、情報交換をすべきだと思うんだけど、どうかな?」
ディアッカ「さんせー。いやあ、お互い元気のいい相方を持つと苦労するよね」
イザーク「なんだと、ディアッカ!!」
昴「まったくだ」
サジータ「昴っ!」


おたおたするアスラン。
キラ「アスラン、少し落ち着いて」
アスラン「お前は冷静すぎだ!さっきまで大の男が二人も目の前にいたのに、消えて代わりに、軍とは縁もゆかりもなさそうな小さい子供にすりかわってるんだぞ!理論上ありえないじゃないか。手品なのか!?」
リカ「手品?リカは手品はできないぞ!でも、とりあえず撃っとくのは得意だぞ!」
リカの目線の高さまでしゃがみこんでキラ「リカ?君の名前はリカっていうの?」
リカ「そうだぞ。リカリッタ・アリエ〜スだ!リカでいいぞ!」
キラ「そう。僕はキラでこっちはアスランだよ。じゃあ、リカ。君はどこから来たの?おうちはどこ?」
リカ「リカはベイエリアの倉庫に住んでるぞ!でもいつもサジータとジェミニとすばるとしんじろーとダイアナと一緒だ!あ、これ、ノコな!リカの友達でもしものごはんだ!!」
キラ「フェレットか友達で、非常食……?」
アスラン「駄目だ。俺には理解できない……。いったい何がなんなんだ。」
キラ「それにしても、イザークさんたちが消えて、代わりに女の子とフェレットなんて、なんかミステリーでロマンって感じだよね、アスラン♪」
アスラン「キ〜ラ〜……。俺にはもうついていけない。お前の思考回路はどうなってるんだ……」
キラ「え?アスランは楽しくない?」
アスラン「……何が?」
リカ「なあなあ、サジータはどこだ?今、リカ、こちょこちょの刑のはずだったんだぞ。サジーター!すばるー!しんじろー!ジェミニー!ダイアナー!どこいったんだ?それにここはどこだ?」
キラ「ここはAAっていう戦艦の中だよ」
リカ「せんかん?ていとのしょーげーまるみたいなやつか?」
キラ「しょーげーまる……?うん、よくわかんないけど、きっとそうだよ(にっこり)」
リカ「お前、いいやつだな!リカの子分のしんじろーに似てるぞ!」
キラ「そう?それは嬉しいな」
やっと気をとりなおしたアスラン「つまり……経過はよくわからないが、とりあえずその子は迷子だということだな」
リカ「リカ、迷子なのか?リカ、シアターにかえれなくなったのか?そんなのやだーっ!(突然泣き出したリカ)リカ、シアターにかえるー!!」
アスラン「えっと、困ったな……」
キラ「ねえ、リカ。おなかすいてない?」
なきじゃくりながらリカ「おなか?ひっく。ぺこぺこだぞ。うっく……。リカ、ノコ食べる〜。ぐすん。ごめんな、ノコ」
アスラン「なっ!?」
キラ「リカ、ノコを食べちゃ駄目だよ!」
リカ「でも、リカ、おなかすいた」
キラ「フェレットなんて生で食べたらおなか壊すよ!」
アスラン「キラ?そういう問題じゃ……」
キラ「食堂に行こう、リカ。そこにたくさんごはんあるから、ね?」
泣き止んだリカ「ごはん、あるのか?なら、リカ、ごはん食べるーっ!食堂にいっくぞっ、いっくぞっ、くるくるくる〜」
キラがリカの手を引き、そのあとについていくアスラン「な……なんだか、疲れた……」


食堂に集合した星組&イザーク達。
昴「なるほど。つまり、何がどうなったかはわからないが、リカと君たちの空間座標が入れ替わった、というわけか」
イザーク「まったく、俺は評議会の仕事で忙しいんだ。こんなところにいる暇なんぞないというのに」
ディアッカ「でも帰れないもんは仕方ないじゃん。なんか場所どころか時代まで違うみたいだしさ。これはまず帰る方法をみつけないとね」
ジェミニ「なんだかすごいことになっちゃったね、新次郎」
新次郎「リカ、大丈夫かなあ。おなかすかせてないかなあ。」
ダイアナ「変なものを食べて病気になったりしてないといいのですけれど……」
イザーク「ん?俺たちの代わりにいなくなったという子供のことか?もしそいつが俺たちと同じように、俺たちのいた場所に移動してるなら、まあ、大丈夫だろう。そういう点では信用のおけるやつらといたからな」
微苦笑するディアッカ「そうそう。やたらおせっかいな人間のたまり場だからね、あの艦は」
新次郎「なら、少し安心ですね、サジータさん」
サジータ「リカ……。あたしがついていながら、どうしてこんなことに……」
新次郎「サジータさん?」
サジータ「リカ、ごめん。ほんとにごめん……」
新次郎「サジータさん……」
昴「サジータ、しゃんとするんだ。今は後悔より先にやることがあるだろう」
サジータ「わかってるけど!」
イザーク「ふん。俺たちも早く帰りたいし、なんとかするしかなかろうな。……その女のためにもな(ぼそっ)……ディアッカ、貴様―!何がおかしい!!」
笑いながらディアッカ「いや、悪ぃ、悪ぃ!ごめんって!」
ラチェットから事情をきいたサニーがやってきて「いやあ、なんだか随分面白……じゃなかった、大変なことになっちゃったねえ。あ、ボク、このシアターのオーナーでサニーサイドっていうんだけど、まあ、今はじたばたしても仕方ないんじゃないかなあ。こっちでも調べは進めるしさ、とりあえず、調査結果が出るまで待っててよ。ちょっと日にちかかるけどね。」
ラチェット「だから今は、あなたたちのとりあえずの身の振り方を考えるのが先じゃないかしら」
サニー「そうだねえ。二人とも、良かったらシアターにしばらく滞在しない?聞けば軍人さんだっていうじゃない。異次元の軍人さんの知識とかって、ボク、興味あるんだよね」
ディアッカ「ふ〜ん。いいんじゃない?綺麗なお姉さんや可愛い女の子に囲まれてすごせるなんて、快適で」
サニー「いやあ、君、人生の歩き方ってものをよくわかってるねえ!!」
ディアッカ「あ、そう?いやあ、俺もおっさんとは気が合いそうな感じしててさあ」
サニー「おっさん……?(ぴくぴく青筋ちょっと立てつつ)いやあ、ディアッカ君。僕のことは“サニィ”と親しみをこめてよんでもらえないかなあ」
ディアッカ「ええ、ちょっとそれは難しいなあ。じゃあ、サニーサイドでいいだろ?」
サニー「うむ、まあ、それなら」
ディアッカ「ま、これからしばらくやっかいになるから、よろしくな!」
イザーク「ディアッカ、貴様!軍人としての誇りはないのか!?」
サニー「まあまあ。とにかく疲れただろ?部屋はあてがってあげるから、今日のところは休みなよ」
プラム「はぁ〜い、部屋の準備はできたわよ〜ん」
ディアッカ「うっひょー、こっちもナイスバディな綺麗なお姉さん♪」
プラム「あら、見る眼のある子ねえ。うふふ、サービスしちゃおうかしら」
イザーク「ディアッカー!!」
杏里「プラム!もう!!」
プラム「うふ、冗談よ、杏里。じゃあ、お客様方、こちらにどうぞ」
ふくれる杏里「どうぞっ!」


すごい勢いで食べまくるリカ。
ミリアリア「へえ、そうなんだ。これはぜひ取材したいところだわ」
キラ「でも友達のフェレットと一緒とはいえ、なんとか帰してあげたいよね」
マリュー「そうよねえ。こんな小さい子が一人で見知らぬとこにきてしまって、不安に違いないものね」
ムウ「しっかし、どうするよ?地名こそ、俺たちの世界とところどころ共通してるが、どうやら俺たちのいる世界とはまったく違う世界から来たみたいだしな」
食べながらリカ「リカ、ちゃんと帰るぞ!じゃないとみんなが心配するからな!」
キラ「うん、なんとか帰してあげられる方法を探すからね、リカ」
リカ「おう!キラはいいやつだ!ごはんくれたしな!」
アスラン「食事をくれたら誰でもいいのか……?」
リカ「ごちそーさまでしたっ!リカ、おなかいっぱいだぞー!いししししー!なんだか眠いぞっ」
ミリアリア「じゃあ、リカちゃん。今日はもう寝ようか?お姉さんがお部屋に案内してあげるっ」
リカ「いいのか?ミリアリアもいいやつだな!リカ、ミリアリアも大好きだぞ!」
ミリアリア「や〜ん、可愛い〜!」
リカとミリアリアの去った食堂にて。
マリュー「それにしても、どうしたらいいのかしらね」
ムウ「残念ながら、不可能を可能にする俺も、今のところはお手上げだ」
キラ「ねえ、アスラン。君はどうする?」
アスラン「どうって。放っとくわけにもいかないだろう、あんな小さい子を。しかも存在すら怪しい異世界から来たかもしれないなんて子供、軍にまかせてもどうにもなりそうにないしな。俺たちで面倒をみるしかないんじゃないか?イザーク達の捜索は軍にまかせるにしてもだ」
キラ「ねえ、アスラン。明日はあの子を連れて、動物園にでもいかない?」
アスラン「はあ?キラ、遊びじゃないんだぞ?」
キラ「でもさ、まだあんなに小さい子じゃない。こんな戦艦の中にずっと閉じ込めといたらかわいそうだよ。ね、アスラン、行こう?」
アスラン「あのなあ……」
マリュー「いいじゃないの、行ってきなさいよ。戦争もとりあえず一区切りついたんだし、私たちも今後の身の振り方をかんがえなくちゃならないんだから、いい気分転換になるかもしれないわよ」
ムウ「そうだそうだ。じゃあ、俺たちも明日どっか行っちゃう、マリュー?」
マリュー「私たちはまだ仕事が残ってるでしょ!」
ムウ「あらら、やっぱり?」
アスラン「しかし、小さな子供を連れて外出なんて、まだ危険が全くないわけでもないのに……」
キラ「大丈夫だよ。アスランは強いから、絶対守ってくれるよ。ね?」
アスラン「キーラー……ああもうっ!(髪をかきむしるアスラン)」
キラ「じゃ、決まりだね!僕先に部屋に戻るね、おやすみアスラン。マリューさん、ムウさん、おやすみなさい〜」
マリュー「はい、おやすみなさい」
ムウ「ああ、おやすみ。……ほら、お前さんも、いつまで机とにらめっこしてる気だ?いいかげんあきらめろって」
アスラン「ああもう……」


〔2〕へ続く

【ギアス、夢】ルルロロ死亡ED版10/25

生者の世界を見上げているロロの背中に声がかけられた。
ルルーシュ「ロロ」
振り返ってロロ「兄さん!終わったの?」
ルルーシュ「ああ、首尾は上々だ」
ロロ「じゃあ、今日中にはここの区画を制圧できそうだね」
ルルーシュ「ああ……。でもそんなに急ぐこともないだろう。時間だけはたっぷりあるんだ」
ロロ「それはそうだけど、もう一息なのに」
ルルーシュ「ロロ、今日はお前の誕生日だろう?」
ロロ「あ!」
ルルーシュ「もうお前に物質のプレゼントはあげられないから、……そうだな、今日は思う存分甘えてもいい事にしようか」
ロロ「兄さん!僕は兄さんさえいてくれたら、他には何もいらないよ」
ルルーシュ「ロロ……」
ロロ「でも兄さんには……生きて欲しかったな……」
ルルーシュ「ロロ、ごめんな。でも、ロロがつないでくれた命で、俺は俺の望みを望んだ通りにかなえられたから、悔いはないよ。それに、ロロを1人にさせたくなかった」
ロロ「兄さん……。ふふっ、兄さんと再会した時は、僕、びっくりしたよ。審判で判決が出て、地獄にさあ行こうかってところに、スライディングで兄さんがつっこんでくるんだもの(笑)」
ルルーシュ「あ、あれは」
ロロ「僕の兄さんはやっぱりかっこいいね!」
ルルーシュ(い……言えない(汗)勢い余ってすっころんだだけだなんて!(^o^;)
ロロ「その上、立ち上がるなり『審判は俺には不要だ。ロロがこうなったのは俺の責任だから、ロロが地獄行きだと言うなら、俺も当然そっち行きのはずだ』って、強引についてきちゃうんだもの」
ルルーシュ「こんなすさんだところに、俺の弟を1人で放ってなんかおけないからな」
ロロ「それに、僕が刑場に引き出されるなり『俺の可愛い弟にこんな苦しい思いをさせる気か、お前達は!』って、閻魔に反逆を始めちゃうんだから、とんでもないよ(笑)兄さんに出会うまでの生活を思えば、針の山なんか、釜茹でなんか、ちっとも痛くも苦しくもないのに……。でも、嬉しかったよ、兄さん」
ルルーシュ「ロロ……」
ロロ「あ、兄さん、見て!ナナリーが笑ってるよ。誕生日を皆にお祝いしてもらってるね」
生者の世界を見上げて指差すロロ。
ルルーシュ「ああ、そうだな……笑ってるな。幸せそうだな」
ロロ「兄さんのおかげだよ」
ルルーシュ「そうだといいけどな」
ロロ「あ、スザクさんだ」
ルルーシュ「スザク……。お前には重い、重すぎるほどの十字架を背負わせてしまったな。すまない。せめて、お前がこっちに来る頃までには、俺が閻魔を倒して地獄を支配して……いつでもユフィに会えるように天国との道を開通させておくからな」
ロロ「兄さん……」
ルルーシュ「天国に行き来できるようになったら、ロロ、お前はシャーリーに謝るんだぞ。俺も一緒に謝るから」
ロロ「うん……」
ルルーシュ「大丈夫だ。心から謝ればシャーリーなら許してくれる……いや、もう許してくれてそうだが、けじめだ。お前は取り返しのつかない事をしたんだからな」
ロロ「うん……」
ルルーシュ「今ならもう、わかるだろう?命の重さ」
ロロ「わかるよ、兄さん」
ルルーシュ「それでこそ俺の弟だ!これから、もっといろんな事を知っていこうな。お前が知らない事は、俺が全部教えてやる」
ロロ「兄さん!」
ルルーシュ「誕生日おめでとう、ナナリー。誕生日おめでとう、ロロ」
奇しくも、生者の世界のナナリーと、ロロの声が重なった。
ナナリー&ロロ「「ありがとう!」」

<以上>
(他の二次創作系話はこちら
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