「お前が用心棒のギルだな?」

「あ?」





ギルが振り返ると、そこには複数の黒のスーツにサングラスという怪しい風貌の男達が居た。





「なんだお前ら。喧嘩ならお断りだぜ、人待たせてるし仕事で疲れてんだよ。つか何より面倒臭ぇ」





さっさと帰って翡翠に会いてぇんだよ、とギルはガシガシと乱暴に紫の髪を掻き乱す。男の割には綺麗なその髪はサラリと元の形に戻った。





「お前の都合など我々には関係無い。お嬢様がお前をお気に召され連れて来いと…」

「ンなコト知ったコトか。俺にもお前らの都合なんか関係ねぇしそのお嬢様とやらにカケラも興味無いんでな。残念だったな」





男の言葉を遮るように一息に言うと、ギルは男達に背を向けヒラヒラと手を振りながら歩きだした。その直後、





「!!」





男が警棒らしき物を手にギルに襲い掛かった。
ギルはそれを瞬時に避け、軽く跳んで距離を取る。





「……従わないなら力ずく、ってか?」

「お嬢様の命令は絶対だ」

「忠誠心はたいしたもんだな。でもその我が儘すぎるお嬢様、躾直した方がいいんじゃねぇか?ろくな大人になんねぇぞ絶対」

「お嬢様を侮辱する事は許さん」





その言葉が合図のように男達はギルを360゚取り囲む。
ギルは軽く首を動かして数を確認すると、ニヒルな笑みを浮かべる。





「面白ぇ……俺に喧嘩売った事、俺の邪魔した事……後悔させてやるよ」





ギルの言葉の直後に男達が一斉にギルに襲い掛かる。
その状況下でも、ギルは笑みを浮かべていた。

















**********

「ぐ…」

「か…は……」






ほんの少しの時間。
ほんの数分の間に、男達は地に伏せ唸り声を漏らし、身をよじる。

その中心で、傷はおろか汚れ一つ無いギルがふん、と男達を見下ろしながら鼻で笑った。





「恨むんならお前らに命じた我が儘なお嬢様を恨むんだな」





さて、帰るか。とギルは踵を返して歩き出した。その時、





「あの…あなたがギル様…ですか?」

「あ?」





今度は何だ、とギルが振り返ると、そこに居たのは少女。
ふんわりとした可愛らしい服を身に纏い長い髪をなびかせ、頬を淡く染めてギルに微笑んでいた。





「やっと会えた…!ああ、噂通りの凛々しい殿方…!」

「……は?」

「私、ずっとあなたにお会いしたかったの…でも身分や立場から許されなくて……でもどうしても会いたくて思い切ってパパやママに内緒で会いに来たの」





怪訝そうにしているギルにお構いなしに少女は嬉しそうに、可愛らしい笑顔で話し続ける。





「私、あなたを想うと夜も眠れないくらいなの……でもあなたには恋人が居るのでしょう?でも私もあなたが好き。あなたが欲しいの」

「……お前……まさか……」





さっきの男達の、とギルが言いかけた瞬間、





「私は欲しいものは全て手に入れてきた。だから……あなたも私のものになって欲しいの」





ギルの目の前で何かが弾けたように光り、目の前の少女以外、何も見えなくなった。












***********
少し前にリアタイで呟いた例の油断してたギルがメロメロ食らってしまう話をとりあえず考えてUPしてみた。

ギル様、相手が大人しそうな少女だからって油断してもうた…!!

さあどうなるギル!!!!←



速見様…こんなんでいい……んですかね……?大丈夫だったら続き書きますねっ
翡翠くん名前だけ出演失礼しました!