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花のように笑って

なんとなく、だった。

いつも通り行き付けの駄菓子屋で飴をたんまり買い込んで、いつも通り大切なあの子も居る『SAKURA』に向かう途中。

ふと覗いたショーウインドウの中、一つの髪飾りを見付けた。

鮮やかな赤のリボンのバレッタ。
結び目に神秘の雫を装飾した、女性なら魅力を感じそうな可愛らしい、しかし何処か大人の女性らしい上品さもある髪飾りだ。


ふと、脳裏にこのバレッタを着けた彼女が過る。
海のような青と赤の艶やかでさらさらとした、少しウェーブのかかった髪にこのバレッタを着けた、彼女。


ああ、間違いなくこれは彼女に似合う。


気が付いたら、店の扉を開けてそのバレッタを手にしていた。





*****
「ふむ…」





『SAKURA』の前まで来て、一度手の中にある可愛らしく丁寧に包装されたバレッタを見る。

彼女は喜んでくれるだろうか。
この髪飾りを、着けてくれるだろうか。

そんな事を考えていたら、店の扉が開いて中から誰かが出てた。




「あら、久遠さん!」

「!美波…!」





出てきたのは、たった今考えていた彼女だった。
またエダンナに遊ばれたのか、メイド服を着ていた。

彼女に会った途端、嬉しさと愛しさが一気に込み上げる。
美波はにこりと微笑んで、私を見る。




「いらっしゃいませ。どうしましたの?お店の前で立ち止まったりして」

「いや…、美波こそどうしたんだ?どこかに行くのか?」





どうやら私が居る事に気付いて出てきた訳ではなさそうな彼女。
買い出しでも頼まれたのだろうか。もしそうなら付き添いたい。彼女もそれなりに強いが、この格好で一人で出掛けさせるのは色々と危険な気もする。

私の質問に、彼女は少し困ったような顔をして笑う。




「いえ、実は髪止めにしてたリボンを無くしてしまって…着替えをしてて気付いたんですが…多分、お店に来る前にマメパトとじゃれた時に無くしてしまいましたのね…」





お店の中も探しましたがありませんでしたの、と溜め息混じりに言いながら彼女は軽く自分の髪を押さえる。
言われて見れば、確かにいつも彼女が着けている真っ赤なリボンが無かった。





「そうか、探すなら手伝うが」

「いえ、さっきお店に来てたソーマ達に電話して聞いてみましたがお店までの道でも見かけなかったらしいですし、お店もこれから忙しくなりますから…リュシオルさんに頼んで髪止めをお借りしますわ、久遠さんにも迷惑かけたくありませんし…」

「そうか……あ、」





苦笑いを溢す彼女に、力になれなかった事を申し訳ないような、残念なように思っていると、自分の手の中にあるモノの事を思い出した。





「美波」

「はい?」

「よかったら、これを使ってくれないか」





言いながら、彼女の小さな手に先程購入したバレッタが入った箱を渡す。
きょとんと不思議そうに私を見上げてくる彼女に、目で箱を開けるように促した。

包装を丁寧に解き、箱を開ける美波。
箱の中身を見て、彼女は二、三度その大きな瞳を瞬かせた。





「…髪飾り…?」

「さっき通りすがった店でたまたま見付けた。美波に似合うと思って…使ってくれるか?」

「でも私、何もお返しが…」

「お返しはいらない。美波がそれを着けてくれたら、それだけで私は嬉しい」





私の言葉に少し悩み戸惑った後、美波は頷いて慣れた手つきでその髪をまとめ、バレッタを飾る。
彼女の青い髪に、少し大きめな赤いリボンのバレッタが良く映えている。




「…似合います?」

「ああ、とても似合っている」





素直に答えると、美波は頬を淡く染めて照れ臭そうに笑った。
普段の大人びたものではなく、年相応の、少女らしい笑顔で。
そして、すぐに何かおかしそうに笑った。





「…ふふっ」

「?何がおかしいんだ?」

「いえ、なんだか不思議で」

「?」

「久遠さん、まるで私が髪止めを無くすのを知ってたみたいにこんなに素敵な髪飾りをプレゼントしてくれたから…まるで私の心を読んだみたいに」




言って、彼女はまた笑った。
頬を淡く染めたまま、今度は、とても嬉しそうに。




「ありがとうございます、久遠さん。一生大切にしますわ」

「…ああ」





堪らず、彼女を抱き締める。
お店の前なのに、と耳まで赤くして私の腕の中で小さく抵抗しているが、気付かないふりをしてさらに抱き締めて、甘い花のような香りがする柔らかなその髪に顔を埋めた。幸せを噛みしめるように。



花のような笑顔とは、きっと彼女の笑顔の事なのだろうなと思った。





太陽の光を浴びて、彼女の髪に飾られたバレッタに装飾された神秘の雫がキラキラと輝いていた。





******
…意味不明とか言わないで自分でもわかってますから書きたくなったのよ衝動的に(ガタブル)←

美波はこの日からバイトの日や久遠さんと会う日は必ずこのバレッタ着けてるといい。
バトルの時は普通のリボンで。壊したり傷付けたくないからって大切にしてればいい!!!!!←

美波も女の子だからね、好きな人からのプレゼント大切にしたいのさ宝物だからね(○´ ω`○)



シムちゃん、エダンナさんとリュシオルさんの御名前と久遠さんお借りしました!

なんか色々ごめんなさい久遠さん偽物すぎた(土下寝)
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