あるポケモンセンターの一室。
歩はベッドに腰掛けて座り、コーヒーを片手に雑誌を読んでいる。
そんな歩を最近歩の手持ちに加わったクロバット、御風が歩の側で床に膝をついてベッドに肘を乗せ、その上に顎を乗っけて見ている。
窓から差し込む優しい陽射しが歩の金色の髪に当たり、キラキラと歩の髪は光を帯びている。
「……御風」
「なぁに?マスター」
「さっきから何ジロジロ見てんだよ。なんかあったか?」
御風の一向に外される気配の無い視線に耐え兼ねたのか、歩は雑誌から御風へと視線を移しながら問う。
「別に何も無いよ?」
「嘘つくな」
「なんで嘘だって思うの?」
「お前が大人しく俺をじっと見るなんて何か企んでるかなんかあった時ぐらいだろ」
「マスターどんな目でボクを見てるの」
「事実だろ。どんくらいお前のトレーナーやってると思ってんだ。……で、何があった?」
「……………言ってもボクの事嫌いにならない?」
「なるワケねぇだろ。ンな簡単に嫌いになるくらいなら仲間なんかやってねぇよ」
言いながらコーヒーを啜る歩。
御風はその様子をじっと見ながら、考えていた事を口にする。
「あのねマスター」
「ん?」
「マスターはボクとえっちしたくならないの?」
歩が口に含んでいたコーヒーを盛大に吹き出したのは言うまでもない。
「ゲホッゴホッ……ッおまっ…いきなり何言っ…」
「マスター、ボクにそーいうコト求めてきたコト無いじゃん?だから…」
「お前な……俺とお前はトレーナーとその手持ちポケモン…つまり仲間だろが何でそーいう話になる」
「でも前のマスターは……」
「俺は仲間にそーいうコト求めてねぇ………っつかお前、誰かの手持ちだったのか……?」
「うん。昔だけど男のマスターだった。でもあまりにも色々しつこいから嫌になってマスターの所に来たの。前のモンスターボールはきっちりぶっ壊してるから大丈夫だよ」
「……………初耳」
「うんボクも初めて話した」
真顔で何の気無しに言う御風。
歩はそんな御風を見て、一体前のトレーナーはこいつに何を求めて何を考えてんだ…と、呆れたように溜め息をつき、御風の頭をぐしゃり、と不器用に撫でた。
「マスター?」
「…そーいうコトは、普通は好きな奴とするもんだろ。だからしねぇよ」
「ボク、マスターのコト好きだよ?」
「そりゃ仲間として、だろが。俺が言ってんのは恋愛対象の好きだ。お前にだっていつかはそーいう奴出来るだろ。だからそーいうコトはソイツとな」
「マスターで言う雪華みたいな感じ?」
「……そ…うだよ、そーいう感じだよ」
言って、顔を赤らめる歩。
歩の反応を見て、わかりやすいなぁ、と思いながら御風は考える。
「……前のマスターはボクのコト一回も好きって言ってなかったけどなぁ…愛情とか無かったような感じだし…」
「…まぁソイツのコトは俺もわかんねぇ…つかわかりたくねぇけど……お前は自分の気持ちに素直に、自分の好きな奴とだけにしとけ」
「うんわかった。とりあえずマスターは雪華としかしたくな…」
「そーいうコトは言わんでいい!!!!!つか誤解招くような発言すんな!!!!俺は別に下心でアイツを見てるワケじゃねぇっつの!!!!!」
耳まで真っ赤にして叫ぶように言う歩に、御風はくすくすと小さく笑う。
ああ、やっと『ボク』を見てくれるマスターに出会えたんだ、と。
嬉しそうにはにかみながら。
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御風の意外な過去発覚←
いつかまともに書いてUPしようかなぁ……やるかわかんないけども
御風は見た目はまさに女の子で体型も女の子みたいに腰細かったりだとかするんでちょっと昔のマスターに……みたいな話でした
御風が仲間になって少し経った後くらいのお話
……御風の恋人になってくれる人っていますかね…?(笑)