今日は
もうすぐ春休みが終わる子供たちと
会うことになり
花見に行くことにした。
待ち合わせる約束の場所に着くと
ちゅう太がベンチに座っている。
私の車が来ると
嬉しそうにニコニコして
車に乗った。
しょう太は柔道の稽古中だったので
このまま1時間ほど
二人で待つことにした。
しょう太を待つ1時間の間
ちゅう太が持ってきた『卒業アルバム』を見ていた。
私がまだこの目にしていない
ちゅう太が小学校を卒業した去年の春
配布されたアルバム。
ちゅう太は可愛らしい笑顔で写っている。
こうして子供たちは
私とたまーに会うたびに
自分達の手元にある思い出で
私を巻き戻してくれる。
それは…とても嬉しいようで
時に…残酷だったりする。
柔道が終わると
丸めた着替えを持ったしょう太が
走って車の所へやってきた。
「あーー。やっと会えたね〜」
と言う声が
しょう太の表情に表れている。
稽古が終わり、喉がカラカラなしょう太を自販機に連れて行くと
お金を渡されたちゅう太が
ジュースを買いに行く。
(へぇ。最近はこんな連係もあるんだ)
心の中で思った。
二人はジュースを分かち合い
私にも一口くれた。
そして
この春休み最終のお花見に行く。
この数日間で満開になった桜は
満面の笑顔を見せている様に
私達を包みこんだ。
『クレープたべる?』
二人は嬉しそうに
「食べる食べる!!!」
そう言うとクレープの的屋を目指す。
ちゅう太はバナナチョコ
しょう太はカラフルなチョコのクレープを選ぶ。
私が代金を支払うと
二人が「お母さん、ありがと」と言う。
すると的屋の方が
『うわー。スゴいですね!
お母さんにありがとうを言うなんて
スゴいです。
なかなか居ないですよ?
うちの子なんて!!!
私がありがとうを言ったとしても
ありがとうなんて言ってくれる事がない。
よほど躾がいいんでしょうね。』
そう言われた。
『あ、いや、はぁ。。。』
私はうつむいた。
離ればなれに暮らしているんだもの…
子供たちは必死に今を生きている。
今、この瞬間でなきゃ私に伝えられない事を
自然と口にした「ありがとう」だと思うと
何だかとても
申し訳ない気持ちに襲われた。
『ごめんね。』
満面の桜の下で
クレープを食べる二人を
スマホのアルバムにしまいながら
私が家を出たあの日から1年前経った今…
身も心も成長したこの子達を目に…
私は何も成長してない。。。
そう感じた。
刻々と迫る別れの時間…
この時が一番つらい。
二人が自転車に乗ると
家の近くまで
車でストーカーの様に見守り
『お母さんっ。
ここまでだね?』
そう言って帰って行く二人を
歪みながら豆つぶくらいの大きさになるまで
見送っていた。
。