子供たちとの
約束の時が来た。
『お母さん、27日の木曜日
必ずだよ!
僕たちねお母さんにおみやげがあるから。
持ってくるね!』
先日、お祭りの帰り際に
ちゅう太が言っていた。
その後…
何度かメールが来て
27日会うことになった。
私が13時半に
約束の場所に着くと
二人は肩を並べて
ベンチに座っていた。
そして私を見ると
ニコッと笑って駆け寄ってきた。
『お母さん!おみやげ。
大事にしてね。
ねね!どこ行く?
お兄ちゃんは今日は
学校の活動で○○ダムで
お仕事なんだって。』
私が『じゃ、そのダム行ってみる?』
と提案したけど
ちょっと遠方だったので
やめることにした。
おみやげは…しょう太から靴下
ちゅう太から置物だった。
行き先を色々考えたが
子供たちが
『お母さん、お金のかからないとこへ行こう』
そう言うので
飲み物だけ買って
ある近場の湖畔へ
貝を取りに行く事にした。
二人はキャッキャッっと楽しそうに笑い声をあげ
大きな声で
『ねーーおかぁさん』と私を呼ぶ。
時々甘えた様に
『おかぁちゃん、ありがと』と。
私が『おばちゃんによく叱られる?』尋ねると
『うん。鬼みたい。
お母さんが居なくなってから
人間じゃないみたいになった。』と。
私が『ごめんね。辛い思いさせて。』と言うと
『お母さん、お母さん帰って来ない方がいいよ。あんな恐いおばぁちゃんのとこなんて。』
本当は辛い子供たちに
そんな事を言わせるなんて…
私は申し訳なくて
ならなかった。
そして何度も涙を拭って
子供たちに涙を隠した。
刻々と別れの時間は近づいて
そろそろ別れの時が来た。
車の後部シートに座る二人は
時々私の肩や腕に抱きついて
甘えてくる。
まるで今のこの瞬間を
忘れない様に…と。
二人を待ち合わせた場所に送ると
家の近くまで
車で着いて行く。
時々通りすぎては待っていると
追い付いて来た二人と言葉を交わす。
『お母さんね、いつも忘れてないよ。
ちゅう太しょう太のこと
いつも想ってるから。
一人じゃないよ』
私は二人に念を押す。
『うんっ』
二人はニコッとして答えてくれたけど
瞳の奥には
必死で涙をこらえる姿が
映し出されていた。
ごめんね愛する子供たち…
そして…
私を取り巻く全ての人たち。
私は瞬間的に
今の自分をどうすればいいのか
わからなくなった。
。
夫から…メールが届く。
『今後の事。子供たちのために話し合わないといけないから
定時後会えないですか?
大切な話しもあるし…』
私は
ついに、話すべき時が来た…
そう直感した。
どちらにしても
私の心に止めておくのも
もう限界だったし
私の今の現実を
打ち明けなければ前進もできない。
そう思い
思いきって会うことにした。
彼が…
外から中が見える喫茶店にする様に
指示したので
そうすることにした。
約束の場所に着くと
元夫は先に来て待っていた。
私たちは彼の指定した喫茶店で
話をすることにした。
向かい合って座り
元夫の顔を見ると
私と離婚したあの時とは
全く別人の様にやつれていた。
仕事が不規則なのと
食生活で節約してるせいだと
話していた。
向かい合って座ると
元夫は夕食を注文し
『まぁ、食べてからだ。』と
大きく息を吸い込んだ。
私は天井を見上げて
『何から話そう…』
話の順番を考えていた。
。