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※全力で未完



途中も途中なんでたぶん読んでもつまらんですよ。
書きあげられるのかは不明。




母親が死んだ。
俺は学校を一週間休んで、通夜だの、葬式だのの準備に勤しんだ。

父親も弟も泣いた。勿論俺も。
母親は病気だった。入院する時にはもう助からないと告げられていたらしく、俺がそのことを聞いたのはかなり後になってからだったが、その日から毎晩人知れず風呂場で涙を流して、母親が力尽きる日を恐れた。
あれから半年も経たずに母親は逝ってしまったが、同時に俺の中の何かも死んでしまったように思う。
母親が亡くなった晩、俺は翌日の学校の為に一人で家に帰って、父親と弟が病院に泊まって母親の世話をした。俺は元々一人暮らしをしていたから必要最低限の整理生活は出来たし何がどうなるわけでもなかったが、床につく前には弟から呼吸が安定したという内容のメールが来て、安心して眠ったのを覚えている。
が、翌朝未明に、母さん駄目だったよと弟から電話があった。弟は泣いていたが、俺は泣かなかった。が、その瞬間、俺の身体は宙に浮いているかのようにふわふわした感覚に陥って、母親の余命を告げられた時から腹部辺りに感じていた言い知れぬ重圧感も同時に消えた。
父親と弟が車で迎えに来てくれて、病院に向かうと、母親は安からに眠っていた。昨日まで酸素を取り込むために一生懸命に上下していた肩は、もう動かなくなっていた。俺が着いた頃には既に死後一、二時間が経過していたから、親戚も父親達も多少落ち着いて、もう退室の為の片付けを始めていた。その中で、俺は一人立ち尽くして泣いた。多分、毎晩流してきたような恐怖ではなく、言ってしまえば、クラスの友人が転校すると聞いた時のような。勿論この時俺が受けた衝撃はそんな生半可なものではなかったが、毎晩流してきた涙よりは、幾分軽いと思った。
世界で唯一のあの優しい笑顔に、声色に、もう出会えないという悲しみも多少あった。だがすぐに現実が押し寄せてきた。病院からは午前中に退室してくれとの事、今まで家事を担ってきた母親がいなくなった上に看病や見舞いをしなければならないという怱忙の間で、散らかしっぱなしの家の中を早急に掃除しなくてはならなくなった。学校や親戚にも電話しなくてはならなかったし、葬儀屋やお寺にも通夜と葬式の話をしなくてはならなかった。
そんなことをひたすらこなしていく内に、あっという間に時間は経ち、いつの間にか、何となくではあるが母親の死を受け入れている自分がいた。

死ぬとは結局どういうことなのだろう。実際俺は実母を亡くしたというのに、恐れ落涙していた時の方が、虚偽であれはっきりとした物故の輪郭を捉えていたんじゃないかと思う。そういえば、結局恐れていたことは、事実であれど然したるものでもなかった。もうあの優しさには二度と出会えない、けれどもそんな実相が四六時中脳裏に付き纏う訳でもなく、友人の前では笑顔を作り、勉強に励み、母親という存在だけが切り取られただけで、あとはごく普通な日常生活を送っている。
やはり母親が死んだ時、母親という存在を認識し愛していた俺も死んだのか。
そんなことをぐるぐると考え続けて三カ月が経った頃、墓が出来たから納骨をすると父親から連絡があり、久しぶりに実家に帰った。
弟はまだましな方だったが、父親は随分やせ衰えていた。大丈夫なのかと尋ねると質問の答えより先にお前の方はと尋ね返された。別に、と言うと、父親はそうか、と言って俺を見つめたまま目を細めた。その行動に、思わず俺はカチンと来た。母さんにでもなりきったつもりか。
母親は、人の気持ちをよく察して気遣う人だった。それ故にこんなに早く逝ってしまったのかも知れない。逆に、父親はぶっきらぼうで、悪く言うと収入の面を支えているに過ぎないような、本当に不器用な男だ。
その「母さん被れ」な行動を見てこいつもまた、母さんの死と共に幾人かの自分を殺したのだろうと思った。

サクセス

ちょっと危ないけんさく


健二は夏希先輩のことマジで好きなんだと思った。
だから俺は、せめて健二の一番の友人でいたくて、それを精一杯応援したつもりだった。

それなのに。



「‥健二、これどういう状況よ」

今の俺の状況は、後ろ手にロープで拘束され繋がれて、笑みを浮かべた健二に見下されている。
部活中、健二が買ってきてくれた炭酸飲料を飲みながらパソコンをいじっていた時、ふいに眠たくなってしまって俺はデスクに突っ伏して眠った。
気づいたらこの状況だ。俺は恐らく健二によって椅子から床に下ろされずっと眠っていたのだろうが、ロープのリードが短くて両腕が突っ張っていてうまく動かせない。我ながらこの状態でよく寝れたもんだ。

健二は何も応えずただ笑っているばかりで、何とか言えよ、と声を荒げると、徐に腰を落として俺との距離を縮めた。俺はぎくりとした。

「佐久間がいけないんだよ、僕は佐久間が好きだって何度も言ってるのに、夏希先輩のことばっかり気にして」

「それは‥そうでしょうよ、だってお前は、」

「夏希先輩に託けて本当は僕のことなんか興味ないんでしょ、佐久間は」

「んなこと言ってねえだろーがっ!!」

「別にもういいよ、それはそれで。佐久間は女の子が好きだもん。だからこれからする事は、佐久間は忘れていいよ、だって僕なら」

"ノーカン"にしてくれるんでしょ、と嘲笑う。俺は身体が強ばるのを感じた。
夏希先輩といい感じになった健二が、突然俺にキスしたいと言ってきた時のことだ。ふざけているようには見えなかったが、俺は健二の友人として、かっこつけたくて、でも縋りたくて、夏希先輩の練習台にしたいならどうぞ、とか、健二ならノーカンだからOKだとか、常通りへらへらと冗談めかして強がったことを言った。










健二は俺に立て、と命令してきた。俺は黙って従った。
立ち上がると、腕が楽な姿勢をとれるくらいにはリードに余裕が出来た。少し安堵していると、突然健二が俺の首筋に噛みついてきた。べろりと熱い舌を這わされ、身体は反応せずとも小さい呻き声を漏らしてしまった。

「ねえ佐久間知ってる? 首元に分泌腺だか何だかある関係で、相手をドキドキさせるには首元噛みつくのが一番いいんだって」

「‥‥」

「何とか言いなよ。ていうか蹴飛ばしたりしたらどうなの?」

「健二っ‥俺は‥っ」

「何?」

「悔しかっただけなんだって‥本当は俺‥っ」

言いきる前に今度は咥内を舌で犯された。
勿論噛むことも蹴飛ばすことも可能だったろうが、俺は健二にされるがままに従った。
それでもどうしたらいいか分からず奥に引っ込めていた舌を、健二は容易く絡め取り、俺たちは舌と唾液を絡ませて深いキスをした。

我ながらこんなことをノーカンにするだなんて。出来るわけがない。

くちゅくちゅと唾液の混ざる音を聞きながら、俺は脳味噌が麻痺していくのをぼうっと感じた。
やっと健二が唇を離し、苦しくて一気に酸素を取り込もうとしたら咳き込んだ。健二はそんな俺の唇をまた一舐めする。

「佐久間は僕のことなんか嫌いでしょ」

「だから違うって言ってんだろ!!」

「嫌いならもっと抵抗すればいいのに。されるがままにしてるなんて佐久間ってもしかしてマゾ? それともエッチなの?」

健二の片手がするりと俺の股間を撫でる。先ほどのキスで感じてしまった俺自身は既に半勃ち状態で制服の上からでもそれが分かる。
健二はくすりと笑うと俺のベルトを外しにかかった。さすがにそれはまずいと思い抵抗しようとしたが、足しかまともに動かせない状態で、手加減しながら健二を押し戻すのは至難の業だった。いくら襲われかけているといえど、仮にも親友の腹を思い切り蹴飛ばすような真似はしたくない。
結局やだやだと譫言のように訴え腰を引くことくらいしか抵抗という抵抗は出来ず、あっという間に健二にズボンと下着を脱がされてしまった。

「ふふ、佐久間勃ってる」

「健二、頼むから‥っ」

「今更何言ってるの。‥触るよ」

恍惚とした表情で健二が俺自身に手を伸ばす。触れられた瞬間びくりと身体全体が反応した。

「あっ‥‥」

温かい手に包まれ、そのままゆっくりと上下に動かしていく。気持ちよさに息が荒くなり、時折小さな呻き声を漏らしながら俺は嫌々と首を振る。最早それしか抵抗の手立てがないのだ。
次第に速くなっていく健二の手の動きに合わせて、俺の喘ぎ声も止められなくなり、立っていることすら出来なくなった。両腕を壁につけることでも出来たら良かったのだが、両腕は拘束されている上、壁に背を向けた状態で立っている為縋る物が何もない。がくがく震えていた両膝が遂に力尽きその場にへたり込んでしまうと、上から佐久間かわいい、と呟く声が聞こえた。

「まだイってもないのに、佐久間は本当にエッチだねえ」

「はあ‥はっ‥‥けんじ、」

「でもちょうどよく濡れてきたから、もうやろうか」

俺自身から溢れる先走りが尻の方まで伝っているのを見て健二が言う。もう俺が抵抗する余力など残っていないと考えたのだろう、健二は俺の両腕を拘束しているロープを外した。手首には痣が出来ていた。


俺は自由になった両腕で健二にしがみついた。
俺はずっと健二が好きだった。だけど男同士だし、健二は夏希先輩が好きだからとずっと隠し続けてきた。
怖かっただけなんだ。いつか健二に捨てられることが。だから俺は親切な親友を演じた。健二が幸せになることだけを考えて心を殺してきた。
結局俺は自分が傷つくことを恐れて、ずっと健二を傷つけていたのかも知れない。

だから健二にしがみついた。感覚的には抱きついたつもりだったが、快感と射精感をどうにかしたいという欲求で悶々とする身体をどうにかして欲しいという思いもあり、しがみついた、という方が妥当なほど雑な甘え方になってしまった。
俺の行動に、健二の表情は一気に温度を失い、蔑むような目で見下してきた。

「同情ならいらないんだけど」

「同情じゃ‥ないって‥。俺は、お前がっ‥」

「佐久間の嫌がることたくさんしてあげるよ。そしたら僕、佐久間の"一番"嫌いな人になれるでしょ」

言うと、健二は抱きついていた俺の身体を引き剥がして強引に押し倒した。健二が馬乗りになり頭を押さえつけ、俺は床に這い蹲る形となった。健二は俺が抵抗しないと分かるとすぐに体重をかけるのをやめ、俺の上から退いた。
俺は自分で腰を高く上げた。健二が何をしたいのかなんて予想がついていたから。俺だってずっとこうしたかったんだと、何とか伝えたかったのだが、健二には届かなかったらしい。
健二は床に膝をついて、何もいわずにベルトを外し始めた。まさか、解さないで入れる気だろうか。男同士のそういう行為について深い知識はないが、何も慣らさないで本番というのは通常のセックスにおいても非常に危険なのではないか。

そんなことを考えている内に、尻に熱いものが宛てがわれた。ああ、やっぱり。半ば諦めにも似た思いで苦笑していると、熱いものがぐっと肛門を割り開いて侵入してきた。
強引に押し込まれていく健二自身に内壁がミシミシと切り裂かれていく。激しい痛みに気を失いそうになるが、健二の荒っぽい腰の動きがそれを許さない。

「あ゙っあ゙っあああっ」

その内、全て埋めきったのだろうか、健二の無理やり腰を押し進める動きがピストン運動に変わった。結合部からずちゅずちゅと卑猥な音が聞こえる。俺と健二の先走りと、もしかしたら俺の血液もあるのかも知れないな、と思った。

快感も糞もない酷いものだが、形の上ではやっとセックスが成り立ったのだ。健二と繋がれたのだ、身体だけは。俺は涙が溢れた。

「佐久間、僕のこと忘れないでよ」

「けんじ、‥健二っ好きだよ‥っ」

「嫌いでいいから忘れないで、佐久間、お願い、佐久間、好きだよ」

「健二っおれも好きだからっ」

「佐久間、離れないでよ、忘れないで、好き、佐久間、好き、好きだよ、佐久間」

「なあ、話きいてよ健二‥っ」

健二をここまで追いつめたのは俺にも一片の責任がある。裏を返せば親友の決して小さくない変化に気づけないくらいに余裕なんかなく健二のことが好きだ、ということなんだろう。
俺は気持ちいいと言って喘いだ。痛みばっかりで気持ちよさなんてこれっぽっちもないのに、気持ちいい気持ちいいと繰り返して、健二とのこの異常な行為に溺れた。

あの隘路をどう打開すれば良かったのだろう。いつから俺達はすれ違ったんだろう。

ぼんやりと考えながら、ただ健二に揺さぶられて涙を流した。

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