「景吾!一緒に帰ろっ?」
妙に馴れ馴れしい‥一晩共にあかしただけ。
女と云う生き物はそれだけで恋人気取りをする。鬱陶しさに息を吐き捨てて腕を振り払う。

「うぜェ…テメェなんかと帰るか。」
「は?なによ、あんたなんかと知らない!!」
女は眉を寄せて怒鳴り散らしながら立ち去った。
…自然と零れる溜息携帯をポケットから取れば軽い女の名前をアドレスから探す…。

何時からこんな風になってしまったんだろう。
毎晩、寂しくて温もりが欲しいだけ。
だからと云って恋人が欲しい訳じゃない…。
足りないナニかを埋めたいだけ。


「…あれ、跡部やん」
「忍足か」

色々考え込んで入れば聞き覚え有る低い声…そう言えば、コイツは何時だかバイだと話を聞いた。
…馬鹿馬鹿しいと思いつつも偶には男も、と感じてしまった。

「…お前、今日暇なら俺を抱け。」

一言静かに告げ、彼奴の表情は微妙な変化で口元に笑みを湛えた。

「ええよ、跡部みたいな美人やったら歓迎したるよ。」

「当然だな。」

…コイツは無くした何かを埋められるだろうか。

慣れてる詞遊びで…満たしてくれるだろうか。


淡い期待と冷めた感覚を持ち合わせてコイツと俺の関係は始まった…。