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救いか慟哭か

いつか終わることだから、今のうちに寂しさに強くなっておきたい。
今ある楽しさを、ほんの少しだけ避けていた人が言い出した言葉。

わかるっちゃあ、わかるけど、もったいない人だなあ、と思っていた。

嬉しいこともつらいことも、物事にはいつか終わりがくる。それは避けられないこと。終わりが悲しいものであるとき、私たちにできることはそれを先延ばしにするか逃げることしかできない。

それだったら、今ある楽しさを充分に受け取って、いつか終わりが来た時に、あの時は楽しかったと、終わった後の時間の癒しにした方がいいのでは。私はそれで生きてるし、そのために楽しむときは楽しむ。その記憶さえあれば生きられそうだから。

昔飼っていた猫が老いて衰弱していくのを毎日感じていって、この子もいつかいなくなるんだと悲しくなって毎日泣いていた時期があった。けど、いざ実際にあの子が亡くなったときに思ったのは、私が泣いている間も生きていたあの子を、どうしてただ生きているというだけでたくさん可愛がってあげられなかったのだろうという後悔だった。体温のなくなった毛皮を撫でながら今まで以上に泣いた。

喪失に慣れる練習をする、というのも一種の自己防衛だと思う。けれど、いつだって後悔しない方を選んでいきたい。
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