「すごい…!」
テーブルに並べられたローソクの暖かな灯火。綺麗な食器に盛り付けられた美味しそうな料理。そして控え目だけれど、可愛らしい飾り付けが壁には施されていて。
いつもの食堂が、きらきら輝いて見えた。

「ささやかだが、なかなかのものだろう?帝国が生まれ変わって、初めてのクリスマスだからな…奮発した」
「兵舎の食堂ではないみたいです…まるで、ホームパーティーに来ているような…」
「あぁ、そういうイメージだ。分かって貰えて嬉しい」
そう言って、陛下は穏やかな笑みを浮かべた。
「まだ皆集まって居ないが、じきに集まるだろう」
見れば兵士や召し使いたちがちらほらと集まってきていた。彼らを見ていると、様々な身分の者が集まっていることが分かる。
去年までのクリスマスパーティーは大広間に重臣のみ集められ盛大に行われていたらしいが、陛下はそれが好きになれなかったと教えてくれた。そして、クリスマスは「家族」で過ごしたかったということも。
だから今年の――陛下主催のパーティーは、様々な身分の者が集まっている。
私はその「家族」に自分も入っていることが嬉しくて、つい口元が緩んでしまった。
「そうだ…アイギナ、ここであまり食べすぎないでくれるか?アイギナは食いしん坊だから心配だ」
「そ…そんなに食べる方じゃないです!」
「食いしん坊というのは冗談だ。とにかく…ハラハチブンメくらいで頼む」
「分かりました…でも、どうしてですか?」
「…俺は家族と過ごすクリスマスはもちろんだが…恋人と過ごすクリスマスも、味わってみたいんだ」
「え…」
目を丸くする私に、いたずらっぽい笑みを向けた陛下は
「俺は、欲張りなんだ」
と言って、私の耳元でこう囁いた。

パーティーの後、部屋で待っている。