話題:キス
あれは、私が小学校4±1年生だった頃。
友人の【マグロ谷サバ夫君】(仮称)と2人で海釣りに出掛けたのです。
彼は“釣りをするのは生まれ初めて”との事だったので、取り敢えずは『生まれておめでとう』と祝福したのち、釣り道具一式を貸して上げて、2人並んで自転車で海へと出掛けたのでした。
その道中‥
『魚‥何が釣れるの?』
マグロ谷君が聞いて来たので、
『シーラカンスとかピラニアかな』
もう海も川も関係ない滅茶苦茶な答を返してあげたのですが、それは流石に釣り初心者でも“違う”と判ったらしく‥
『で、本当は何が釣れるの?』
冗談とギャンブルは引き際が肝心ですので、今度は私も真面目に答えます。
『ほとんどキスかな?』
すると、彼の顔色が何故か見る見る内に赤くなって来たのです。
え、えっ?
戸惑う私に、
マグロの谷のナウシカことマグロ谷サバ夫君は、凄い勢いで自分の頭をポリポリ掻きながら再び聞いて来ます。
『いま何て言った?』
『いや、だからキスって…』
『ええ――っ?』
あ、あの‥マグロ谷君。君、何か良からぬ妄想を抱いてませんか?