私がここ何日か体調を崩していたせいもあるが、なかなかレッスン出来なかった教え子がいる。


彼女は今、一番辛い壁にぶち当たっている。


路上で歌を歌い始めているのだが、ライブハウスとは勝手が全く違う。


箱というくくりがないし、周りのスタッフもいない。


平気で前を通りすぎる人や、いちゃもんをつけようと、あまりにも近くで見る人もいる。


こんな不安定な場所で歌うなんて、彼女も思っていなかった‥


でも、私はやってほしかったし、やって勝てる自信があって送り出した。


技術としたら、キメの細かさや、つつみ込む大きさは、並のものではない。


しかし、頑張りすぎというか、自らに出す課題が大きく、煮詰まっていた。


そして、今やるべき事を今回はシンプルに伝えた。


ただ、それも彼女の中では大変なものだろうが、私は信じている。


彼女の歌への想いを。


約1ヶ月ぶりに会ったので、心配して1曲歌ってもらったのだが、びっくり!


とてもとても苦しみながらだとしても、人前で歌って来ただけに、アーティストとして、声に輝きが、かかってきていた。


人前で歌う事によって、キチンと磨かれていたのだ!


これから、力をうまく使いこなすようになり、さらに大きな人間へと成長して行く事を確信し、大丈夫だと心から思った。


‥‥。


人は悩み苦しむ時間を通して、大きくなって行く。


止まっているようで、動いている。