私には人生を変えてくれた出会いがある。
その女性、Rさんは、車の営業で年間2000万円以上稼いでいた人だ。
働きすぎで、寝る時間が平均3時間だったらしいが‥
とにかくスゴい車の営業で、そのエリアでは常にNO.1だった。
エリア内の周りの商売ガタキの他メーカーの営業も、知らない人いなかったという。
Rさんの営業とぶつかったら勝てないと、知らしめられたからだ。
どんな営業トークかは実際に見ていないが、これは負けたと思い知らされたエピソードがある。
ある日、Rさんから車を買った客が、お店に来た時の話だ。
その男性の客は、ひどくうなだれて、こんな車買うんじゃなかったと言っていた。
Rさんは外出していて、他の人が対応していた。
話を聞いても下を向いて、うなだれてばかり。
そこにRさんが外から帰ってきた。
Rさんも状況を把握して、その男性の客と話をし始めた。
Rさんのとった行動は‥
「あんた何ぐちぐちしているの?バカじゃないの?」
‥‥。
「男でしょ!情けない!」
‥‥。!?
当然、客はキレた。
「ぶざけるな!お前が売った車だろ!!」
‥‥。
怒ったお客に対して、
「あ、やっと元気になりましたね。ふさぎ込んでいたら、前向きな話も出来ませんから。」
Rさんの言葉にあっけにとられた客は、落ち着きを取り戻し、冷静に話し合いが始まった‥
当時の私にはあまりに衝撃的すぎた。
本当に相手の事を思い、した行動だった。
Rさんは女性で、客が男性だったからかも知れないが、考え方が私のレベルではなかった。
Rさんは車を買った人、全員へのフォローの手紙や電話をしていたらしい。
時間は足りなかっただろう。
また、「ありがとう」が口癖なRさんはマクドナルドやコンビニで、対応してくれた人にも「ありがとう」と伝えている。
店員さんはびっくりするらしい‥
また、電車の中で音漏れがひどい、音楽を聞いている人に普通に注意をする。
取っ組み合いのケンカになったこともあるらしい‥
また、結婚式には慕っている人が多く、相当な人数が集まったらしい。
友達はもちろん、車を買った客も聞きつけて祝いに来たらしい。
その頃の私は、北風のように、仕事場で戦い、奪い取ることで成績をあげていた。
しかし、1人になった時、はたと気付いた。
自分の周りには、心許せる人がとても少ないことを。
信じてもらえない自分がいたことを。
Rさんみたいにはなれないかもしれないが、近い人にはなろうと思った。
今、暖かいものがウケている。
誠実な者がウケている。
「ハンカチ王子」も「はにかみ王子」も「コブクロの歌」も「千の風になって」も‥
私はそんなに綺麗な人間ではないけど、出来る限り頑張っているつもりだ。