脚本家がある女優に殺され、その事を知っている他の女優が、犯人の女を庇う。何故それを庇っているのか?
脚本家の神谷が書いた『告白』という舞台の脚本の内容は、女優の半生も盛り込んで脚色してほしいという注文があった。神谷が手がける舞台であり、しかも一人舞台だというので、出演したい女優達は、大雑把な台本のセリフを自由に変えることから始める。
そして神谷立ち会いのもと、オーディションをし、最終オーディションまで勝ち残った3人の女優のうち、どの女優が告白を演じるのか、キャスト発表の前に、ホテルの中庭で神谷は毒殺されてしまうのだ。
『中庭の出来事』
著者
恩田陸
発行元 株式会社新潮社
ISBN 4-10-397107-X
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
最終候補に上がっていた3人の女優が、脚本家を殺したのではないかと疑う刑事は、3人を取り調べるが、演じることを生業としている為、上手くいかない。
神谷が知り合いの女優をゆすっていた。その嫌がらせ一貫として『告白』を演じさせようとしていたという情報を得た刑事は、神谷と再婚したばかりの河野百合子をも容疑者に上がる。
まったく尻尾を出さない容疑者達。
女優1として2世の槇亜希子、女優2として小劇団出身の甲斐崎、女優3として大女優の平賀芳子に告白を演じさせ、その矛盾点をつこうとするのだが、それも上手くいかない。
神谷は百合子がした模様替えに躓き、花瓶が頭に落ちてきたという事故死だったのだ。
途中で出てくる中庭の噴水に腰掛けていた就活生が笑ったり泣いたり怒ったり、何故か同じ時間に違った表情を目撃されていた。そして就活生はそのすぐ後、中庭で亡くなってしまう。
さっきまで楽しく話を中庭でしていたのに、突然倒れた女優は、サングラスをかけていた為に栄養剤と間違えて、違う薬を飲んで亡くなってしまう。
中庭を舞台と考えている発想や、舞台をずっと観ているような物語の進みが楽しかった。3人の女優はほぼ同じことを話しているが、キャラクター設定がしっかりしているので既に観たという印象を抱かせにくいのも良いと思った。