太宰治の「人間失格」を読みました。

いったいどんな、人間的に失格な人物が出てくるんだろう?とドキドキしながら読んだんですが……あれ?
別に葉蔵(←主人公の名前)、人間的に失格じゃなくねw?

これの前に読んだのが「羊たちの沈黙」だったので、レクター博士ばりの非人道的な主人公を期待していたのですが、ああいう意味での「人間失格」ではありませんでした。
非人道的という意味での「人間失格」ではなく、一般的な人間の営みを行うことができずに周囲から狂人の烙印を押されてしまったことに対しての「人間失格」でした。



特に印象に残ったフレーズ。
「自分の不幸は、拒否の能力の無い者の不幸でした。すすめられて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、永遠に修繕し得ない白々しいひび割れが出来るような恐怖におびやかされているのでした。」


葉蔵は周囲の意向に反対できず、押し切られるままに流されていった結果、残念なことになったんですが、かなり身につまされる文章だよね、これw
少なくとも私はギクッとしましたw




主人公の葉蔵の言動や思考は、たぶん多くの人が共感するんじゃないでしょうか。
少なくとも私は共感、というか、常日頃自分自身がやっていることや考えていることとほとんど同じだったので、これのどこが「人間失格」なのか正直わかりませんでした(爆)
読みながら、(え、これって普通じゃないの?どこが人間失格なの?)とずっと疑問に思っていましたw

でも私のこの意見はある意味コロンブスの卵ですよね。
誰かの言ったことに後から乗っかることは簡単だよね。

太宰治のすごいところは、文章におこしたことだと思います。
ただ考えたり悩んだりするだけなら私にもできるけど、それを文章にすることはすごく難しい。
自分の内面と真正面から向き合わないといけないから。

しかもそれを他人に見せるなんて。

すごいな。





薄いのであっという間に読み終わります。
面白いか面白くないかと問われましたら、まあ正直、否だけどな(爆)