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逆回り。

 またしても土曜日のランニングになった。それもそのはず、日曜日は朝から用事があるからだ。しかし、今日は夕方に走ることになった。


9月だというのに、未だ30度を越える暑さ。俊彦もバカではない。同じ過ちは繰り返さぬよう、涼しくなる夕方に変更したのだ。

 朝早くに起きて走るつもりだったが、起きれなかったのも理由の一つではあるが、どちらにしろ涼しい時に走るのは正解だ。


 夕方5時からのスタート。天気も曇りで思ってた以上に心地よい。いつものランニングコースにはおじさん・おばさん達がウォーキングをしている。そんな中、俊彦だけはランニング。そして、一番最後まで走っていたのも彼だった。


 「今日は逆向きかな。」
と、つぶやき走り出したのはいつもとは逆回りに行く。
畑では野焼きをして煙がもくもくと出ている。いつも通りの回りだと、煙をまともに吸うため変更したのだ。


 同じ道ではあるが、いつもとは逆なだけで違う雰囲気を感じる。新たな発見もあり、新鮮な気分で走る。
稲穂の香りが彼の鼻に入ってくる。田舎の臭いではあるが、秋の香りを感じながら走る。


 気温のせいもあってか走りやすい。しかし、どこか気分が乗らない。ずっとクラシックばかりが流れる音楽では飽きたのだろう。早送りで曲を飛ばし次のゾーンに。
『キープ・ランニング』
J‐POPの曲のインストで、徐々にアップテンポになっていく。俊彦もそれにつられノリだしてきた。
走るペースも上がっていくのが分かる。口ずさんでノリノリだ。すれ違うウォーキングの人達からは変人にしか見れないだろう。
しかし、今の彼にはそんな細かいことは関係ない。何よりランニングを楽しんでいるのだ。


 4周目の途中で彼の心は決まっていた。
「今日はいける!」

目標は5周(10q)だったが、途中不安がよぎっていた。「走り切れるのだろうか?」
肉体的にも体力的にも不安があった。しかし、今日はこの身で実感していただろう。


 そして、いよいよ5周目。相変わらずペースは変わらない。左膝に違和感はあるものの、リズムに乗り衰えはない。残り500mくらいになるとギアを上げ一気にペースを上げる。ラストスパートだ。
今までは走り切るのがやっとな状態だったが、今日は違う。スパートをかける余裕さえあるのだ。

今夜の卓球の練習や明日のサッカーの事なんて考えていない。ただ、10キロを走り抜くことだけを胸にラストスパートを走る。


 最後の1周はいつものタイムを大きく上回るタイムでゴール。今年のベストラップだったかも知れない。

見事に走り切ったのだ。ゴールした瞬間、満面の笑みがこぼれた。走り切れた喜びと走る楽しさを感じた笑みであろう。

そんな不適な笑みをしながらの帰りにすれ違う人はまた変人扱いであっただろうが、今の彼には関係ない。
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