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07/13 短いながらに。

ひっそりと。



祝☆9周年。





半年くらい音沙汰なくて申し訳ないです。

02/21 【小話】鬼畜悪魔とマイペース魔王と苦労人天使。

 短いダークブルーの髪をした整った顔立ちの天使は目の前に優雅に腰掛けている長い銀の髪と紅い双眸が特徴的な中性的で美しい顔立ちの青年を見てはぁと深く嘆息した。
「遥々とご苦労だったな、スィーヅ」
 ニコッと微笑み、彼は穏やかな声で天使の名を呼ぶ。
「……センティアから文を預かったので届けにきた」
 淡々とした声で呟き、手にした手紙を差し出しながらスィーヅはじっと青年を見る。
「そうか、そうか」
 内容を察しているのか笑いを堪えきれない様子で青年は笑みをこぼしつつ、受け取った。
「……失礼ながら、また、喧嘩をしたのか?」
 丁寧な仕草で文を開く指先を見ながら、スィーヅは静かに呟く。
「ああ。本当に可愛いものだよ」
 くすくすと笑いながら言う様は実に楽しげだ。
 そして、手紙を広げてふふっと嬉しそうに笑う。

「ほれな」

 そのまま広げた手紙をスィーヅに見せる。
 そこにはたった一言、こう書いてあった。

『バカ!』

 と。

「……普通の国なら宣戦布告ともとれなくはない文言だな」

 はぁっと嘆息し、スィーヅは疲れたようにガックリと肩を落とす。
 たったそれだけのことを伝えるために天界から異界(ここ)まで来たのだという事実に疲れた。
「あの女神は暇なのか」
 すると、椅子に腰掛けた青年の後ろから気配を消して控えていたと思われる長い黒髪を一つに結い上げた悪魔が姿を現した。
「っ……シャレード」
 思わず無表情ながらにもげっと嫌そうな雰囲気を出し、スィーヅは若干仰け反っていた。
 すると、面白い玩具を見つけたような笑顔と共にシャレードと呼ばれた悪魔はスィーヅとの距離を詰める。

「ほぅ、貴様、そんなに私が嫌いか?」

 紫色の双眸を細め、笑いながら見下ろすその姿からは威圧感しか感じない。
 一方でスィーヅは冷静にシャレードを見る。

「逆に訊くが……ヒトの創造具を奪った挙げ句、これ幸いと言わんばかりに髪を切りとった相手を好きになると思うか?」

「ならんな」

 しれっと言われ、スィーヅは深く溜息を吐いた。
「全く……来たついでにこの前の創造具を返せ。あれは、私にとって思い出深い作品の一つなんだ」
 すっと手を差しだし、返すように促す仕草をする。
 シャレードはその手を見つつ、不思議そうに小首を傾げる。
「思い出深い……だと? なんだ、処女作か?」
 その瞬間、ピクッとスィーヅの頬がひきつる。
「……な、何故わかった」
「創造具としては色々と機能がシンプルすぎるからな。それに、本来の形が持つ色がお前の髪の色で、尚且つ、喰わせるとよくなじんで強度が増す」
 再びしれっと言ってのけ、シャレードはその手を突き出し、槍を召還する。
「……それはやはりスィーヅのものだったか」
 そして、静かに様子を見ていた銀の髪の青年は、クスッと笑みを洩らす。
「アーゼ、お前からもシャレードの奴に返すよう言ってくれ」
「我(わたし)が言って聞くような従順な悪魔(おとこ)だと思うか?」
 ふふっと穏やかに言葉を返され、スィーヅはガクッと肩を落とす。
「その言い方は気に食わんな」
 すっとアーゼと呼ばれた青年の顎をくいっと持ち上げ、シャレードはじっと紫の双眸で見下ろす。
「ふふっ、それは悪かったな。訂正しよう」
 拗ねたような眼差しにアーゼは笑みをこぼした。
「言うことは聞かないが従順な悪魔(おとこ)だ」
「……はぁ」
 その言葉にスィーヅは呆れたように嘆息していた。
「……いつか返してもらうからな」
「ああ、飽きたら返すさ」
 しれっと返された返事にスィーヅは頭痛がした。

01/19 【小話】マジカル☆ラッセル第七話『魔王覚醒、敵は誰?』-3-

※真面目にふざけているパラレルです
※実年齢無視の高校生化
※ネタバレ1:ラッセルが原因不明の呪いもとい変身するための動力源により♀化してます。今回はセーラー服を着用
※ネタバレ2:スウハが猫耳+猫尻尾姿になります


+++



 その瞬間、ラッセルは無意識に自らの胸元に手を当て、目を丸くする。
「……神のジュエル?」
「神は神でも女神だ」
 タカツキはそう呟き、ふっと笑う。
「ユイルが我が王の器となったように、お前は女神の器となっていたわけだ」
「女神…………じゃあ、まさか!?」
 ラッセルは驚いたように自分の身体を見る。
 そしてタカツキは肩を震わせて高らかに笑う。
「くくっ……あはははは、やっていることは俺達と変わらないじゃないか! 惨い真似じゃないか」
「……そんな……わたし……」
 ラッセルは戸惑いが隠せずにおろおろと二人を見る。
「違う。貴様達のように相手の意識を奪って植え付けたものではない」
「どこが違う? 仮初めの器にしているのに」
 さらりと言葉を返され、スィーヅはぐっと言葉に詰まる。
「どうして……っ、どうして、教えてくれなかったんだ!」
 ラッセルはスィーヅの胸ぐらを掴み、詰め寄る。
 その瞳は潤み、責めるようにスィーヅを見上げていた。
「……それは」
「俺達がお前のジュエルの存在に気づき奪おうとさえしなければ全ては上手く行っていたはずだったのだろうな」
 スィーヅの言葉を遮り、タカツキは笑みを浮かべたまま、口を開く。
 その言葉を否定せず、スィーヅは俯いた。
「上手くって……」
「神のジュエルがお前の身体に馴染み、癒された後、取り出して本来の身体に戻す……そして、用が済んだらお前やお前がジュエルを宿している間に関わった者達の記憶を消して元通りな日常にするつもりだったのだろうな」
「……それじゃあまるで……」
「そうだ。だから、器だと言っただろう?」
 タカツキの言葉にラッセルは頭を抱え、悲鳴を上げていた。
「いゃあぁあああ!」
「ラッセル様!」
 スウハはラッセルに手を伸ばしかけて躊躇ったように俯く。
「ラッセル様……ごめんなさい、ぼく……知らなくて」
 ポロポロと涙を流し、スウハはラッセルを見上げる。
 ラッセルはひくっとしゃくりあげてスウハを見下ろす。
 そして、スィーヅは眼を伏せた。
「……知るわけがない。だからこそ、スウハをお前のサポートとして遣わしたのだから」
「っ!?」
 淡々と呟き、ラッセルは驚いたようにスィーヅを見る。
「じゃあ、タカツキが言ったことは……」
「……そうだ。全てとは言わないが、事実だ」
 感情を殺すようにスィーヅは低く呟く。
 そして、静かな瞳でタカツキを見下ろす。
 彼はスィーヅを見上げ、僅かに身構えた。
「余計なことを吹き込んだ俺を始末するか?」
「……いや」
 ポツリと呟き、スィーヅは眼を細めてどこか吹っ切れたような笑みを口元に浮かべる。
「お前にはいつも、汚れ役ばかりを押し付けてしまうな……タカツキ」
「えっ……」
 その言葉にタカツキは目を見開く。
 そのまま、スィーヅは泣きじゃくるラッセルを見下ろしていた。
「うそつき……嘘吐き!」
「……すまない」
 手を伸ばし、スィーヅはラッセルの身体を抱き締める。
「黙っていてすまない」
「許さない……ひくっ……もっと、早く……言ってほしかった……っ」
「そうだな……」
 スィーヅの胸元を叩き、ラッセルはしゃくりあげる。
「本来ならば、私が言わなければならなかったことだ」
 そのまま、ラッセルの両肩に手を置き、静かな瞳で見据える。
「私は私の仕える女神(カミ)を守りたかった。私はユイルを守りたかった。私はユイルとの約束を守りたかった。だが……何も守れなかった」
 後悔の言葉を口にし、スィーヅは頭を下げる。
「ユイルにぃさんとの約束……?」
「お前の助けになって欲しいと頼まれていた……」
「っ!」
「それなのに……私はお前を傷つけてばかりだな」
「……ユイルにぃさん」
 しゃくりあげ、ラッセルは泣き顔を手で覆う。
 タカツキはそんな二人を見上げながら、複雑そうに眼を細める。
「君は、ユイルが好きなんだね」
 ポツリと呟き、ビクッとラッセルの肩が跳ねる。
 スィーヅもまた複雑そうな眼差しでラッセルを見下ろし、タカツキに視線を移す。
「タカツキ……止せ。さすがに、それは……」
「早いうちに伝えるべきだ。その想いは錯覚なのだと……」
「なっ、違う! わたしは、ユイルにぃさんのことを……」
「……幼い頃からずっと一緒にいたのに?」
 まるで見てきたかのようなタカツキの一言にラッセルは目を見開く。
「その身体になってからではないか?」
「そ、れは……でも、なんで……」
「……彼は、とても珍しい魂の持ち主だ」
 タカツキは嘆息する。
「清純なる魂……白も黒も関係なくジュエルを持つ者を惹きつけ、力を与える」
 その言葉を聞いた瞬間、ラッセルは呆然としたように立ちすくんでいた。





-4-へ続く。

01/17 【小話】マジカル☆ラッセル第七話『魔王覚醒、敵は誰?』-2-

※真面目にふざけているパラレルです
※実年齢無視の高校生化
※ネタバレ1:ラッセルが原因不明の呪いもとい変身するための動力源により♀化してます。今回はセーラー服を着用
※ネタバレ2:スウハが猫耳+猫尻尾姿になります
※ネタバレ3:ラッセルがマジ切れ号泣


+++



「……どういうことだ?」
 ラッセルは頬に冷汗を伝わせながらタカツキを見下ろす。
「ほぅ……おかしいとは思わなかったか?」
「タカツキ!」
 スィーヅは鋭い声音でタカツキの名を呼び、それ以上の言及を避けるように沈黙で圧力をかける。
 そんなスィーヅの様子からやはり何か隠していると察し、ラッセルは悔しそう顔を歪め、タカツキとスィーヅに向かって叫んでいた。
「おかしいって……言われても、色んなことがおかしすぎて何が何だかわからないんだ!」
 感情の高ぶりから瞳が潤む。
「『ジュエル』が宿ってこんなことになってしまったのも、狙われるのも、守られるのも、よくわからないままでっ! 不安で不安で仕方ないんだっ!」
 ぽろぽろと涙を流し、ラッセルは顔を手で覆う。
「ユイルにぃさんだけが心の支えだったのに……っひく……わたしのせいで……ひどい目にあって……ぐすっ……ぜんぶ……ぜんぶっ、お前達のせいだ!」
 しゃくりあげながら言葉を吐き出し、ラッセルはばっと顔を上げて二人に向かって怒鳴っていた。
 その感情に呼応するように眩い光が彼女を包み込む。
「やはり……これは……」
 タカツキは目を凝らすようにその光を見つめる。
「ラッセル、落ち着け!」
 スィーヅは思わず叫んでいた。
 そして、クッションの上でぐったりと横になっていた子猫の耳がぴくりと動く。
 そのままふらっと起き上がり、眩い光を放つラッセルに向かってぴょいっと飛び込んだ。

「……ラッセル様、泣かないで……」

 幼い声が聞こえて、ラッセルははっと我に帰り、座り込む。

「スウハ……っ」

 そっと小さな手が頬に触れ、ラッセルの涙を拭う。
 そこには金の瞳を細めて今にも泣きそうな顔をした少年の姿をした天使がいた。
「僕……頑張りますからっ……ユイル様みたいにはできなくても……ラッセル様をお守りできるように……っ」
 ひくっとしゃくりあげながらスウハはぽろぽろと泣いてラッセルにしがみつく。
「スウハ……ひくっ」
「ラッセル様……泣かないでください……っひく、独りで泣かないで……僕も一緒に泣きますから……ぇぐっ」
 お互いにお互いを抱き締めて、二人は幼子のように泣きじゃくっていた。
 その様子を見ながら、スィーヅは困ったように嘆息する。
 同時にタカツキはそんな二人の様子に苦笑を浮かべ、チラッとスィーヅを上目遣いに見上げた。
「……お前が知っていることを話せるところまで話してやってはどうだ?」
 その眼差しを受け、スィーヅは目を伏せる。
「私が話したら貴様はユイルの居場所を吐くのか?」
「……それは言えないな」
 それに、と言葉を続け、タカツキはスィーヅを見つめる。
「お前が話さなければ、俺が話す。ある程度なら予想は付いているからな」
「なんだと……」
 二人の天使のやりとりにラッセルは泣きはらした瞳を向ける。
 そして、スウハは涙目のままはっとした表情でスィーヅと良く似たデザインの黒衣を纏ったタカツキを見た。
「タカツキ様っ、そのお姿は!」
「スウハ……様付けなど不要だ。もう、俺は熾天使ではない。それに今は……反逆者として捕らえられた罪人だ」
 静かな瞳で幼い天使を見据え、タカツキは表情を和らげる。
 ラッセルはそんな彼の様子に不安を覚え、スウハをぎゅっと抱き締めていた。
「俺の話を信じるか信じないかはお前次第ではあるが……お前の『ジュエル』は天界を統べる神が授けたものだ」
「天界を統べる神……そういえば、さっきも……」
「っ……タカツキ、憶測でラッセルを混乱させるような真似は……」
「そこまで言うのならば訊こうか。何故、スィーヅ……お前程の熾天使が小娘一人のためにわざわざ護衛として姿を現したのかを」
「っ!」
 色の異なる双眸をすっと細め、タカツキはややキツい口調でスィーヅに言葉を投げかける。
 スィーヅは目を見開き、ギリッと歯噛みした。
「こ……小娘……って、おい!」
 小娘扱いにラッセルは抗議しようと口を開く。
「本来の神が眠りについた天界の状況を察するにお前がそんなに暇だとは思えない」
「……えっ?」
 ラッセルの抗議をスルーし、タカツキが続けた言葉にスウハは目を丸くする。
 そして、スィーヅも目を見開き、タカツキを見ていた。
「何故、異界にいたお前が知っている……」
 驚きの余りぽつりと洩れた言葉にタカツキは不適な笑みを浮かべる。
「俺とて運だけで熾天使に就いていたわけではない」
 そのまま、スィーヅを挑発的な目で見上げる。
「俺の推測が正しければ、ラッセルが何故『ジュエル』を宿し小僧から小娘になってしまったのかも、シュガイアに『ジュエル』を奪われる寸前に何故お前が護衛としてタイミング良く現れたのかも、説明がつく。スィーヅ、やはりお前達天界の者達の方が俺達よりも性(たち)が悪い」
「……くっ」
「まっ、待ってくれ! 全然話についていけないんだが!」
 ラッセルが二人の話に割って入ったとき、スィーヅは諦めたように嘆息した。
「……タカツキに促されたようで癪ではあるが、わかった……話そう」
 そう呟き、ラッセルとスウハを見下ろす。

「私がここにいるのは、私が仕える女神(かみ)の力(ジュエル)を護るためだ」





-3-へ続く。

01/11 【小話】マジカル☆ラッセル第七話『魔王覚醒、敵は誰?』-1-

※真面目にふざけているパラレルです
※実年齢無視の高校生化
※ネタバレ1:ラッセルが原因不明の呪いもとい変身するための動力源により♀化してます。今回はセーラー服を着用
※ネタバレ2:スウハが猫耳+猫尻尾姿になります
※ネタバレ3:敵味方逆転


+++



 薄暗い部屋の中でユイルは再び目を覚ました。
 ズキッと頭が痛み、顔をしかめた後、右手で押さえる。
「……えっ?」
 拘束されていた両手と両足が自由に動かせることに気づき、ユイルは目を見開く。
 ここに連れ去られる前から巻かれていた包帯の下がずきずきと痛む。
「……痛むのか?」
 すぐ傍から低い声が聞こえ、ユイルはビクッと身体を震わせる。
 その瞳は怯えたように揺れ、ベッドに腰掛けている人物を見る。
 そこにはシュガイアがおり、静かな眼差しでユイルの姿を捉えていた。
「っ……」
 ガバッと起き上がり、シュガイアから離れようと後退りした時、ぬっと手が伸びてくる。
「ひっ……」
 腕を捕まれ、ユイルは叫びそうになるのを堪えた。
 恐る恐るシュガイアを見たとき、ぐいっと引っ張られる。
「……もう、手荒な真似はしない」
 抱き締められ、ユイルは目を見開く。
 そのまま、シュガイアはユイルを見下ろし、真っ直ぐに見つめていた。



「……この命にかえてもお前を守る」



マジカル☆ラッセル
第七話
『魔王覚醒、敵は誰?』



「わたしは天界なんて関係ない! ユイル兄さんを助けたい! だから、教えてくれ!」
 スィーヅを押し退けるように前に出てラッセルはタカツキの両肩に手を乗せて揺さぶる。
「ほぅ、天界なんて関係ないとは……面白いことを言うな」
 そう言ってタカツキはズイッと顔を上げ、そっと囁く。
「貴様のその力は……天界を統べる神から授けられたものだと言うのに」
「えっ?」
 ラッセルの驚いたような表情を見たとき、スィーヅは彼女の腕を引き、タカツキから離した。
 そのまま、ダンッと彼を押し倒し、右手でその首を鷲掴みにし、氷のように冷ややかな瞳で見下ろす。
「……タカツキ、それ以上余計なことを言うのならば、私は貴様を天界の四大天使達の元へ突き出す」
「っ!」
「……お前は私の質問だけに答えればいい」
「スィーヅ、やはり……お前は……かはっ!」
 ぐっと首に力を入れられ、タカツキは言葉を遮られる。
「やめて!」
 その様子に尋常でない殺気を感じ、ラッセルは咄嗟にスィーヅの腕に自分の腕を絡ませてタカツキから離そうと引っ張っていた。
 ラッセルの声を聞き、はっと我に帰ったようにスィーヅは手を離す。
「ゲホッ、ゲホッ……お前……」
 咳込みながらタカツキはスィーヅを見上げる。
 その顔を忌々しく歪んでいた。
「……四大天使……と、繋がっているだと……馬鹿な」
「四大天使……?」
 ラッセルはスィーヅとタカツキを交互に見る。
「……お前が気にする必要はない」
 スィーヅは静かに呟く。
 その物言いが素っ気なく、ラッセルは苛立ちを露わにしてムッと頬を膨らませる。
「どうしてそうやって何も教えてくれないんだ!」
「……それは」
 ラッセルに詰め寄られ、スィーヅは困ったような表情になり、言葉を渋る。
「ふっ……そんなこともわからないのか」
 呼吸を整えた後、タカツキは鼻で笑う。
「なっ、五月蝿い!」
 むきーっと怒りを露わにしながらラッセルはタカツキを見た。
 すると、タカツキは目を細め、意地の悪い笑みを見せる。
「何も知らない方が都合がいいからに決まっているだろう?」
「……えっ?」
 タカツキの一言にラッセルは目を見開く。
 同時に、スィーヅの表情が強張り、タカツキを見据えたまま口を閉ざすが忌々しげに歪んでいた。





-2-へ続く。
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