※真面目にふざけているパラレルです
※実年齢無視の高校生化
※ネタバレ1:ラッセルが原因不明の呪いもとい変身するための動力源により♀化してます。今回はセーラー服を着用
※ネタバレ2:スウハが猫耳+猫尻尾姿になります


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 その瞬間、ラッセルは無意識に自らの胸元に手を当て、目を丸くする。
「……神のジュエル?」
「神は神でも女神だ」
 タカツキはそう呟き、ふっと笑う。
「ユイルが我が王の器となったように、お前は女神の器となっていたわけだ」
「女神…………じゃあ、まさか!?」
 ラッセルは驚いたように自分の身体を見る。
 そしてタカツキは肩を震わせて高らかに笑う。
「くくっ……あはははは、やっていることは俺達と変わらないじゃないか! 惨い真似じゃないか」
「……そんな……わたし……」
 ラッセルは戸惑いが隠せずにおろおろと二人を見る。
「違う。貴様達のように相手の意識を奪って植え付けたものではない」
「どこが違う? 仮初めの器にしているのに」
 さらりと言葉を返され、スィーヅはぐっと言葉に詰まる。
「どうして……っ、どうして、教えてくれなかったんだ!」
 ラッセルはスィーヅの胸ぐらを掴み、詰め寄る。
 その瞳は潤み、責めるようにスィーヅを見上げていた。
「……それは」
「俺達がお前のジュエルの存在に気づき奪おうとさえしなければ全ては上手く行っていたはずだったのだろうな」
 スィーヅの言葉を遮り、タカツキは笑みを浮かべたまま、口を開く。
 その言葉を否定せず、スィーヅは俯いた。
「上手くって……」
「神のジュエルがお前の身体に馴染み、癒された後、取り出して本来の身体に戻す……そして、用が済んだらお前やお前がジュエルを宿している間に関わった者達の記憶を消して元通りな日常にするつもりだったのだろうな」
「……それじゃあまるで……」
「そうだ。だから、器だと言っただろう?」
 タカツキの言葉にラッセルは頭を抱え、悲鳴を上げていた。
「いゃあぁあああ!」
「ラッセル様!」
 スウハはラッセルに手を伸ばしかけて躊躇ったように俯く。
「ラッセル様……ごめんなさい、ぼく……知らなくて」
 ポロポロと涙を流し、スウハはラッセルを見上げる。
 ラッセルはひくっとしゃくりあげてスウハを見下ろす。
 そして、スィーヅは眼を伏せた。
「……知るわけがない。だからこそ、スウハをお前のサポートとして遣わしたのだから」
「っ!?」
 淡々と呟き、ラッセルは驚いたようにスィーヅを見る。
「じゃあ、タカツキが言ったことは……」
「……そうだ。全てとは言わないが、事実だ」
 感情を殺すようにスィーヅは低く呟く。
 そして、静かな瞳でタカツキを見下ろす。
 彼はスィーヅを見上げ、僅かに身構えた。
「余計なことを吹き込んだ俺を始末するか?」
「……いや」
 ポツリと呟き、スィーヅは眼を細めてどこか吹っ切れたような笑みを口元に浮かべる。
「お前にはいつも、汚れ役ばかりを押し付けてしまうな……タカツキ」
「えっ……」
 その言葉にタカツキは目を見開く。
 そのまま、スィーヅは泣きじゃくるラッセルを見下ろしていた。
「うそつき……嘘吐き!」
「……すまない」
 手を伸ばし、スィーヅはラッセルの身体を抱き締める。
「黙っていてすまない」
「許さない……ひくっ……もっと、早く……言ってほしかった……っ」
「そうだな……」
 スィーヅの胸元を叩き、ラッセルはしゃくりあげる。
「本来ならば、私が言わなければならなかったことだ」
 そのまま、ラッセルの両肩に手を置き、静かな瞳で見据える。
「私は私の仕える女神(カミ)を守りたかった。私はユイルを守りたかった。私はユイルとの約束を守りたかった。だが……何も守れなかった」
 後悔の言葉を口にし、スィーヅは頭を下げる。
「ユイルにぃさんとの約束……?」
「お前の助けになって欲しいと頼まれていた……」
「っ!」
「それなのに……私はお前を傷つけてばかりだな」
「……ユイルにぃさん」
 しゃくりあげ、ラッセルは泣き顔を手で覆う。
 タカツキはそんな二人を見上げながら、複雑そうに眼を細める。
「君は、ユイルが好きなんだね」
 ポツリと呟き、ビクッとラッセルの肩が跳ねる。
 スィーヅもまた複雑そうな眼差しでラッセルを見下ろし、タカツキに視線を移す。
「タカツキ……止せ。さすがに、それは……」
「早いうちに伝えるべきだ。その想いは錯覚なのだと……」
「なっ、違う! わたしは、ユイルにぃさんのことを……」
「……幼い頃からずっと一緒にいたのに?」
 まるで見てきたかのようなタカツキの一言にラッセルは目を見開く。
「その身体になってからではないか?」
「そ、れは……でも、なんで……」
「……彼は、とても珍しい魂の持ち主だ」
 タカツキは嘆息する。
「清純なる魂……白も黒も関係なくジュエルを持つ者を惹きつけ、力を与える」
 その言葉を聞いた瞬間、ラッセルは呆然としたように立ちすくんでいた。





-4-へ続く。