11月11日。
その日、琉輝はげんなりとした顔で自分の主を見ていた。
「ふぉー? むぐむぐ、ごっくん、どうした、琉輝」
「また食ってるのか、それ」
ぽきぽきと某赤い箱に入ったスティック菓子を食べながらアベルはふにーっとした柔らかすぎる笑顔を浮かべた。
「美味いぞ、食うか?」
「ふん、要るか、そんなもん」
「むっ。聞き捨てならんな。これはそんなもんじゃない、ポッ●ーだ」
「んなのわかっとるわ!」
ガミガミと怒りを露わにしながら琉輝は間の抜けた表情でほんわかしてるアベルを見る。
「仕方ないな……琉輝」
「ぁあ?」
ポキッと音がした。
アベルが琉輝の口の中にポッ●ーの先端を突っ込んだのだ。
琉輝は目を丸くして一瞬だけぽかんとした表情になったあとごくっと飲み込む。
「どうだ、美味いだろぉ?」
「……けっ」
勝ち誇った表情でけらけら笑うアベルに対し、琉輝は悪態を吐きつつそっぽを向いた。
その耳元はどこか赤い。
「ふふっ、素直じゃない奴めー」
からかうようににこにこしながらそう呟き、アベルは再びポッ●ーを食べ始める。
「このある程度は変わらない味と食感が好きなんだ」
そう呟いてアベルはニコッと満足そうに微笑んだ。