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ツイッターなどで呟いた映画やアニメの感想をそのまま持ってくる気がるな感想が中心。 若干考えて描いたのはHPの方に。
下の記事、『産土の部屋』改め『産土の洞窟』は今回、後半がSSになっとる。
何か居るかも知れへん。 |
怪談 |
怖い |
会いにくるんだよ |
発光 |
中学生のとき産土は帰宅部で、その日も部活に勤しむ級友たちを尻目に早々と帰路についた。 通っている学校と住んでいるマンションは目と鼻の先、あっという間に家に着く。 登下校は楽だが、登校時や下校時に友人との談話などを楽しむ時間も無いので少々味気ない。 もっとも一緒に帰ってくれる友人は数えるほどしか居ない、おまけに全員クラブに入っている。 産土の帰る時間、大抵家には誰も居ない。 まぁそんなのは慣れっこなので気にしないし、さびしいとも思わない。 多人数でワイワイやるのもいいと思うが、産土は孤独の方が愛しい。 玄関に着き一応確認、ドアノブを回してもドアは開かない。慣れた手つきで鞄から鍵を取り出し開錠する。 産土の自室は部屋の一番奥の和室だ、元々祖父母が使っていた部屋だが他界したので、それ以来産土が占領している。 ちなみに一番広い。 ほぼ全ての教科書を詰め込んだ鞄を部屋の隅っこに放り投げ、畳の上に寝転がる。 宿題はあるがやらない、家に帰ってまで勉強はしたくない。 明日、誰かのを移さしてもらう。 薄暗い。 そういえば電気を付け忘れた、手を伸ばしビニールの紐で延長された電灯の紐に手を伸ばすが僅かに届かない。 明かりを点けるには上体を起こさないといけない。 面倒くさいのでそのままにする事にした。怖がりの産土にしては珍しく。 ベランダに面した窓からオレンジ色の光が進入し自室である和室とその隣のキッチンを染めあげていく。 綺麗だけど怖いな。 怖い・・・この単語が頭に浮かんだ瞬間、耳にカッチカッチと時計の音が聞こえてきた。 ・・・普段ぜんぜん聞こえないのに、なんでこんな時ははっきり聞こえるのだろうか? 時計の音を気にしだすと勝手に耳が音を拾い出し、いろん物音が聞こえてくる。 下の公園で遊んでいるんであろう子供の笑い声、時折響く悲鳴と勘違いしそうな金切り声。 野太い声で鳴くカラスとその羽音・・・ホラー映画の効果音に使えそうだな。 雰囲気出てるじゃないか、心細くなってくる。 日は傾きオレンジの光はだんだん濃く暗くなっていく、そろそろ電気を点けようか?。 そう思うが体は動かさない。 今思えば金縛りに遭っていたのかもしれない。 ふと聞こえてくる足音。 だが、特に気にせず産土はキッチンに置いてあるダイニングテーブルのイスのしたをジーっと眺めていた。 なぜ眺めていたのかは解らない。 足音は産土の方にゆっくりと近づいてくる。 そういえば玄関が開く音がしなかったな。 誰の足音だろう? 廊下とキッチンを隔てる引き戸が開く音がし何かの視線を感じたとき、それは起きた。 バシッ!! 眺めていたイスの下が突然カメラのフラッシュでも焚いたかのように発光し、驚いた産土は跳ね上がるように飛び起きた。 産土が起きると同時に引き戸が乱暴に閉められる音がして何かが走り去るように足音が遠ざかって行った。 コレが産土の遭遇した幽霊の三つの内の一つです。 |