今日は法の下の平等について。
まず「法の下」(ほうのもと)ってどういう意味なんでしょうねぇ。
法を適用する行政権と司法権のみを拘束し、行政権と司法権のみが国民を差別してはならないという意味ではなく、法を定立する立法権をも拘束し、法の内容も平等でなければならないという意味なんです。
例えば、カツオくんとワカメちゃんが家のお手伝いをしたとします。サザエさんはご褒美としてケーキを 二人にあげました。
ここには「ケーキを二人にあげた」という事実があります。差別はありませんよね?お手伝いをした二人に与えているのですから。ここまでが、太字の一行目の「法を適用する行政権と司法権のみを拘束し、行政権と司法権のみが国民を差別してはならない」 という部分にあたります。
しかし、ワカメちゃんのケーキよりカツオくんのケーキのほうが高くて良いものだったら?
これは平等とはいえませんよね。ね?
これが 「法の内容も平等でなければならない」という文にあたります(法内容平等説)。
したがって、法の「適用」も「内容」も平等でなければなりません。
次に「平等」についてです。
各人を絶対的機械的に均等に取り扱うことではなく、同一の条件の下では均等に取り扱う相対的平等を意味します。
さっきの例を用いて説明すると、絶対的機械的平等というのは、ワカメちゃんがどれだけカツオくんよりも家の手伝いを頑張ったとしても、もらえるケーキはカツオくんと一緒のケーキだということです。
ワカメちゃんがかわいそうです。姉さんしっかりしてくれよ。
相対的平等は、ワカメちゃんのがんばりをしっかり見ていたサザエさんはカツオくんのケーキよりも高くておいしいケーキをワカメちゃんにあげるということです(相対的平等説)。
これなら平等ですよね。
カツオくんとワカメちゃんで与えられたケーキが異なるというのに、これが「平等」というのもおかしな話ですよね。
したがって、絶対的な、ないし機械的な平等ではなく、相対的な平等でなければならないんです!
今後「法の下の平等ってさー」みたいな話になったら、「法の下」の「平等」とは、「法内容平等説」「相対的平等説」のことなんだな!と思ってください。そのときこそ知識をひけらかす時・・・!
「相対的」の意味が分からない人のために意味を書いておきます。(私は初めて「相対的」って聞いた時わからなかったから)
【相対的】物事が他との比較において、そうであるさま。(広辞苑 第六版)
こうやって相対的平等で考えると、恣意的は不合理な「差別」はだめだけど、差異に応じた合理的な「区別」はしてもいいということになります。「『差別』じゃない!『分別』だ。」こうやって憲法さんは言いたいそうです。(ツッコむとこですよ!)
だけど、何が「合理的な区別」で何が「不合理な差別」なのかを何を基準にして判断すればいいんでしょうか。
つまり、「違憲」か「合憲」かを審査判定する「基準」が問題になってきます。この基準のことを「違憲審査基準」といいます。みなさん聞いたことない?違憲審査基準!え、無い?…そう。
「違憲」か「合憲」かを判断するために、判例は@立法目的 A立法目的を達成するための手段の二段階によって審査すべきであると考えています。
すなわち、@まず、争われている法律の立法目的(何のために当該法律が制定されたか)が正当なものか否かを判断します。もしこの段階で不当な場合、「不合理な差別」となり、直ちに違憲になります。正当な場合は第二段階の審査に進みます。A次に当該法律の立法目的の達成手段が正当かどうかを判断します。ここで不当であれば「不合理な差別」となり違憲になります。正当であれば「合理的な区別」となり合憲になります。
判例として、尊属殺重罰規定事件を挙げます。この事件は同旨の違憲審査基準で旧刑法200条を、結論として違憲と判断しています。今回は紹介だけにとどめておきます。興味のある方はぜひ調べてみてください!現行刑法には200条はありません。
ながながと失礼しました・・・!読んでくださった方がいたらうれしいなっ^///^
以下、参考文献を挙げて終わります。
【参考文献】
芦部信喜『憲法』126-138頁(岩波書店,第二版,2011)
九条正臣ほか『専門記述式 憲法』26-29頁(明昌堂,2012)
最近のコメント