「さむい」

家に帰ると、部屋はきんきんの冷たさでした。

「透世も、こっちにおいで」
「ホラー見てるから」

ふたりの兄に促されるまま、私はソファへ。
ホラーなんて、何を見ているのかと思ったら、随分と古めかしい映像でした。

「なぁに、これ」
「チャッキーだよ」
「チャッキー?」
「知らない?」

……知らないなあ。

「人形が動くんだよ」
「そいつがチャッキー」
「殺すんだ」

どうやら、人形が動くようです。
大人しく見ていると、怖がりの常世お兄ちゃんは、短い悲鳴を連発。目なんて、手のひらで半分覆ってしまっていました。
その悲鳴にびっくりするのが、私と千登世お兄ちゃん。
怖がり、って訳ではないですが、やっぱり驚いてしまう。


「あのさ、」
「なに」
「なんで、人形一個、すぐに壊せないだろうな?」

その言葉に、凍りつく私達。

「そりゃあ、チャッキーは呪いの人形だから」
「刃物も持ってるし」
「でも、人形じゃん」
「でも、呪いの人形だから」

ホラーって、見ていると、自分ならこうするのに!みたいな場面になりませんか?

私より怖がってくれる人がいるお陰で、今日の私はどっぷりとホラーに浸れていませんでした。
しまいには千登世お兄ちゃんとふたりで、なんで?家の中はだめだって!そこで躊躇うなよ、ちゃんと殺さないと!なんて、サバイバル気分になっていました。


「海外ホラー好きだなあ」
「なんで」
「頑張ったら倒せそうだから」

それを聞いた常世お兄ちゃんは、ゲーム脳だ、と千登世お兄ちゃんに言っていました。

ホラーだと私は、日本特有のあの気味悪さと救われない感が好きです。
輪廻、とか、大好き