「今日さ、」
「はい?」
「会社の奴に、写真見られちゃって」
「うん?」
「兄弟いるんですねーだって」
「あら」

そう話す千登世お兄ちゃんの目には、不快感はない。
どうやらスマホを見ていて、横から覗き見されたそうだ。普通、覗き見されたらイヤな感じになるんだろうけど……それがないってことは、仲の良い人なんだろうなあ。

お兄ちゃんって、警戒心が強いくせに仲良くなると、パーソナルスペースがぐっと近くなる人だから。


「それさ、つねと忍足さんが写ってるやつで。そいつは、俺の兄弟だと思ったらしい」
「忍足さんも?」
「そう。おもしろいのが、忍足さんが末っ子に見えたって」
「まじか」

若見えするとは思っていたけれど、ここまでですか。
恐るべし忍足さんだわ。

「妹もいるって言ったんだよ。そしたら、見せてって」
「わあ。見せた?」
「うん。……何て言ったと思う?」

えぇ
やっぱりここは、似てない!とかですか。
よく言われますしね。

「この人に似てるって」

そう言って、見せられたのは可愛いモデルさんの画像。

「似てない!」
「でも、似てるって。名前言われても分かんなくてさ、今検索してたとこ」
「似てない!消して、消して」

照れんなよーと、お兄ちゃん。
照れてないし、それ絶対社交辞令とかですし。


「もう、きらいきらい」





似てると言われたのは、モデルの瀬戸かほさんでした。
めちゃくちゃ綺麗なの!

髪型だけじゃん、絶対似てない。
社交辞令め!