の前に少し話題から。
話題:I LOVE YOU を訳しなさい

「私には離れられない人がいるけれど、それでも君が一番、好きだよ」

好きは、好きなんですよ。




昨日の話。
彼と別れ、23時頃にゲーセンに戻ると、先程はいなかった茶髪がいて。携帯を弄っていたので、冷えた私の手を、ぺたり。びくりとして、

「あぁ、来たのか、」

と、ぽつり。来たしたよ、と。

ゲーセンではあまり話もできなくて、今日はこのまま帰宅かなー、等と考えながら、閉店の音楽と共に店を出る。

「寒いからかえろーよー」
「はいはい…」

年の差カップルの友人達は、外に出るなり帰って。あ、これ本格的にこのまま帰宅か、とか思って。茶髪も、車の方へ向かってしまって。

「しゃーない、帰るか」

ぽつり。零した私の声。
駐輪場に入った後ろに、足音。

「そのカッコで帰んの?」
「え、ぁ、いや、ダウンある」
「だよなー」

原付の免許がないらしい茶髪は、終始私の原付に座っていた。

「もうさー、彼氏と別れちゃえば?」
「は、は……」

お前がそれを言うな、とか。
考えて。

「そーいや佳野ちゃん、14日ヒマ?」
「なして?」
「忘年会やろうかなーと」
「ん、おー…まあ暇にはさせれると思うが」
「よし、じゃあ佳野ちゃん参加な」
「金がない」
「……誰か出してくれるしょ」
「や、悪いだろ……」
「いーのいーの。女の子が多い方がいいんだし」
「でも……」
「俺も出すからさ?」
「それこそ悪いわ……」

焼肉に行く、らしいので。高そうだなあって。ね。

どうしてあんなに粘ったか、なんて。参加確定の女の子が一人だから、気を遣って、人数集め。ゲーセンの女の子は少ないから、必然的に、私にも。ってだけ。
それでもやっぱり、あの金欠の茶髪が「俺も出す」と言うのは、嬉しかった。行こうかなって気になれた。


「帰っか」
「んだね」

立ち上がって。

「さむ…」
「さみいなあ」
「……わ、手あったか!」
「いや、佳野ちゃんつめたっ」
「や、お前があったかいだけ」
「いや佳野ちゃんが冷たいんだよ」
「……手が冷たい人は心が温かいと言ってな」
「まるで俺が心冷たいみたいな言葉だな」
「ふふん。」
「まあその冷たさただの寒さだけどな」
「……まあな」

ぎゅう、と、手を握ってくれた。
抱き着けなかった分、私の手が冷たかった分、茶髪の温かさを感じた。

「んじゃ、おやすみ」
「ん、おやすみ」
「気をつけろよ」
「茶髪も、気をつけてね」

ゲーセンの前には私たち以外の人もいたからか、普段聞かない、静かで低い声で。




私は彼に、嘘を吐く。