茶髪と称している彼ですが。
最近色が抜けて黒髪の気がします。
最初に会った時は茶髪だったので、そのイメージでしょうね。
あと、あいつ髪伸びた。
最後に髪切ったのって、5月……?
最初で最後、二人で出かけた時に、帰りの車内で予約の電話してたから。
その日のうちに切ってきて、それ以来行ってないとしたら、半年くらい、か。
私も、長く切ってませんが、ね。
今日も会えました。
何だかんだで、やっぱり茶髪は来るのです。
で、
風邪を引いていました。
会ったら、くしゃみを少し。
「風邪?」
一緒にいた私の彼氏が茶髪にそう聞くと、
「多分ねーw」
と、笑いながら。
辛そうではなかったけど、思い当たる節が、ひとつ。
「……ねえ、もしかして、この前の、」
少し彼氏が離れたのを見て、近寄って、小声で。
この前の、流れ星を見た日は、寒かった。
私も少し、体調を崩す程に。
「あぁ、違う違うw」
笑った茶髪に、そう?、とだけ返して。
久しぶりに会った友人が、一人。出張だったようで、私も好きで、皆から慕われている、凄く良い人。超紳士。
そんな方と、久しぶりに会えた嬉しさでずっと一緒にゲームをしていたら、彼が怒ってしまって。
「…………むー」
彼に話し掛けても、不機嫌な言葉しか返ってこないんだろうし。
彼に話し掛けなくても、更に不機嫌になるんだろうし。
どうしたもんか、と、悩んでいたら。
「まーたいつもの病気?」
呆れた顔の、茶髪。
「みたいね」
他人事のように返してしまった私に、また、呆れ顔。
結局、話し掛けるしかなくて、不機嫌な彼と、それからは、一緒に。
私に気を遣え、じゃないけど、いつもこうだから。
彼は、大勢で話すのが嫌だから輪に入らないと言った。
私は、話していたいから、と。
そうしたら、じゃあ佳野は俺を気にせず話してていいよ?、と。
その場凌ぎじゃない、何度も、それでいいんだね?、と聞き返して、彼が言った言葉なのに、彼はそれを守らない。気にせず話したら怒るじゃんか、と。
そう、苛々しているうちに、茶髪が早めの帰宅を申し出て。
「今日は早いじゃん」
「風邪っぽいしさすがになー」
友人たちと話す姿が楽しそうで、少し嫉妬。
「帰るよ?」
私に、そう挨拶をしに来て。
「えー」
流れ星の日から隠さなくなった私は、笑いながらそう返して。
「えーじゃねえよ帰るよwww」
笑って返されて、そのまま背を向けかけた茶髪の脇腹を、何の気も無しに突いて。
「なんだよ、」
振り返って。立ち止まって。
更に、こっちに足を向けたから、驚いて。
「え、いや、なんと、なく、」
壮大に吃った気がする。本当に、ただのチョッカイだったから。
「頑張れよー」
呆れた目をしていた茶髪の目線が、一瞬、彼に向いたのがわかった。
私が女の友人と話しているだけで怒る彼と知っていれば、その行動は、何の不思議もない、必然で。
「はは……そうだね……」
がんばるよ。
それが言えない私。
それを聞いて、ばいばいと背を向けた茶髪。
《風邪大丈夫かなってのと会えたってのが入り乱れて佳野さんぐーるぐる》
Twitterに書き込みながら、
「そういや今日、触れられなかったな」
そう呟いて、またぐるぐる。
別れられないのはただ、私が弱いから。
「多分私は、付き合ったらゴールなんだ。多分茶髪と付き合ったら、また別の人を好きになる。そういう性格なら、今のまま、いる。」
友人に打ち明けたそれは、多分、本当。
「もし彼の9割を嫌いでも、1割が好きなら俺は彼と付き合うよ」
茶髪に言ったそれが、嘘になりつつある。
彼の好きなところはあるけれど、彼に振られてもいいやと思いはじめた私がいる。
思考が下を向いて、夜は危ない、ですね。