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わかればなし作品一覧あいをしるひと 番外
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2018年10月14日 00:27
小説 1P
R-18
それからのはなし
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いつものことではありますが、ナイーブな話題にも直接触れています。
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それからのはなしねじ
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スマホを弄って見かけた記事と写真に半分笑ってため息を吐いた。
電話でもしてやった方がええのかと一瞬思って、それから誰が架けるかと思った。
で。
はははと流石に声を上げて笑った。
お前少しは我慢せぇよって。
舞台が終わるまで、ほんの数日だと聞いていた。
きっとそれまで、相方はそこに集中し、だからそれまではきっと何もないもんだと思っていた。
きっといつかは言葉にするんだとは、思っていたけれど。
タイムラグは大体1日、2日。
と言うことは、発表後、あいつが様子を見たのはほんの2、3日で、あの記事のタイミングからすると、あれで収まらなさそうな様子を察してすぐに、苦手な言葉をあーでもないこーでもないときっと不器用にホテルの部屋でうんうん唸って。
それを考えるとやっぱり出るのは「ははは」という笑いにしかならない。
んふふ、とスマホを見つめる。
お互い番号は入ってないから、架けるにしろマネに聞くところから始めなければならないのは互いに「そこまでしても連絡する」という半ば羞恥プレイとか焦らしプレイ的なそれは、だからこそ、特別で特別な、それだけで。
通知の振動が掌に響く。
3回分じっくりと味わって、番号だけの画面をタップした。
「…おう」
「んふふ、こんばんわ」
「もしもしぐらい言えや、お前」
いかにも不機嫌そうな声にお疲れ様ですと応えれば、更に無言が重なった。
「見た?」
「どっちを?」
「両方見とるやないか」
そう言えば、こんな時間の電話やなんて、飯は食ったんか?とどうでも良いことが頭に浮かんだ。
「ええお写真でしたね、綺麗に撮ってもろて。撮影より自然やん」
「やっぱ分かった?」
「そらあなたが、外出んのに帽子も被らんと、髭も剃って、髪まで結んだ上に、シャツの一番下のボタン外したり、腕捲りしたり、あんなん…ふふふカメラ目線やし」
「よぉ見とるな」
ぽつんと言葉が落ちた。
「あんなんロケの撮影と同じやろ」
あれを掲載させる許可と引換の記事だろうそれに。
怒りを感じなかったわけじゃない。
光一はいつも。いつも。いつだって。
「俺から逃げられると思うなよ」
地を這うような低い声に奥歯を噛みしめる音が重なった。
「逃さへん」
「僕がいつ逃げるて言うたの」
宥めるように言えば、また光一は言葉に詰まる。
「ありがとう、ファンクの話までしてくれて、それにあちこちフォローして」
あと何を言ってやろうかと、いくつかの言葉を繋げる前に光一が言った。
「剛くん、愛しています」
笑おうとして頭が真っ白になった。
咀嚼できない言葉。
はっと短い息だけが漏れて、心臓がバクバクと音を立てた。
「一生、言わんつもりやったけど、」
揶揄う言葉さえ封じられ。
「今、おまえ抱き締めてやりたいねん」
それは甘くすらなく。
もはや、独り言のようだった。
「なんで、言うた」
「もう今、言わんと後悔するて、思ったから。言わん方がええのはわかってたけど、言わな後悔するのがわかってたから」
身動ぐ音が聞こえた。
「俺は剛くんを愛してるよ」
「なんで言うねんなぁ」
喉が渇いて情けない声になった。
こんな声、聞かせたくないのに。
「ほんまは、抱き締めて、腕の中に閉じ込めて大丈夫やから心配せんでええって言うてやりたいけど、遠いから」
ふははと照れ隠しに光一が笑う。
「待っとって。すぐ帰るよ」
耳元の声に情けなくも、顔が崩れる。
「僕は貴方のことがこんな、ずっと好きやったんやで」
知ってた、お前も知ってたやろと紡がれる言葉に、世界が崩壊して広がっていく。
「愛してるよ、どんなお前であっても」
終わり
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