「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。どういうことなのでしょうか?」という2010年のYahoo!知恵袋への投稿から広がり、ボーカロイド・初音ミクによる同名楽曲やコミックエッセイ化もされている、ある夫婦のエピソードが、榮倉奈々&安田顕のダブル主演で映画化されることが明らかになった。
サラリーマンのじゅん(安田顕)が、仕事に疲れて帰宅すると、玄関で妻のちえ(榮倉奈々)が口から血を出して倒れていた!慌てて介抱するじゅんだが、傍らにはケチャップ。「ククク……」と倒れていたちえが笑う。「驚きましたか??」ちえは死んだふりをしていただけだったのだ。ホッとして理由を問うも、からかうように笑うだけのちえ。それからというもの、家に帰ると、ちえは必ず死んだふりをするようになった。あるときはワニに喰われて。あるときは銃で撃たれて。またあるときは頭に矢が刺さって…。次第にエスカレートしてゆく「死んだフリ」。最初は呆れるだけだったじゅんだが、何を聞いても「月が綺麗ですね」と笑うだけのちえにだんだんと不安を覚え始める。これは、何かのSOSのサインなのか――。
始まりは、家に帰るたびにさまざまな方法で死んだふりをして自分を迎える妻に悩む夫の投稿。【Yahoo!知恵袋】に投稿された質問の奇想天外な内容は大きな話題を呼び、インスパイアされたボカロPの「ほぼ日P」が、初音ミクで作った同名オリジナル楽曲を発表すると、そのミュージック動画はニコニコ動画で再生回数1位を獲得し、現在500万回以上の再生を記録中。これに刺激を受けたネット上の一般クリエイターたちも数多の自作の派生動画を投稿し、一大ブームとなった。2011年には作・K.Kajunskyさん、イラスト・ichida(イチダ)さんでコミックエッセイ化もされ、現在第3巻まで発売、発行部数累計15万部を超える人気ぶり。現在も【Yahoo!知恵袋】では400万以上の閲覧、1,700以上の回答が寄せられているその伝説の投稿が、まさかの映画化となった。
そんな榮倉サンと安田サンは結婚3年目の夫婦役で、話題の題材がついに映画となる。09年の[余命1ケ月の花嫁]で妻を演じたが、夫婦生活を描く作品は初めて、不思議な行動を繰り返すぶっとびキャラの妻・ちえを榮倉奈々、対照的に超フツーで冷静な夫・じゅんを安田顕が演じる。2人が見せる化学反応には要注目。ミスマッチなのに共感を生む、新しい夫婦のカタチには期待がかかる。
そのほか小出恵介、野々すみ花が出演し、安田サン扮するじゅんの後輩夫婦・佐野と由美子を演じる。[デトロイト・メタル・シティ][幕末高校生][神様はバリにいる]の李闘士男が監督を務めている。[神様はバリにいる]では、怪しくもチャーミングな大富豪アニキの成功哲学を描き、全国69館公開ながらもスマッシュヒットを記録。日本映画界にコメディの金字塔を打ち立てた。本作でもその手腕を発揮し、ちょっと変わった夫婦の日常エピソードを愛おしくチャーミングに描きながら “ほんわかラブコメディ”を誕生させている。脚本は[映画プリキュアドリームスターズ!]などの坪田文が手掛けた。
■Yahoo!知恵袋に投稿された質問(投稿者:kkajunsky)
家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
どういうことなのでしょうか?
家に帰り玄関を開けると妻が倒れていました。
最初は驚きましたが毎日やるので
ほら起きてと流すようになりました。
すると翌日は口から血を流しており、
1週間後は白いTシャツが血まみれだったり
最近ではネタがなくなったのか?
または煮詰まりすぎて思考が狂ってきたのか?
頭に弓矢が突き抜けていたり、
ビニール袋を被っていたり(息してるので思いっきり袋が伸縮している)
昨日は軍服を着て銃を抱えたまま名誉の戦死を遂げていました。
もちろん妻の横を素通りしています。
妻はどうして欲しいのか?
そしてこの先どこに行きたいのか?
全く分かりません。誰か教えてください。
この間など頭に弓矢が貫通したまま
夕飯を作っていました。
▽榮倉奈々コメント
最初にお話をいただいた時の第一印象は正直なところ、変わったタイトルだなぁ…、このタイトルにどんなストーリーが綴られるのか、全く想像がつきませんでした。
演じさせてもらったちえさんは、独特な言葉を使い、独特な表現をする人で、見る人によっては不器用と取れるかもしれません。
しかし、夫・じゅんさんとの関係性を見ていると、しっかりと自分の哲学を持ってるように思います。夫婦という親密な関係だからこそ見えてくる、人となりを表現できたら、観ている方にも共感していただける感情がちりばめられているのではと思いました。
夫婦を題材にした作品は初めてで、2人の生活空間(セット)での撮影は少し照れくさくもありました。安田さんとは3度目の共演となりますが、夫婦のように近い関係性は初めてだったのでやはり照れくさかったです。李監督は、監督自身が毎日楽しそうで、現場のみんなが気持ちよく過ごせる環境を作ってくださいました。
ある夫婦の一風変わったコミュニケーションが優しく描かれている映画になってます。なんでもない日常の中で起こるささやかな出来事で感情が揺さぶられる。
現実世界に生きる私たちがリアルに感じ、見ている景色をスクリーンでも感じていただけると思います。
▽安田顕コメント
出演が決定した時は、とにかく懸命に取り組もうと思いました。
この作品をきっかけに「夫婦」について、いい意味であらためて思うこともあり、具体的ではなくて申し訳ないのですが、それは観てくださる方々それぞれに感じていただけると嬉しいです。
榮倉さんとは、榮倉さんが二十歳の頃、はじめてドラマでご一緒したことがありました。
今回久々に現場でお会いできて、嬉しかったです。
また李監督は現場のスタッフさんからの信頼が厚く、人望のある方だと感じています。
本作で私はちえの夫・じゅんを演じましたが、監督のイメージに沿えるよう、取り組ませていただきました。
原作の空気感とは違う監督の世界観、そして榮倉さんの七変化を映画館で堪能していただけたら幸いです。
▽原案・K.Kajunskyコメント
この度実写化の話を聞き、自身も映画ファンとして実際に映画にわずかでも携われることがとても嬉しいです。こんな日が来るとは夢にも思いませんでした。
こんなことになるなら、あんな適当なHNではなくきちんとしたペンネームを名乗っていればよかったと思いました。
榮倉奈々さんはとてもチャーミングな方で健康美というイメージで、どんなちえさんになるのかとても楽しみです。
安田顕さんはTEAM NACSからのファンなのでとても嬉しく思いますが、私自身が安田さんほどイケメンではないので少々心苦しいです。
一つの投稿から始まり、映画として2時間ほどの話になるとどんな展開になるのかとても楽しみです。
我が家であった出来事がスクリーンで映し出されるのかと思うと少し恥ずかしい気持ちもありますが、鑑賞させていただく時は第三者の目で楽しもうと思っています。そして妻は直視できるのか心配です。
▽李闘士男監督コメント
「女性」っていうのは僕にとっては“謎”の塊。
何を考えてるんだか、いつもよく分からない。
そんな理解できない謎の代表格が、「奥さん」「妻」たち。
その「妻」たちの真っ昼間の闇に紛れた「謎」に迫ってみたくて、映画化をやってしまいました。
榮倉さんは天才。ほんと天才女優でした。なんでもすぐにやれちゃうから。悔しかったです。
安田さんは、狂気と小心者の間をいったりきたりで、なかなかの怪演ぶりでした。
どこの家庭にでもある「家の大奥」に迫ってみました。
江戸城だけじゃなく、家にも大奥ってのはあるんですね。
みなさん、「家の大奥」のミステリーを覗いてみませんか?
【Yahoo!知恵袋】投稿から始まった、リアルで新しい夫婦のカタチ。撮影はすでに昨夏に終了しており、完成に向けて現在、仕上げの真っ最中だという。
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』は2018年春、全国にて公開。