2014-9-28 20:53
先日。仕事帰りに、頼まれた買い物をしていて、栗を見つけた。
手頃な量で手頃な値段(見切り品だった。どこをどう見切られたのかは謎だけど)。
特別な調理法は知らないけれど(榊も、穀物類がさほど好きじゃないのでたぶん知らない)、
湯がいただけでも美味しいだろうと思って籠に入れた。
なんせ初物(見切り品だけどね)。
昨日。夕飯を軽くに済ませたら、やはり少し物足りなかったらしい榊が「少し栗を貸して」とおかしなことを言った。
(もちろん貸すどころかあげたけど)
携帯と手元に視線を往復させながら栗を処理して、グリルに並べてそっとしまう。
タイマー、6分。アラームが鳴ったら、ひっくり返してまた6分。
ぼこん! と1度だけ恐ろしい音もしたけれど、なんだかいい予感。
「焼き栗。ヨーロッパで食べてめちゃくちゃ美味かったから、家でもやってみたかったんだ。」
焦げた皮の、ぱっくりと割れたところから眩しいほどの黄色が覗いてる。見た目からして美味しそうだった。そして美味しかった。
榊も本当に「焼き」なら好きみたいで、「初物☆」と笑みをこぼしながら食べていた。
いつか僕も本場の焼き栗を食べたい。榊と、ヨーロッパの街を歩きながら。
2014-9-28 19:19
カレンダーの図版をパネルに仕立てた。
ルノワールの冬の絵。
額はつけなかった。本音は面倒だったから。でも結果それでよかった。
絵が閉じ込められることなく、外界と接して、あわよくば侵食しようとして。
その活性と存在感が僕をわくわくさせる。
「ねぇ、見て。」
僕は榊に何か言って欲しくて、甘えた。
「ん? あれ? どうしたの?(笑)」
榊も、気づいて、なんだか可笑しそうにしていた。
「気に入ってたカレンダーの絵をね、パネルにして飾ったんだ。
嫌だった?
鴨居にのせてるだけだから、すぐはずせるよ」
「いや、いいよ。」「お前が、してもいい? て聞かずにやるなんて珍しいね」
あぁ確かに!
2014-9-18 19:24
「仕事終わって帰るよ」とメッセージを送ったら、榊からアイスのアイコンだけ送られてきた。
「買ってあげる」
約束して帰った。
家までの途中のコンビニで待ち合わせして、榊のアイスと、僕のスイーツをあさった。
僕のスイーツがなかなか決まらなくて、榊は陳列棚の間を縫うように散策し、時間を潰していた。
飲み物用の冷蔵庫の前、僕のいるスイーツコーナーのそばまで戻って来たところで
「あ、コレにする。前から飲みたかったヤツ」
とガラナコークを取り出していた。
鮎川は?
と聞かれて
あんまん、と僕は答えた。
2014-9-1 22:27
予定外の長残業になり、会社を出るなり榊に電話して謝った。
「おそかったねぇ〜」という、ヘラヘラ声が返ってきた。いい意味で脱力した。
最寄り駅につくまでの間、夕飯はなにするか、と話した。
榊、煮物を作ったらしい。
大根とオイルサーディンの、煮物。
それが、想像する通りに、美味しいらしい。
「大根はちょっと青臭いけどね、ふふっ」
電話の向こうで、思い出したように榊が吐息で笑った。
可愛かった。
青臭いことを、哀しんだり怒ったりせず、笑えるなんていいことだと思った。