毎度おなじみ危険地帯です。
今日はなんと ツバジノだよ!
無理な方は見ないようにお気をつけください…っ
「ねぇ バッキー 君が僕のことを好きだって聞いたんだけど 本当?」
クラブハウスの廊下で王子ことジーノとすれ違ったので、「ウスッ」と挨拶をした椿に、王子はチラリと椿を見た後 少し考えてからそう言った。
背中半分に投げかけられた言葉に椿のカラダが固まる。
「…えっ あ あの…その…それ…どういう意味っスか…?…」
どうしていいかわからなくて、椿は王子にしどろもどろに尋ねた。
王子は、そんな椿を涼しい顔で一瞥すると、腕を組む。
「ふむ…余り頭の良い方じゃないとは思っていたけど、ここまで頭が良くないとは思っていなかったな バッキー 僕をあまり失望させないでくれ。君が僕のことを好きだと言うのは本当かな、と質問したんだ」
好き…好きって なんだろう
もちろん王子のことはスゴイと思ってるし…尊敬みたいなもの してるけど…それって好きと呼ぶのだろうか
「あの…俺っ 王子のことはとても信じているというか…いっつもすごいボールくれて… それに、皆に好かれてて… あの、その…俺 王子みたいになれたらって思うっス…!」
言いたい事が少しだけだけど、言えた。
椿は胸に広がる達成感みたいなものに顔をほころばせる。
すると、王子はふっ、と微笑んだ。
「…僕の質問の答えには何一つなっていないけど、いいよ バッキー。今日はこれで勘弁してあげよう。次までにもう少し美しい愛の言葉を考えておくこと」
そう言い残すと、ヒラリと手を振りながら いつものあの、優雅な足取りでその場を後にする。
椿は思わず「…しゃっす!」とお辞儀をしていた。
「次までに、"美しい愛の言葉"考えておきまっス!」
何かがおかしいことに椿が気づくのは この一時間後だった。
「世良さん、愛の言葉ってなんスかね?」
「ハァ!?お前、王子に騙されてんぞ…」
おわる。